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都市で進化する生物たち “ダーウィン"が街にやってくる
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 草思社 |
発売年月日 | 2020/08/18 |
JAN | 9784794224590 |
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都市で進化する生物たち
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商品レビュー
4.3
8件のお客様レビュー
都市という「自然環境」の中で、外来種もたまには在来種も、生物たちは人間の環境変化のスピードに合わせて進化をしていく都市進化論の一冊。 読んでいると確かになぁと思うことも、それは知らなかったなと思うことも多々あり新たな視点を得られて楽しい本であった。動植物含め都市環境は世界的に収斂...
都市という「自然環境」の中で、外来種もたまには在来種も、生物たちは人間の環境変化のスピードに合わせて進化をしていく都市進化論の一冊。 読んでいると確かになぁと思うことも、それは知らなかったなと思うことも多々あり新たな視点を得られて楽しい本であった。動植物含め都市環境は世界的に収斂していくことの記載は特に記憶に残っている。 本書末の「わたしの狙いの一つは、読者が毎日のように歩き回っている都市の通りで目にする都市生物を、いまやもっと特別で、もっと興味深く、何気ない一瞥を投じるだけでは済まないほどの価値のあるものにすることだ。」の記載通りこれからは普段街で見かけるものの視点が変わりそうだ。早速カラスのくるみ置き現場に遭遇して、あれは進化·適応の結果なのだなぁと思った所である。
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著者はオランダの進化生物学者。特に前半が興味深い! 前半は都市で独自の進化を遂げつつある生物たちのストーリー、後半は著者の自然/都市論が語られる。 まず、自然に対するヒトの捉え方が少し独特。かつてビーバーが巣作りのために川を堰き止めダムを作るとき、元の環境は破壊され、そこに新たな...
著者はオランダの進化生物学者。特に前半が興味深い! 前半は都市で独自の進化を遂げつつある生物たちのストーリー、後半は著者の自然/都市論が語られる。 まず、自然に対するヒトの捉え方が少し独特。かつてビーバーが巣作りのために川を堰き止めダムを作るとき、元の環境は破壊され、そこに新たな生態系が生まれる。アリは大きなコロニーを形成するが、そのコロニーには好蟻性の昆虫たちが自分達のニッチを見つけ暮らしている。元の環境を変化させ、新たな生態系をも創造するビーバーやアリは、本書では「生態系工学技術生物」と呼ばれている。そして、その究極がホモ・サピエンスということだ。 世界は均一化した急速な都市化によって、かつての自然は失われている。だが、その都市という環境をニッチとして生きる好蟻性ならぬ「好人性」の生物が現れている。それは、元々都市化に向いている性質を持つという「前適応」によるものだったり、エピジェネティクスであったり、DNA自体の変異であったりし、最終的には分化した、違う種であると言えるほどの遺伝子的な特徴を持つまでに急速なスピードで進化を遂げている。 たとえば、本来暗闇を好むはずのクモが、電灯に群がる羽虫を捕らえるために進んで電燈近くに巣を張る習性を得ていること。かと思えば、都会の羽虫も徐々にだが人口の電燈に慣れていき、都会で何世代か経た羽虫は、森に住む羽虫より電燈に群がる数は少ないということ。 都会に住み着く鳥は、鳴き声の周波数が高いという前適応を持つために都会の騒音と競合せず仲間同士のコミュニケーションが取れること。羽の形状が短く丸く、瞬発力を持つこと。また、鳥の中には森の中で住んでいた頃より周波数が高くなっていく種がいたり、長距離を飛ぶよりも瞬発力に優れた羽の形状に変化していっていること。 また、興味深いのは、都会という新たな環境に適応している動物たちの特徴は、問題解決に関する知性を有すること、新しいものに興味を持ち、魅力を覚えることであるという。これは人の社会での在り方にも準えることができそうだ。 また、私が以前たまたま福岡に行った時に印象に残った市民センター「アクロス福岡」が載っていたのに驚きだった(アルゼンチンの建築家エミリオ・アーンバースが建てた「福岡県民ホール」とあったので、多分このことだろう)。ここの屋上庭園には76種の草木の種子が蒔かれ、理想的な植物の混生状態に工夫されている。ただ、筆者としては、より理想的なのは、緻密に計画された植生よりも、何も植えない空白を用意し、ただ飛んでくる草木の種子等の生育に任せるのがいいのでは、と言っているが。 個人的には、壁面全体を覆っていた植栽が年を重ねるにつれて最初から植えられていた植栽と、勝手に生えてきた草木とが合わさりある意味新たな都会の中の自然を作り出していくのもまたいいのではと思っている。明治神宮の100年計画の森づくりのストーリーを思い出した。
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面白かった!スヒルトハウゼン博士は日本でもよく知られたオランダの進化生物学者、生殖器官のスペシャリスト。だが、本作は人間がドラマティックに環境を変化させた”都市”の”自然”環境にアジャストし、急速進化している生物についての、所謂総説。”Darwin"はダーウィン博士人物...
