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広島平和記念資料館は問いかける 岩波新書1861
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2020/12/21 |
JAN | 9784004318613 |
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広島平和記念資料館は問いかける
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
2019年まで広島平和記念資料館長を務めた志賀賢治氏の著作。今年の8月、17年ぶりに資料館を訪問する前に基礎知識として読んでみた。結論からいうと、前回からの展示の変化を意識し、歴代館長の思いを馳せながら心穏やかに訪問することができてとてもよかった。 さて作品について。前半で「被爆再現人形」を撤去する問題が議論を呼んだという話が取り上げられる。ただこの話は象徴的ではあるが、資料館全体のコンセプト見直しの一環で実施されたもので、全体構想を知る必要がある。 なぜ人形ではなく実物の資料にこだわり続けるのか。その原点は鉱物研究者で初代館長の長岡省吾氏にある。広島の街を歩き、それまでの爆弾では考えられない石の変化に気づき、すぐさま被爆の痕跡が残る「ガラクタ」の収集を始める。周りに変人扱いされても、彼にとっては家族より大切なものだったという。 広島市の復興を主導した濱井信三市長の支援もあり、原爆資料館は立ち上がある、その後、市と長岡氏は互いの考え方の相違から仲たがいしてしまう。 長岡氏の死後、遺族が資料館にアプローチしてきたことで局面は変わる。志賀氏はひたすら実物にこだわる。1945年末までに14万人が亡くなったという数字の大きさではなく、一人ひとりのストーリーを描き出す、来館者に考えてもらう手法への転換だ。 筆者は同時に記念館の展示で使われる表現である、「分かり易い」「正確に」にも懐疑的だ。究極的には、あの広島の体験は簡単には分かる、共感できるわけではない、かつ死者数ですらいまだに分かっていないのに正確になどとな言っていいのだろうかというスタンスだ。 筆者はワシントンD.C.にあるホロコースト記念博物館のリーフレットの言葉に出会い、意を強くしたという。 ーーこの博物館には答えはありません。あるのは、問い掛けなのです。p217 さらに「博物館概論」に出てくるフォーラムとしてのミュージアムにも筆者は共感する。 ーー未知なるものに出会い、そこから議論が始まる場所 p217 最後に筆者のスタンスを端的に現す2人の詩人の言葉は印象深かった。 ・序章に出てくる被爆した詩人・原民喜の言葉「自分のために生きるな、死んだ人たちの嘆きのためだけに生きよ。僕を生かしておいてくれるのはお前たちの嘆きだ。僕を歩かせてゆくのも死んだ人たちの嘆きだ」p11 ・終章の詩人・石原吉郎の言葉「ジェノサイドという言葉は、私にはついに理解できない言葉である。ただ、この言葉のおそろしさだけは実感できる。ジェノサイドの恐ろしさは、一時に対応の人間が殺戮されることになるのではない。その中に、一人ひとりのしかないということが、私にはおそろしいのだ。人間が、被害において、ついに自立できず、ただ集団であるに過ぎないときは、その死においても、自立することなく、集団のままであるだろう。私において、ただ数であるとき、それは絶望そのものである。人は死において、一人ひとりその名を呼ばれなければならないものなのだ。p233
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巧みな文章ではないが、資料館の歴史的経緯や展示の背景を知るための記録として意味のある本 原爆による被害の実態を展示するために作った建物なのに原子力を推進する団体のイベントに利用されそうになったり、アメリカで原爆についての展示が行われるはずだったのに退役軍人団体の反対で展示内容が大...
巧みな文章ではないが、資料館の歴史的経緯や展示の背景を知るための記録として意味のある本 原爆による被害の実態を展示するために作った建物なのに原子力を推進する団体のイベントに利用されそうになったり、アメリカで原爆についての展示が行われるはずだったのに退役軍人団体の反対で展示内容が大幅に縮小されたり、といった政治的駆け引きの真っ只中に置かれてきた施設
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何も飾らず、ただただ真摯に事実を伝えようとされている著者の姿勢にならって、私も姿勢を正して読みました。
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