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歴史の中のロシア革命とソ連
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 有志舎 |
| 発売年月日 | 2020/08/25 |
| JAN | 9784908672422 |
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歴史の中のロシア革命とソ連
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”ソ連は「民主主義を否定したわけではなく、それどころか「高次の民主主義」達成という自己意識をいだいていた”(第2章)とある。詳細は、注釈にある松戸清裕氏等の著作を見るしかないが、著者の視点は評議会としてのソヴェトには直接民主主義的な性格があったのになぜ機能しなくなったのか、この問...
”ソ連は「民主主義を否定したわけではなく、それどころか「高次の民主主義」達成という自己意識をいだいていた”(第2章)とある。詳細は、注釈にある松戸清裕氏等の著作を見るしかないが、著者の視点は評議会としてのソヴェトには直接民主主義的な性格があったのになぜ機能しなくなったのか、この問いは参加型の民主主義を目指す現代の我々にも無縁ではないとしている。そもそも民主主義は絶えず危機にあるのはインターネット等による偽情報にあるとおりだ。情報を発信することは参加型の民主主義のひとつで、個人が不安定になれば民主主義は破壊されるだろう。この点を深めるなら「アメリカ建国とイロコイ民主制(みすず書房)」、「民主主義の非西洋起源について──「あいだ」の空間の民主主義(以文社)」が参考になる。 ブレジネフ期より特にイデオロギーが儀礼化(それは社会主義構築にソ連は1917年から失敗したためだと私には見えるが)し、地政学的対抗が膨張、今日にまで続いている、としている。そのイデオロギー、著者は”革命からあまり時間的に隔たっていない時期においては、革命的理念への熱狂――それは大量の犠牲を正当化する独善と表裏一体だった――が多くの人々を捉えていた。”としているが果たして民衆はボリシェビキ政権を支持したのか。これは歴史書を読んで各自判断してほしい。地政学の問題はすでに1917年から(外国の干渉、世界革命の理念から周辺国への介入など)クレムリンは重要視していた。ただし、米ソの冷戦、米ソの軍拡競争を最重要視するならブレジネフ期に地政学の問題を論じることになるだろう。 終章ではロシア革命の記念日を10年単位で振り返っている。ロシア革命を私はクーデターと見なす立場から著者とは距離があるが、この出来事が世界に及ぼした影響を探求する作業については私も共有する。未来が同じ失敗を繰り返すことを否定できないからだ。そのためにもレーニンによって間違った解釈をされてしまったマルクスのイデオロギーを再評価する作業が必要かと思う。 さて、ロシア一〇月革命について。著者は1917年10月の政変を革命と評価している。それは「夏から秋にかけて彼らが急速に大衆的支持を拡大していった」ことを根拠とした。しかし、ボリシェビキの支持は都市の労働者、あるいは兵士が中心であり、人口比は全体の2割ほどしかなかった。農民が多数を占めており、彼らはエスエルを支持していた。実際11月に行われた全ロシア憲法制定議会選挙でもエスエルが40%、ボリシェビキは24%という結果が出たのだ。 また、ボリシェビキ党内でも武装蜂起に対してレーニンに忠実な幹部さえ反対をしており、中央委員会は真っ二つに意見が分かれていた。それほど意見は揺れているなか、最後には軍事革命委員会が設置され軍を掌握した時点でクーデターは完遂されたのである。これを革命とは到底言いがたい。 そもそもボリシェビキは資金調達のために銀行強盗を始め様々な反社会的行為を重ねてきた。当然レーニンも関与している。そのような規範を欠いた集団が政権につけば過酷な統治を厭わないことは当然であり、10月クーデターは悲劇の始まりと言わざるを得ない。 そして、「軟弱すぎるリベラルや穏健社会主義者」によってクーデター=「ボリシェヴィキが勝利した」ことを「歴史の必然」と捉えるのは問題で、権威主義が勝利するのは「歴史の必然」ではない。その複雑な原因を検証するのが歴史家の仕事かと思う。 この章はペレストロイカにおいてボリシェビズムが逆向きに(エリツィンような急進派)作用したという。私はむしろレーニンのボリシェビズムとプーチンの権威主義を対比させた方が説得力があると思う。これはボリシェビズムを逆向きにする必要もない。国家、あるいはイデオロギーの発展のためには邪魔者を暴力的に排除し、それを正当化する点で共通しており、民主主義や、法の支配すら退けてしまう。10月クーデターの悲劇は今も続き、隣国のウクライナがその惨禍を受けている。 著者のソ連が抱えた問題をスターリンのみに集中させているようだ。これはソ連がレーニンを神格化してきた歴史・プロパガンダをそのままなぞっているように見える。ロシア革命前後のレーニン批判が全くないことでは本来あるべき社会主義を語ることはできないだろう。
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