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ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる 中公新書ラクレ709
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2020/12/08 |
JAN | 9784121507099 |
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ゲンロン戦記
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商品レビュー
4
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ゲンロン、シラスの取り組み、そしてこの取り組みを本にまとめたことについては、本当に尊敬している……ホモソーシャルから抜け出たようには見えないけど…… 「ゲンロンはたしかにぼくがつくった。 でもぼくのためのものではない。 「ぼくみたいなやつ」のためのものでもない」 p222引用 ...
ゲンロン、シラスの取り組み、そしてこの取り組みを本にまとめたことについては、本当に尊敬している……ホモソーシャルから抜け出たようには見えないけど…… 「ゲンロンはたしかにぼくがつくった。 でもぼくのためのものではない。 「ぼくみたいなやつ」のためのものでもない」 p222引用 「特定のトピックに焦点をあてて、無理に「最先端」のシーンを演出するようなことをしていません。 ぼくがその場その場で関心をもった方々、関心をもった主題を集めている」 「言い換えれば、ぼくは自分の関心が自分だけのものであること、自分が孤独であることを受け入れたわけです」 p223引用 「「ぼくみたいなやつ」はぼくしかいないし、そもそもすでにぼくがいるのだから、これ以上は必要ない。 ぼくは「ぼくみたいじゃないやつ」と一緒に行動することによって、はじめてゲンロンを強くすることができるし、多様で開かれた場にすることができるのです」 p224引用 「10年後には、ゲンロンがひとつの中心になって、ホモソーシャルな従来の論壇とはかなり異なった、多様な言論のネットワークが形成できるかもしれません」 「それはもしかしたら、従来の「批評」の読者には満足できないものかもしれません そこには「最先端」もなく、「シーン」もなく、ゆるやかにつながる話し手と聞き手しかいないからです」 P225引用 「多様性が大切だとひとは簡単に言います。 けれども、その大切さを、自らの人生に引きつけて実感するのはそれほど簡単ではありません」 「自分のなかには「ぼくみたいなやつ」を集めたいという強いホモソーシャルな欲望がくっている。 それこそがリスクであり限界なので、意識的に対峙していかないとどうしようもない」 p226引用
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【きっかけ】 キャストチャンネルにて認識して以来、ずっと頭にはあった作品。 そんな中、最近著者の東さんが経済メディアのNews Picks の動画番組に出演しており、そこでの話ぶりが面白くて、本書をこのタイミングで読んでみたくなった。 【感想】 いくつかの楽しみ方がある 一つは...
【きっかけ】 キャストチャンネルにて認識して以来、ずっと頭にはあった作品。 そんな中、最近著者の東さんが経済メディアのNews Picks の動画番組に出演しており、そこでの話ぶりが面白くて、本書をこのタイミングで読んでみたくなった。 【感想】 いくつかの楽しみ方がある 一つは著者の苦悩を疑似体験することだ。 ・小さな出版社を経営する苦悩 ・スタートアップではない会社ならではの、会社を大きくする 苦悩 ・哲学者が会社経営を行う苦悩 著者があとがきにて、「それでも出版を止めていないのは、「私小説的」で「露出狂的」な著作こそが、もしかしたらいまの哲学全体にとって必要になっているのではないかとの予感があったからである。」と記載のあった通り、本書は赤裸々に著者の失敗が語られており、それを読むことが1番の醍醐味になるだろう。 また、個人的に面白かったのは、少し前の世代の論客とそのネットワークを知れたことである。 私にとって、経済メディアを見たり、東さんの言う論壇の人達を認識するようになったのは、2014年頃からであり、それよりも前の世代の人達はについてはあまり知らなかった。 本書では、多くのゼロ年代の論客達が登場する。 【心に残った文】 81p ゲンロンカフェだったら、このケーブルはどこにどうつながっていて、どんな意味があるケーブルか、配線レベルまでいちど完全に把握しました。業者の請求書も細かいものまですべて確認しました。面倒なことを人任せにせず、ゲンロンについてなら、何を質問されても答えられる状態になりました。 会社を経営するためには、いちどその段階を経ないとダメです。 210p ぼくにしてみれば、ゲンロンはぼくが稼いでいるからこそ成立しているという気持ちだったのですが、社員やアルバイトからしたら、いつもオフィスにいて相談に乗ってくれるEさんこそ「大黒柱」に見えていたのです。 →そういことってありそうだな〜、と思っていたことが現実に起こったことが記されていたので、印象に残った 212p ゲンロンはぼく自身が経営しているのだから、ぼくがぼくに「搾取」されているというのは変な話です。けれども、感情としてはそうとしか表現できない不満を感じていました。 260p 右派からすればぼくには責任感が足りないだろうし、左派からすればぼくには行動が足りないのでしょう。けれど、それでも両方の側が、欠点だらけの試行錯誤の先駆者としてぼくを見てくれるのであれば、それこそがぼくがやりたかったことです。ひとの人生には失敗ぐらいしか後世に伝えるべきものはないのですから。 264p 彼らの過ちはぼくの過ちだ。ぼくはXさんの流用に半年気づかなかった。Aさんの金遣いが荒かったのはぼくの金遣いが荒かったからだし、BさんやEさんが経理を放置していたのはぼくが経理を放置していたからである。
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「訂正する力」を読んだ上での「ゲンロン戦記」。この二冊が思索編と行動編のニコイチのセットであることがあまりに感動的でした。「観光客」とか「誤配」とか著者ならではのキーワードも決して理論の意味深なメタファーなのではなくゲンロンというリアルな模索から生まれたド直球の意味であることを知...
「訂正する力」を読んだ上での「ゲンロン戦記」。この二冊が思索編と行動編のニコイチのセットであることがあまりに感動的でした。「観光客」とか「誤配」とか著者ならではのキーワードも決して理論の意味深なメタファーなのではなくゲンロンというリアルな模索から生まれたド直球の意味であることを知りました。なので「修正」ではなく「訂正」という最近の言葉の提案も非常に実感を伴ったものであるものとして受け取れました。学生の時からスポットライトを浴びてマスコミにも良く登場し大学でのポジションも確保できそうだった論客が、それを捨ててのビジネスでの七転八倒ヒストリー。考え違い、思惑の違いに翻弄され、自分の弱さから逃げ、やがて向き合う10年間の歴史の痛々しさは、まさに戦記です。その血が流れている感じがSNS論壇とか研究室論考とかと違う、強さを持っていることに繋がっているのでしょう。この「ゲンロン戦記」の結果生まれた「訂正する力」が先日発表された新書大賞2024で第二位になったのは大納得です。こんどこそ「訂正可能性の哲学」読まなきゃ!
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