ブラックウェルに憧れて

南杏子(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2020/07/17
• JAN: 9784334913564

商品レビュー

2024/07/20

実際に起きた事象を題材に、作者の実体験をもとに書き上げられた
どの国、どの業界でも差別はいまだに存在する
人種、性、宗教、多くの分野で
負けたくない気持ちからなのか
この小説は、今でも、存在する差別に一石を投じている

2024/07/14

医療版「寅に翼」だ…！

医学部の女性教授が、記者に「女性の卒業生の話が聞きたい」と言われて紹介するという形で、４人の女性医師の生活を描くお話。
この４人は苦労の末医学部に入学し、この女性教授が受け持つ解剖学の授業でたまたま同じグループになり、その学年の最優秀成績を取った人たち。

そんな風に一生懸命勉強して医師になったのに、現場に出てみれば女であることを理由に、組織や同僚から疎外されたり軽んじられたり攻撃されたり。
ハードな仕事と介護の両立で悩んだり。
頑張ってもうまくいかない人生に「こんなはずじゃなかった」と思いながら、「それでも私が選んだ道だ」と心を立て直す4人に共感しすぎて涙が出そうだった。

４人の医師が解剖学の授業を受けていたときの回想も入ることで、女性教授の戦いも実は描かれていて。
「女だけのグループが足を引っ張ったらどうするのか」と言われて強く反論した理由が、最初の記者とのやりとりにつながる。
最初の「ようやく強者が弱者の言葉に耳を傾け始めた。」の重みがぐっと増す。

私は異国日記（漫画）で、医学部を目指す女性をどれだけ傷つけたか理解したけど、傷ついた人はもっとたくさんいたんだな。

女性差別を語ると、そんなのは勘違いだと言いたい・思いたい人が一定数出てくるけど、筆者はリアル女医なので、ある程度は現実で見聞きしたことが含まれてるんだろうね。

タイトル「ブラックウェル」は世界で最初の女性医師。おまけ的に最後にその方の紹介があったもよかった。

2024/06/02

　ブラックウエルという人を初めて知りました。『虎に翼』の虎子さんもそうだけど、こうやってがんばってきた女性がいるから今の私たちがあるんだなあと、つくづく思います。

　以前話題になった医学部受験での女子学生への不正問題をきっかけに4人の女性医師たちの物語が始まります。
　みんながんばっているけど、ままならないことばかりでヤキモキされます。でも、泰子教授の止まったら負け、泣いていたって何も変わらない、自分の目指す道をひたすら歩むしかない、そして、何度でも宙返りできるという言葉に、そしてその後の4人の姿に本当に勇気づけられました。