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渋沢栄一 日本のインフラを創った民間経済の巨人 ちくま新書1516
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2020/09/09 |
JAN | 9784480073181 |
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渋沢栄一
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
本書は、渋沢栄一が欧米の民主主義や資本主義を導入する際に、それらの背景にある異文化とどのように葛藤しながら「論語と算盤」(儒教精神と経済合理主義の両立)を基礎とした「合本主義」を形成し、またそれをどのように全国に広めていったのかを青年期から死去までを通観しつつ叙述したものである。...
本書は、渋沢栄一が欧米の民主主義や資本主義を導入する際に、それらの背景にある異文化とどのように葛藤しながら「論語と算盤」(儒教精神と経済合理主義の両立)を基礎とした「合本主義」を形成し、またそれをどのように全国に広めていったのかを青年期から死去までを通観しつつ叙述したものである。著者はその際に3つの試みをおこなったと述べる。1つ目は、「民主化」という概念を取り入れたこと、2つ目は渋沢の人生を編年体で俯瞰すること、3つ目は同時代の国内外の人物との比較の視点を取り入れることである。なかなか野心的な試みである(とくに3つ目)。 以下、いくつか気になった点を列挙しておきたいと思う。 1)渋沢の思想形成に頼山陽の『日本外史』があったとはよく言われるところであり、本書でもその点が指摘されている。『渋沢栄一は漢学とどう関わったか 「論語と算盤」が出会う東アジアの近代』などが参考文献として挙げられているが、やや説明不足。 2)渋沢が熟議を重視した、その根源的体験として①攘夷決行を打ち明けた時、②その攘夷決行を断念したときを挙げている。この熟議民主主義のアイディアは面白いと思うが、ちょっと飛躍があるかとも思う。今後の深化を期待したい。 3)渋沢のサン=シモン主義からの影響もつとに指摘されているところであるが、ここにこそ同時代人との比較史的視点をしっかりと入れて欲しかった。たとえば岩倉使節団はなぜサン=シモン主義に感化されなかったのか?などの問も成り立つのではないか。 4)本書の白眉は第2章、第3章である。第2章、第3章での渋沢の思想と行動を整理した上での著者の合本主義の定義(「公益を追求するという使命や目的を達するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方」p.167)は、非常に重要だと思われる。ここでも問題は、それが同時代人にどれだけ共有されていたのか(あるいは、いなかったのか)という点であろう。たとえば岩崎弥太郎は上記の合本主義とまったく相容れない思想の持ち主だったとよく言われるが、岩崎的な方法が日本の産業化にとってマイナスだったとは必ずしも言えないだろう。優劣を論じるのではなく、後進国日本の産業化にとってそれらが相互補完的であったという仮説を置いて考えてみる必要があるのではないか。 5)第4章は「ヨーロッパ重視から米国重視へ」という章タイトルが付けられているが、渋沢の自由貿易主義から保護貿易主義への転向、日露戦争に対する財界協力への転換(児玉源太郎と渋沢のやり取りは確か『坂の上の雲』にも登場してたのように記憶している)、その財界のリーダーの中野武営へのバトンタッチなどなども合わせて考えるべきで、多分、色々なことが連動している。これらを総合するためのグローバル・インテレクチュアル・ヒストリーが必要。言うは易しおこなうは難しだが。 ほかにも重要な論点はいくつもあるように思うが、それはまた追々考えていきたい。
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大河ドラマの俳優さんを頭で動かしながら読んだ。 殿のために。幕臣の矜持、日本のために。 とはいえ、ものすごい数の会社を立ち上げるバイタリティには尊敬の一言。 色々な場所がより親近感を持てるようになった。
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今年(2021年)の1月に、童門冬二著『渋沢栄一 人間の礎』(集英社文庫)と、安藤優一郎著『渋沢栄一と勝海舟』(朝日新書)を読みましたが、どちらも渋沢の前半生を中心に書かれているので、後半生(実業家としての渋沢)に詳しい本もそのうち読んでみたいと思っていました。 『渋沢栄一 ...
今年(2021年)の1月に、童門冬二著『渋沢栄一 人間の礎』(集英社文庫)と、安藤優一郎著『渋沢栄一と勝海舟』(朝日新書)を読みましたが、どちらも渋沢の前半生を中心に書かれているので、後半生(実業家としての渋沢)に詳しい本もそのうち読んでみたいと思っていました。 『渋沢栄一 人間の礎』の中で、後半生に詳しい本の一冊に、中公新書の木村昌人著『渋沢栄一ーー民間経済外交の創始者』が挙げられており、手軽な新書が好きなのでこれを読むつもりだったのですが、書店になくて、そのかわり、同じ著者によるこのちくま新書ならあったので購入してみました。 そして8月、NHK大河ドラマ『青天を衝け』が半分以上過ぎ、栄一が民部公子(徳川昭武)のお供でパリに行っているところで、東京2020五輪の中断期間に入ったので、そろそろ栄一の後半生を知っておこうと思い読み始めたのでした。 本書では、渋沢栄一の人生を編年体で追っています。つまりこの新書一冊で、渋沢の誕生から死去までの流れをたどることができます。それも、ただ彼ひとりを追うだけでなく、国内外の関連人物たちについても丁寧に書かれており、しかも当時の世界情勢とともに語られるので、タテとヨコ両方の視点で、渋沢栄一という人を、ひいては日本という国の歩みを複合的、立体的に見ることができます。さらに、渋沢が死後にどう評価されているか、また、もし現代に渋沢栄一が生きていたら、という考察まであり、とても興味深く読みました。 ただわたくし経済が苦手なもので、読み始めるとすぐ眠くなってしまって困りました。加えて新書としてはけっこうなボリューム(357ページ)なので、読み終えるのにものすごく時間がかかってしまいました。でも読んで本当によかった。すごく勉強になりました。これからも必要に応じて再読していくことになるでしょう。 最も感心したのは、渋沢のブレない姿勢とねばり強さ。何があってもとにかく「官尊民卑の打破」と「論語と算盤」の精神(道徳経済合一説)と合本主義の三点を柱に動くので、迷いがなく素早くて、でも決して急がず焦らずじっくり取り組み、そして良い結果を生む。だから周りからも信頼される。まさしく〈想像を絶するほど多岐にわたる事業〉を手がけ、ひとつひとつ〈物事の筋を通し、目的を達成するために一番よい案を作成して実行に移〉してきた、このハンパないブレなさとしたたかさは、少しでも見習いたいと思いました。 西南戦争後に実際にあったという〈渋沢と福沢諭吉が将棋を指し、それを大隈重信と岩崎弥太郎が観する〉シーン、将来一万円札の顔になる2人が将棋を指しているとは。私も見てみたい。
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