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われもまた天に
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2020/09/28 |
JAN | 9784103192121 |
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われもまた天に
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商品レビュー
3.8
6件のお客様レビュー
「われもまた天に」(古井由吉)を読んだ。 矯めつ眇めつするほどの人生など生きてこなかった私ではあるけれど、還暦を過ぎてから殊更に古井由吉の文章が沁みてくる。 『ほんとうのことは、それ自体埒もない言葉の、取りとめもないつぶやき返しによってしか、表わせないものなのか。』(本文より)
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私の読書レベルが低いこともあり内容を味わうまではいかなかったが、死が近づいている人の心情の描写は興味深いものがあった。
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古井由吉の遺作を含む四篇を収めた単行本。 収録作はいずれも一見すると身辺雑記のようで、テンポの良い文体もあいまって、すいすい読めてしまうのだが、気が付くと語り手の想念の迷宮に入り込んでいて、読み進むほどに、ちょうど真っ直ぐに進んでいたはずなのに迷子になってしまったような不安を覚...
古井由吉の遺作を含む四篇を収めた単行本。 収録作はいずれも一見すると身辺雑記のようで、テンポの良い文体もあいまって、すいすい読めてしまうのだが、気が付くと語り手の想念の迷宮に入り込んでいて、読み進むほどに、ちょうど真っ直ぐに進んでいたはずなのに迷子になってしまったような不安を覚えさせられた。 「その晦渋な意味がようやく読み取れそうで、こんなに端的なことだったのか、と安堵の息を吐くと、束ねたつもりの意味がばらばらに散ってしまい、そんなことを幾度かくりかえした末に、眼も頭も疲れはてて目を覚ます。」(「遺稿」より) 「読み取るように誘いながら、もうひと掴みのところで散乱する」(同上) これらのフレーズは、そのまま古井由吉の文章を表したもののように読めた。 夢幻的といえば良いのだろうか。 現実のこととも思えず、さりとて夢と割り切るには明晰な、奇しい世界。 それをこんな風に描き出せる作家はそうそういないと思う。 古井由吉の本を日本語で読めることのいかに恵まれていることか、そんなことを思わされる一冊だった。 *** 最後に菊地信義の装丁の素晴らしさについても。 本体は薄いグレーとクリーム色のツートンカラー。そこに梗概が印字されたビニールカバーがかけられている。 このビニールカバー、少し手擦れるとカバーに印字された文字が本体に影を作り、ちょうど水面にゆらゆら揺れる葉陰のように見えるようにできている。 夢と現のあわいを漂うような作品と絶妙にマッチした秀逸な装丁で、何度眺めても飽きることがない。 絶対に単行本で持つべき一冊。
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