京の大工棟梁と七人の職人衆

笠井一子(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2020/12/01
• JAN: 9784309291116

商品レビュー

2023/12/29

ロストテクノロジー
失われた技術、伝統、想い
読み進めるにつれて、胸が痛かった
簡単だから、楽だから、といった怠惰と引き換えに私たち現代人が手放したものはいかほどなんだろう
もう戻ってこない
美的感覚、伝統
もう戻らない
日本らしさ

現在、木材業に携わる私は
この本に出会えてよかった
サラリーマンは手元に何も残らないが、職人は死ぬ時まで職人
私が、製材を極めたかった気持ちを綺麗に言語化してくれた
今は、木材が都市部で使われるように働きかける仕事をしている
今の仕事もやりたいこと
だけど、本当は製材を極めたかった
生まれる時代と性別を間違えた

この本は一生手元に置こう

2022/10/13

去年いわた書店一万円選書で選んでもらった本。選んでもらった本もこれで読み切り。なんでこれを選んでくれたのかな？と考えてみてもわからなかったけれど、合理でなくてこだわりを持った職人さんたちの仕事との向き合い方、日本の伝統建築、工芸の凄みを感じた。京都の言葉も関東人には非日常装置に感じられます。面白いというか新鮮な一冊でした。

2021/05/20

京都で鎬を削られていた職人へのインタビュー集
通底している点として、皆さん常に考えておられる
それ故に経験の濃度が高い
高密度の経験が収斂した知識とそれに基づく考察は極めて論理的
しかしながら、経験や知識をデータ化、標準化していく現代資本主義の潮流とは反する有り様
だが人としての有り様に意味を見出そうとするならば職人のスタンスが理に適っている
知を放棄して、与えられる正解ばかり求める現代の風潮に疑義を投げかける著作と受け取った