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善医の罪
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2020/10/23 |
JAN | 9784163912783 |
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商品レビュー
3.8
27件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
実際の事件をモデルにした医療小説。冒頭の横川の尊厳死を描く場面は、医者でもある作者の真骨頂でもある。とてもリアルで、その現場で眺めているかのような感覚を覚え、手に汗を握りながら読んだ。 本小説のテーマは安楽死であり、安楽死が認められていない状況下では自分の希望通りの最期を迎えることができない、想像を絶する悲惨な最期を迎える可能性がある、医師が罪に問われる可能性がある以上積極的な医療行為が行われない可能性があるといった問題を提起している。また裁判の描写を通じて、医療と法律の問題も描いている。超高齢化社会を迎えようとしている日本は、これらの問題にもっときちんと向き合うべきだと考えさせられた。 安楽死の問題を考える際、我々は患者側・その家族の側の視点で思考することが大半だ。一方でこの小説を読むと、医療行為を施す医師の側の感情、思考、葛藤がリアルに伝わってくる。「白衣の輪郭がぼやける」という表現に代表されるように、安楽死の問題については医師もまた大きな迷いや葛藤を抱えているのだろう。一方の視点からのみ考えてはならないことを強く認識させられた。 読み進めていく中でもう一つ気になったのは、横川の死が個人的なものでなくなっていく過程である。 死は人生の終幕であり、本来は個人のものなのである。しかしながら、登場人物の多くがそれぞれの思惑に沿って横川の死を少なからず利用しているように思え、嫌悪感を覚えた。横川の尊厳を傷つけているのはルネが行った医療行為ではなく、死後利用しようとしている側なのではないか。横川の妻の、「ほんとうはどうしてほしかったのだろう」という言葉はとても重く、尊厳を傷つけられないためには一人ひとりが「自らの最期」について少なからず考えておく必要があるのではないかと感じた。
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久しぶりの久坂部羊の小説 今まで読んだ久坂部羊の小説も凄かったでが、この作品も凄く考えさせられるストーリーでした。 尊厳死がテーマになっており、それに関しては日本は法律的にまだまだ未熟なのだと思わざるを得ないと感じましたが、必ずしも尊厳死が正しいわけでもなく、安易に容認されればマ...
久しぶりの久坂部羊の小説 今まで読んだ久坂部羊の小説も凄かったでが、この作品も凄く考えさせられるストーリーでした。 尊厳死がテーマになっており、それに関しては日本は法律的にまだまだ未熟なのだと思わざるを得ないと感じましたが、必ずしも尊厳死が正しいわけでもなく、安易に容認されればマイナス面もあり凄く難しい問題だと思いました。 しかし、登場人物の病院幹部やスタッフの性根の悪さが腹立たしい限りで、悪意ある証言が集まれば冤罪が簡単に成立されていく事や、検察が事実を追求するのでは無く有罪にする事しか考えずに事実と異なるストーリーを展開し、裁判長がそれを事実と判断する裁判の怖さを感じました。 事実に基づくフィクションらしいですが、事実が湾曲されても、判決を言い渡した裁判長の考えが事実になってしまう法律の怖さもありました。 医療訴訟に関わる人達は読むべき小説かもしれません。
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※このレビューにはネタバレを含みます
医療現場が抱えている問題点やジレンマがリアルに描かれている。 この作品を読んだ医療従事者は、追い詰められていく主人公に対して、人ごとではない心境になっただろう。 裁判での描写も含め、フィクションでありノンフィクションでもあるこの作品は、最後まで興味深く読み進めることができた。
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