心は孤独な狩人

カーソン・マッカラーズ(著者), 村上春樹(訳者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2020/08/27
• JAN: 9784105071813

商品レビュー

2024/09/24

「心は孤独な狩人」（カーソン・マッカラーズ : 村上春樹 訳）を読んだ。

出口なんか見えない痛みに満ちた時代に生きる人々を透き通った眼差しで描き切る筆力が凄い。

《ちょっとそれは無いんじゃないか？！》
そうつぶやきたくなる重苦しい物語ではある。
が、
《そうなんだよな良くも悪くも時は流れていくんだよな》
とあらためて気付かされる物語でもある。

しかしまあ考えてみれば人種差別はいまだに蔓延り、貧富の格差は広がるばかりの今の世界も楽園とは言えないわけだが。

誰もが彼に向かって語りかけそれを静かに受け止めるジョン・シンガー自身の悲しみを受け止める者はどこにもいない。
はたしてジョン・シンガーとは何者であったのか？

『すべての人間の悲しみの根幹をなす言葉』（本文より）を胸にしまう。

2024/06/06

全編に漂う寂しさ。
受け止め続けた男、シンガーは何を思ったのか。
手を伸ばしても伸ばしても届かない　そんなものに焦がれ続けた者たちの物語。そんな風に読んだ。

2024/04/03

人々を惹きつける神秘的な啞、
なぜ人々が訪ねてくるのか分からないまま孤独を抱えるシンガー。

貧困に喘ぐ第二次世界大戦直前の南部に生きる人々を描いた作品。

全体として悲しみに覆われる