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もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年 中公新書2619

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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2020/11/20 |
JAN | 9784121026194 |


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もののけの日本史
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商品レビュー
3.9
9件のお客様レビュー
むずい。 図書館で見かけて、気軽に手に取ってみたものの、むずかった。 この場合の難しいは、文章が難解というわけではなくて、前提となる教養というか知識が問題になってる。 多分、高校生くらいで習う古文や歴史をきちんと過不足なく理解しているならば、ものすごく楽しめるし理解も出来るのだろ...
むずい。 図書館で見かけて、気軽に手に取ってみたものの、むずかった。 この場合の難しいは、文章が難解というわけではなくて、前提となる教養というか知識が問題になってる。 多分、高校生くらいで習う古文や歴史をきちんと過不足なく理解しているならば、ものすごく楽しめるし理解も出来るのだろうけれど、古文と歴史がどちらかといえば苦手であった私のような人間にはとてもつらい。 当たり前だけれど、古文と歴史の背景を知らないというのは、なかなかに情けないものだと痛感した。 とはいえ、寡聞である私にも既知のものはあり、光源氏のエピソードなどはすんなりと頭に入った。そして、やっぱり光源氏はク○だななどと現代の感覚が断じてしまうのでありました。
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本書の本筋ではないが、霊と遺骨の関係、墓参り、霊魂観の変化などについて言及がある。 これらに関心のある方は、一読の価値がある。
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冒頭、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」を引用し、著者はこう言う。「これほどまでに栄華を極めた道長は、周囲の貴族から怨みや嫉みも大いに買っている自覚があった。その上、病気がちで精神的にも脆弱だったこともあり、非常にモノノケを恐れていたのである」...
冒頭、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」を引用し、著者はこう言う。「これほどまでに栄華を極めた道長は、周囲の貴族から怨みや嫉みも大いに買っている自覚があった。その上、病気がちで精神的にも脆弱だったこともあり、非常にモノノケを恐れていたのである」(「まえがき」より)。はてさてあの道長がそんなものを怖がっていたとは?と古代史に詳しくない私などは思ってしまうのだが、古代の人びとにとって人間の体を抜け出した霊魂(元に戻る場合は「生き霊」、元の体に戻らなければ「死霊」であり、いずれも「モノノケ」[物気])は主として病気をもたらすものとして恐れられていたらしい。道長自身の『御堂関白記』には怖がりすぎてあまりモノノケについて書かれていないらしいが、同時代の貴族の古記録(藤原実資『小右記』など)にはそう記されているとのこと。しかもそのモノノケ退治を自分自身でやることもあったとは、道長のイメージもだいぶ変わってこようというものである。また『小右記』に登場する油瓶の形になったモノノケの話はおそろしくもありおそろしくもなしであるが、一般に「鬼」の形に近似することも多かったモノノケがさまざまな姿を取って描かれていることも面白い(pp.68-75)。 日本人の死生観、霊魂観がやがて中世、近世、近代、そして現代に至るまでどのように変わって来たのかをちゃんとした歴史学の立場(要するに文献史学の立場)から繙いていく本書は、著者の専門分野が中世ということもあって、古代の終わりから中世を扱う第1章から第3章までが圧倒的に面白く読ませる。とくにモノノケを調伏する方法などを詳しく辿った第2章などは知らないことだらけで非常に面白かった。上段でも述べたが、頭の中で考えたことではなく、そうした具体性の中にこそ死生観や霊魂観が現れてくるのであろう。その点、第4章で近世の平田篤胤がモノノケ調伏を法師どもの謀略とする(p.185)のは、まさに「近代的」すぎてつまらないとも言えよう。
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