記号論講義 日常生活批判のためのレッスン ちくま学芸文庫

石田英敬(著者)

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2020/07/13
• JAN: 9784480099891

商品レビュー

2025/11/12

記号論講義
日常生活批判のためのレッスン
著：石田　英敬
出版社：筑摩書房
ちくま学芸文庫　イ-41-2

難しかった。１か月以上、見たり見なかったり、行ったり来たりしていて、文章化するのが大変でした。つらかった。

ただでさえ、一般化している記号をさらに、抽象化してゆこうとしているのが記号論であって
いろいろなモノを記号として解釈していくというのが本書の流れで、最初に一般記号学の提唱があって、そのあとに、いろいろなモノを記号化して解釈していくという内容とおもいました。

■一般記号学

冒頭に一般記号学の提示と書いてあります。
一般記号学の系譜とは、２つあります

１つは、スイスの言語学者ソシュールの提唱した記号学、
もう１つは、アメリカの論理学者パースの提唱した記号論です。

■ソシェールの記号学

ソシュールの記号学は、言語を記号のシステムとしてあつかったもので
言語記号は、次の２つに分類されるとしています

　シニフィアン：意味するもの、記号表現
　シニフィエ　：意味されるもの、記号内容

また、言語記号のもっとも基本的なものは、音素からなる音素体系です
日本語なら、１６の子音と、５の母音からなるです
音素があつまってはじめて意味のある形態素になります。意味作用の最小単位としています。

これら記号の反復が、言語を形成していきます。

現代の生成ＡＩの考え方がこの形態素にもとづくもので、分かりやすいとおもいました。

■パースの記号論

パースの記号論は、記号の認知、解釈、推論をめぐる問題化の系譜とあります

記号論は、人間と宇宙のあらゆる現象を、記号のプロセスとして捉える汎記号説敵な記号論と記載があります

記号から記号へと向かうたえざる講釈のプロセスを通して、宇宙全体の記号現象と結びついてる、そのことを
セミオーシス（記号過程）とよんでいます

記号と記号との間のプロセスを記号論といっているととらえました

一次性　それ自身として、他の何も参照せずにそれ自体として存在する存在の様態。ようは単独
二次性　そのようなものが、第二のものと関連し、しかし第三のものとは関係せず、そのようなものであるようなもののあり方　ようは２つの関係
三次性　ある第二のものと、第三のものとを相互関係にもたらすことにおいて、それ自身であるようなものの在り方　ような２つの関係に、さらにもう１つ加えたもの

また記号の分類として、表意体、対象、解釈項があり

表意体あるいは記号＝ある観点もしくはある能力において何かの代わりをするもの
対象　物＝志向対象
解釈項＝記号の別の記号による解釈

記号を次々に、別の記号によって解釈を無限に繰り返していくことを、無限のセミオーシスといっています

さらに、セミオーシスを３つに分類するもの

意味論　対象と記号との関係を扱うもの
統語論　記号と記号との結びつきの関係を扱うもの
行為論　記号とその解釈項との関係を扱うもの

に分離しています

つまり、記号と記号との関係性を扱うのが、パースの記号論かと思います。

■日常生活批判

４章以降は、いろいろな対象を、記号とその関係を捉えて論じるもので、応用編です

　メディア
　空間
　都市
　欲望
　身体
　象徴政治
　いま（時間ということでしょうか）
　仮想空間

記号の一般化でしょうか。仮想空間にいたっては、デジタル化されたものは、０と１との組み合わせになるので、当然その全対象を記号として取り扱えるというものです

たぶん、具体的にしたら、そう言葉を重ねずに理解がはやいとはおもいますが、矛盾なく、抽象的なものを表現することは非常に難しいとおもいました。（数学の連続性などは、ひと言では言い表せないので、そういったものかと）

まあ、コンピュータ屋は、最小の記号に分解して、それらの関係性を説明できるのであれば、たちまちコンピュータで取り扱うことができると考えましたが。

目次

はじめに　日常生活の意味を捉える

１　モノについてのレッスン
２　記号と意味についてのレッスンⅰ
３　記号と意味についてのレッスンⅱ
４　メディアとコミュニケーションについてのレッスン
５　“ここ”についてのレッスン
６　都市についてのレッスン
７　欲望についてのレッスン
８　身体についてのレッスン
９　象徴政治についてのレッスン
10　“いま”についてのレッスン
11　ヴァーチャルについてのレッスン

ISBN：9784480099891
判型：文庫
ページ数：640ページ
定価：1700円（本体）
2020年07月10日第１刷発行
2022年06月10日第５刷発行

2023/11/07

類像記号……事物そのものを表す。例　言葉や似顔絵等

指標記号……事物があって初めて存在する記号　例　それ　足跡　立ち上る煙　人差し指で指す指

象徴記号……人間によって恣意的に決められた法則に則って対象と記号の関係を決める。　例　花　車等の頭の中にしか存在しない抽象的なもの。
「象徴記号は特定の個々のものを指示することができない」

2022/11/05

1
ゴッホ「靴」とハイデガー
（大地・世界の分節）
リルケ「アメリカ的」

「赤いモデル」
マグリットのモチーフとフロイトの精神分析（無意識）

ウォーホル「ダイヤモンド・ダスト・シューズ」のメディア、simulacreに対する批評（メディア、モノのあいだ）

ポップアート化、広告化

2
クレー『造形思考』

言語記号による言語活動の意味作用による意味活動

記号は同一性よりも「反復」=ソシュールの共時態

3
多元性　multimedia マルチモーダル

4
メディア
147 物質的なモノが、記号活動を支える媒質と化した状態
=物質+記号

マクルーハン「メディアは人間の身体の拡張である」
「感覚比率」

「グーテンベルクの銀河系」=視覚優位の文化

5

6
バルトと東京（パリンプセスト都市）
「空虚な中心」
パリンプセスト状態

7

8
カラヴァッジョ「ナルシス」

森山泰昌　自己像と美の問題

9
象徴政治

象徴活動ゆえ忘却の回路ができる

10

11