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患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング
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患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

杉本ゆかり(著者)

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患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 千倉書房
発売年月日 2020/11/30
JAN 9784805112229

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2021/07/25

病院・診療所の経営を成立させる上で重要なポイントの1つは、いかにして受診患者に継続受診行動を促すかである。それは消費財などのマーケティングでいえば、いわゆる顧客ロイヤリティを上げてリピート購買をいかに促すかと類似したメカニズムとなる。本書はそうしたマーケティングの考え方をベースに...

病院・診療所の経営を成立させる上で重要なポイントの1つは、いかにして受診患者に継続受診行動を促すかである。それは消費財などのマーケティングでいえば、いわゆる顧客ロイヤリティを上げてリピート購買をいかに促すかと類似したメカニズムとなる。本書はそうしたマーケティングの考え方をベースに、実際の患者へのパネル調査に基づいて患者インサイトを抽出し、どのような要素が継続受診行動を促し、経営者は何をすべきなのか/何をすべきでないのかを明らかにする。 本書では継続受診行動が必要になるのは主に生活習慣病を中心した慢性疾患であることから、主要な疾患別の分析を行なっている。その中で個人的になるほどと思わされたのは、疾患によるインサイトの違いである。 例えば、糖尿病に代表される内分泌代謝疾患の患者は、家族や親族から紹介された病院であるかどうかが、継続受診に大きく相関している。この解釈は、おそらく糖尿病のように食事・運動などのライフスタイルを変化させなければいけない疾病の場合は家族・親族のサポートが重要であるため、彼らからの推奨が大きな影響力を持つ、というものである。 また、内分泌代謝疾患・循環器疾患(高血圧等)・整形外科疾患(関節リウマチなど)では全て、医師との良好な関係性が継続受診に相関している。一方で、脳血管疾患(脳卒中等)だけ、この相関が見られなかった。この解釈は、おそらく脳血管疾患の場合は、病状がある日突然襲ってくるという性質を持つがために、患者の不安感が他の疾病に比べて強く医師と良好な関係性だけでは不十分なのではないか、というものである。 本書は一義的には病院・クリニックの経営者やそこで働く医師を対象としているが、患者インサイトの分析は幅広く医療業界の従事者にとって有益なものだと考える。特に、病院・クリニックの経営者が経営の観点から避けなければいけない”ドクターショッピング”(患者が次々と病院を変えること)については、同じような検査・治療・投薬が病院間で行われることから、医療費・医療リソースの浪費につながる。患者インサイトを踏まえて継続受診行動を促すことは、政府・自治体や各保険者にとっても重要なイシューであり、そうした点でも本書の有益性は高いと感じた。

Posted by ブクログ

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