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激動の高等教育(下)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ジアース教育新社 |
発売年月日 | 2020/04/07 |
JAN | 9784863715462 |
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激動の高等教育(下)
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2021年、『論語と算盤』が注目を浴びている。このエッセンスを一言でいうと「人間は「論語で人格を磨くこと(道徳・信用)」と「資本主義で利益を追求すること(欲望)」の両立が大切、と説いた渋沢栄一の教育論である。物事を一面的にとらえることなく、対極にあると思われるこれらのバランスを取り、全体をうまく包み込みながらとらえていく必要性を説いたもの。 しかし、今の(大学)教育行政は、あまりにも資本主義的要素(競争で優位に立ち儲けたいという欲望)が強調されすぎている。 もともと政府・文科省の役割は、大学の自主・自律をサポートする制度作りと十分な資源配分のはずだ。自律性が重要な大学運営の細部(ミクロ)に関与することではない。 こう考えると、2005年の中央教育審議会答申『我が国の高等教育の将来像』(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1335602.htm)で示された「機能分化」の考え方も重要だ。800近くある多様な大学を、十把一絡げで論じても空虚で、一般的な改善策を強要されたりしても「万能薬」では効果が出ようもない。種別ごとに緩やかに機能分化を誘導し、資源配分していくべきだと思うからだ。 次に重要になるのが、大学の自主・自律性と学長のリーダーシップだが、2015年の『学校教育法』等の改正により、学長権限の強化とそれに伴う教授会自治の弱体化が進行してしまった。学長のリーダーシップをサポートするため、2017年4月には『大学設置基準』等が改正され、「SDの機会を設けること」などが明記された。 職員が「学長のリーダーシップを強化していくためには、単なる事務員という位置づけから、学長や学部長を補佐し、教育研究支援をしていくという位置づけに転換していくということには重要な意義がある」(pp.206-207)からだ。 アメリカでは、事務職員(Administrative Staff)が修士号や博士号を持っていることは決して珍しいことではない。本書でも触れられている法務、教育課程編成・実施、FD、のほか国際関係部門ででは特に必要だ。 著者は、日本では大学院卒業生の就職が状況が決して芳しくないことから、企業はもっと評価をすべきだと著者は指摘するが、そもそも大学というアカデミック・コミュニティですら、大学院修了性を積極的に採用していない現状は、大学そのものが、自己矛盾を起こしている証ではないか。 採用者側に問題があるのか、あるいはこれまでの大学院修了生側に問題があるのか。いずれにしても、大学側としては、大学院の教育内容・研究内容、大学のガバナンスの3点にも関わってくる大きな問題である。
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