面白かった!スヒルトハウゼン博士は日本でもよく知られたオランダの進化生物学者、生殖器官のスペシャリスト。だが、本作は人間がドラマティックに環境を変化させた”都市”の”自然”環境にアジャストし、急速進化している生物についての、所謂総説。”Darwin"はダーウィン博士人物だけでなく、進化速度の単位でもある。1ダーウィンはおよそ1000年に0.1%の増加or減少。タイトルは都市の進化速度のあばれっぷりを感じさせる。 引用されている鳥関係の論文はすでに読んでいたものがほとんどだが、昆虫や植物類は初見のものも多く、フレッシュに楽しかった。先日読んだロソス博士のアノールの話ももちろん出てくる『生命の歴史は繰り返すのか』。スヒルトハウゼン博士のダシャレを日本語訳するのは、本当に大変なことだとも思う。 都市部特有の気象現象も生物に多大な影響を及ぼす、車や列車、人間がハリネズミの毛のように密集して過剰なカロリーを生み出し、その熱が高層建造物群の間に滞る、アーバンヒートアイランド。さらに、あらゆるところに使用されている、石材、アスファルト、金属が日中に太陽から直接、窓ガラスの反射光から間接的に熱を吸収し、夜間にゆっくりとその熱を放出する。住民数が10倍増えるごとに、気温は約3度上昇。さらに都心部には高温の空気柱が立ち上がり、そこに向かって全方向から風が吸い込まれる。空気柱が上昇するにつれエアは冷却され、空気柱に含まれる都市の塵の粒子を核にして水分が凝結、都市型集中豪雨が起きる。 島嶼生物地理という生態学理論の説明。騒々しい環境での鳥のさえずり変化の調査。エピジェネティクス。都市では男らしくないほうがモテる。シーボルトが日本からもちこんだ外来種。都市化研究のフィールドワーク。 たくさんの例がでてくる中から面白いものを挙げると ・ロンドンチカイエカ 地下鉄の構内で進化した蚊たち 路線によって亜種固定されている蚊 ・アリとアリ社会に特化して進化した生物たち 特にアリの化学言語は社会的免疫系として機能しているんだが、好蟻性生物のアリへのハッッキング方法が色々あってすごい。甲虫クラヴィガー(Claviger testaceus)は腺から昆虫の死臭を出すことができ、アリ自身に巣内の育児室の食餌場に運んでもらい、アリの卵、幼虫、蛹を食らう。 ・有名なマンチェスターのシモフリガの話 ・NYC公園のそれぞれで進化しているシロアシネズミ カビの生えたジャンクフードに発生する菌が生み出すアフラトキシンという発がん性有毒物質を中和する役目を担う通常とは大きくことなるAKR7遺伝子を持っている。さらに、FADS1という高脂肪食の処理をする遺伝子をも持つ。アイソレートされた小さい個体群の進化の例、ハリウッドの高速道路地帯のボブキャット、パリのインコなど。 ・ドバトの羽色と亜鉛 ・ヨーロッパアワノメイガとトウモロコシコンバイン ・メキシコのメキシコマシコとイエスズメ、タバコの吸い殻で巣の防虫。 ・マミチョグ ロンドン地下鉄の蚊 Why There's a Unique Mosquito Species in the London Underground https://youtu.be/l4BMT8K8Wx4 『アムステルダムの野生生物』(2015) De Wilde Stad filmtrailer https://youtu.be/y5Sho_Sqji8 トレーラー
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