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ベートーヴェンの愛弟子 フェルディナント・リースの数奇なる運命
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 春秋社 |
発売年月日 | 2020/04/25 |
JAN | 9784393932209 |
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ベートーヴェンの愛弟子
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2024.2.11 市立図書館 「ベートーヴェン捏造」からの芋づるで、同じ著者が手がけたノンフィクションを手にとる。若い頃の数年間の弟子としての日々、のちにベートーヴェンの伝記の執筆者(証言者)の一人として名の残るフェルディナント・リースの生涯を追った評伝(まとまったものとしては...
2024.2.11 市立図書館 「ベートーヴェン捏造」からの芋づるで、同じ著者が手がけたノンフィクションを手にとる。若い頃の数年間の弟子としての日々、のちにベートーヴェンの伝記の執筆者(証言者)の一人として名の残るフェルディナント・リースの生涯を追った評伝(まとまったものとしては世界初)。 リースくん(←「運命と呼ばないで」の影響)の波乱に満ちた人生もさることながら、フランス革命のころのヨーロッパ各地の政治・経済やそれと切り離しては語れない音楽業界事情…当時はまだ新しく発展途上の楽器だったピアノが主要な楽器になっていく過程、「クラシック音楽」というジャンルの確立や「指揮者」の誕生というようなことがちょっと詳しくわかるのがとってもおもしろい。ヨーロッパが混乱していてロシアや英米がそこから逃れる希望の地だった時代、ベートーベンより一回り若いリースくんはここぞというタイミングで徴兵されたり街がフランスの侵攻をうけたりしてそのたびに音楽どころじゃなくなってしまい、そのうち新世紀生まれの次世代に注目が移ってしまうという非常に運と間の悪い世代なのだけど、それでも生まれ故郷のネットワークや自ら開拓した縁を活かしながら必ず音楽の道に戻ってきて新しい道をひらいていく姿ににわくわくしたし、後半生は幼い娘の死や体調不安に若い音楽家たちの台頭、世代交代という荒波にもまれつつ、最後にもう一花咲かせるようにベートーヴェンとの日々を書き残したのだなと思えた。私自身が団塊ジュニアの氷河期世代で、不遇の世代だということを感じながら生きてきているので、読みながらいろいろ思うことは多かった。 今回の伝記が依拠したおもな資料はリースの書簡集とのこと。記録魔や筆まめな人たちの残したものからわくわくするような大河ドラマやノンフィクションが生まれたのだと思うと、書いた人もそれを大事にとっといた人にも感謝でいっぱいになる。 ちなみに「ベートーヴェン捏造」のシンドラー(ベートーヴェン晩年の秘書)はここでは名前も出てこない(リース晩年にベートーベンの伝記絡みでさらっと)。
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フェルディナント・リースはフンメルとともにベートーヴェンの弟子として知られるが、主にベートーヴェンに関する覚書によって師の伝記に登場するのみで、その作品が録音されるようになったのはここ20年くらいだ。 リースのおそらく世界初の評伝。大変画期的な書だ。 ベートーヴェン家とリー...
フェルディナント・リースはフンメルとともにベートーヴェンの弟子として知られるが、主にベートーヴェンに関する覚書によって師の伝記に登場するのみで、その作品が録音されるようになったのはここ20年くらいだ。 リースのおそらく世界初の評伝。大変画期的な書だ。 ベートーヴェン家とリース家は近く、どちらもボンでマクシミリアン選帝侯の宮廷音楽家の家系だった。ところがボンはフランス軍に占領されて宮廷は解体。仕方がないからベートーヴェンを頼ってウィーンに行き、そこで5年ほど、ベートーヴェンの仕事を間近に見習い、ピアニストとして目覚ましく成長する。デビュー・コンサートはベートーヴェンの指揮で師のハ短調ピアノ協奏曲のソリストを務めることになるが、カデンツァの作曲が課題として出された。易しいのと難しいのを書くが、難しいのは弾き果せず、安全を期して易しい方を弾くことになったが、本番になっていきなり難しい方をミスなく弾いて師を唖然とさせる。そういう人なのだ。 ところが、フランス軍の徴兵に遭い、故郷に戻らなければならなくなる。徴兵は免れたものの、フランス国民扱いならとパリに行って仕事を探すが、そこでは芽が出ず、ウィーンに行ったら、今度はオーストリア軍の徴兵を受けて、故郷に戻る。音楽生活の振興著しいロシアでは大成功を収めるが、2年目つまり1812年になったら、ナポレオン軍が攻めてきてロシアでの活動は断念、帰路、スウェーデンでは大歓迎。そのままロンドンにわたって、そこで妻を見つけ、11年間居つく。40代を前にリタイアの気持ちで帰郷すると、フランスの支配は終わっており、ドイツの作曲家ということで大歓迎を受ける。もう一仕事するが、53歳で死亡。 と、あらすじを書いてしまったが、細部が面白いのだ。まず冒頭でカットバックされる、海賊に襲われる場面とか(実は海賊ではなくイギリスの私掠船)。 なかなかの波瀾万丈の人生。この人ほどベートーヴェンの影響の強い作曲家は他にいないが、ベートーヴェン晩年の音楽は理解できなかったようだ。私はそのあたりがリースの芸術の限界だったのではないかと思う。著者によると、教育に熱心ではなく弟子がいなかったのが忘れられた理由ではないかとしているが。
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『ベートーヴェン捏造』にも出てきたリースという弟子を取り上げたということで読んでみた。 前作のシンドラーがあまりにパンチが効いていたので、リースは地味に感じる部分もあったが、海賊に襲われてもめげずに武勇伝にして仕事に繋げてたり、終始そつなく仕事まとめてたりで、精神的にイケメンだ...
『ベートーヴェン捏造』にも出てきたリースという弟子を取り上げたということで読んでみた。 前作のシンドラーがあまりにパンチが効いていたので、リースは地味に感じる部分もあったが、海賊に襲われてもめげずに武勇伝にして仕事に繋げてたり、終始そつなく仕事まとめてたりで、精神的にイケメンだな、リース。 後書きにあるように、巻末の充実した資料もあるし、次なるリース研究に繋がりそうな一冊。またまた力作だなぁ。
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