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USO ウソ(VOL.2)
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USO ウソ(VOL.2)

いとうひでみ(著者), 岡藤真依(著者), 北尾修一(著者), 北村みなみ(著者), 木下龍也(著者), 野口理恵(編者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 rn press/トランスビュー
発売年月日 2020/11/17
JAN 9784910422008

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2023/11/05
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※このレビューにはネタバレを含みます

USO4の表紙を大好きな少年アヤさんが担当されていたことから、昨年の文学フリマ(東京)でまずは4を買い、内容に引きこまれ、それ以降書店でUSOに出会ったときに1冊ずつ買い集めている。(わざわざ探すわけでなく、偶然目に入ったら買う、としている) USO2を見つけたのは渋谷のSPBSで、zineなどが集まっている平積みのテーブルに1〜4までが並んでいた。1週間ほどまえに同じ書店の同じ場所を見たときにはほとんどの号が売り切れていたので、タイミングがよかったのかも(SPBSに行くのも2年ぶりくらいで、2週連続で行ったのもなんとなくだった)。 文芸誌のようなものを読むときってだいたい読み切れず、お目当ての数編を読んで放っておくことが多いけれど、USOの場合は頭から最後まで通して読みたくなる。自分が読み慣れたエッセイっていう形が多いからか、センセーショナルな文章がとにかく多いからかはわからない。 そこに輪をかけて、タイトルが「嘘」というのがすごい。誰かのすさまじい体験や想いが記されるときに、「全部本当のことを書いた」といわれても、タイトルが嘘である以上わたしは書き手を信じ切ることができないでいる。でも世の中の文章なんてほとんどそうなはず。エッセイだろうが体験漫画だろうが、創作である可能性はどのようなものにもあるし、何かの事象を書いていても、誰かの視点を通した筆記であることを、読者である自分はあまり考えず読んでいる。その不確かさを再確認できる「嘘」。この構造がすごくて、どこか読後はキツネにつままれたような気持ちになる。 USO2のはなし。 特集は「YOU」、「あなたの大切な人を教えてください」という問いからスタートしたとも書かれていた。 やっぱ全部おもしろい。という感想でも十分だと思うのだけれど、特にいとうひでみさんのすごみというのを実感した。 いとうさんの淡い色味と不思議な世界観・切ない色気を感じるイラストがもともと好きすぎるということもあるのだけど、書かれていたことや記憶のうえでのいとうさんのどうしようもできないムーブというのが一つひとつえぐい。一生忘れられないYOUの話しであり、なぜいまその仕事をしているのかの答え合わせのようでもあって、苦しくなった。 USOに出会う数年前、いとうさんに似顔絵を描いてもらったことがある。渋谷で行われていたちょっとしたイベントで、描いてもらっているときに、どうしてイラストを描き始めたのか…というような質問をなんの気無しにした(きっと対面で絵を描くときに、何万回も聞かれている質問だろうなと思う)。 会社員をしながらカルチャースクールで描き始めたことから今に至るまでのタイムラインを聞いて、なかでも印象的だったのは「やりたいことあるならやったほうがいいですよ」という言葉だった。そのときは、「やっぱり自分の向かうべき場所が見えてる人ってすごいな」と、単純に思っていたのだけど。このエッセイを読んでその言葉の印象がガラッと変わってしまった。 「USO」に書かれていることは嘘かも本当かも正直わからない(いや、なんか本当なんだろうけど)。でもわたしはひとつだけでも本当だという確信を得てしまったのかも。いや、わからないけど。わからないけどたった一言に意味を感じ始めてしまうくらいにはけっこうすごい一編だった。 ほかにも、『チェルノブイリの祈り』読んでみようとか、閉所恐怖症ってめっちゃ怖い(し、頼れるべき人に頼れないことも怖い)とか、若林さんのエッセイの冒頭の問いとほんとうのことについての考察は普段意図せずに困ったり諦めたりめんどくさーと思ったりしている自分の思いを言語化してもらったような気持ち。 なによりこの本を、特集を、深みを持って1冊にまとめる野口理恵さんの手腕がすごいなぁ、好きだなぁ。と思う。

Posted by ブクログ