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革命記念日に生まれて 子どもの目で見た日本、ソ連
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革命記念日に生まれて 子どもの目で見た日本、ソ連

エルヴィン・ナギ(著者), 野中進(訳者)

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革命記念日に生まれて 子どもの目で見た日本、ソ連

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東洋書店新社/垣内出版
発売年月日 2020/08/24
JAN 9784773420388

革命記念日に生まれて

¥220

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2021/04/03

昔、ソビエト社会主義共和国連邦 という国があった。ソ連と略して呼ぶことも多かった。 今もロシア共和国を脅威と感じる人は多いかもしれないが、20世紀における東西冷戦の東側の頭領であったソ連に対して自分たちが“抱かされた”印象はもっと強烈だったと思う。 抱かされたとしたのは、当時のソ...

昔、ソビエト社会主義共和国連邦 という国があった。ソ連と略して呼ぶことも多かった。 今もロシア共和国を脅威と感じる人は多いかもしれないが、20世紀における東西冷戦の東側の頭領であったソ連に対して自分たちが“抱かされた”印象はもっと強烈だったと思う。 抱かされたとしたのは、当時のソ連は現在の北朝鮮に近く、観光旅行などで行ける場所ではなかったので、抱く印象はあくまでも誰かからの伝聞でしかなかったからだ。 本書の作者であるエルヴィン・ナギ氏はソ連のタス通信社に勤めるアレクセイを父にもち、生まれて間もない1931年に来日した。 鎌倉に住み、本書はその日本での暮らしの記憶から語られ始める。当然、幼い頃はソ連という母国を知らないママ育つが、母国について聞かれると必ず「世界で一番素晴らしい国 ソ連」と答えるようにしていたというあたりが、少しソ連という国の緊張を伝えている。 その後、37年末に家族がモスクワに戻ることになる。 日本にいる時、ソ連は世界で一番素晴らしい国と教えられていたが、少年の目から見てもモスクワの暮らしは日本に比べて遅れているように映っていた。しかし、それを口に出す事は危険であることも教わる。 そして最も危惧していたことが起こる。帰国した翌年父親が逮捕され、10年の重禁固刑を受けることになったのだ。 ここから作者ナギと残された母親の二人での苦労が始まる。 独ソ戦が始まり、大祖国戦争(ソ連における第二次大戦の呼称)が勝利に終わった後も、国に対して反対の意見を持つような事を悟られないように注意深く暮らす必要があり、父親が国家に叛逆した罪で罰せられたという事を隠し、時にはその事を隠していたという事で不利な立場になりかけたりと、まるでディストピア小説を読んでいるような感じを受ける。 後には、重禁固刑を受け、病死したとされていた父親は、実際には銃殺刑になっていたことがわかる。 ペレストロイカで公開された情報により、父親の尋問記録や、誰が父親を密告したのかが明らかになるくだりは、それを一定の冷静さを持って受け入れるナギ氏の心情は想像できない。 これをディストピア小説のようと書いたが、果たして日本はどうだったのか。ナギ氏は鎌倉に住み、恵まれた暮らしを送っていたが彼の家族が帰国した1937年の前年、36年にはニ・二六事件が起きている。 ニ・二六事件は日本で起きた軍事クーデターだが、クーデターを起こした青年将校らは、日本の地方の農村漁村が貧困に喘ぎ苦しんでいるのは悪政によるものであり、それを天皇親政によって改めようとしていたのだ。鎌倉の恵まれた暮らしの背後に、飢えた暮らしをする人々がいたのだ。 その国を神国と呼ばせ、必ず勝てると戦争にかき立てた日本の状況は当時のソ連とどれだけ違うというのか?読んでいて他国の事と言っていられない気になった。

Posted by ブクログ