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武器としての「資本論」
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武器としての「資本論」

白井聡(著者)

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武器としての「資本論」

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東洋経済新報社
発売年月日 2020/04/10
JAN 9784492212417

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商品レビュー

4.3

58件のお客様レビュー

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2024/08/14

マルクスの資本論は原典を読む能力も気力も無いので、解説本や何かの引用ばかり目にしている。佐藤優や斎藤幸平など。読む度に新たな発見もあり味わい深い。今回も、考えさせられた。 一つは「包摂」という問題。本書では「阻害」について解説はないが、いずれも資本に組み込まれ、生産性の奴隷化を...

マルクスの資本論は原典を読む能力も気力も無いので、解説本や何かの引用ばかり目にしている。佐藤優や斎藤幸平など。読む度に新たな発見もあり味わい深い。今回も、考えさせられた。 一つは「包摂」という問題。本書では「阻害」について解説はないが、いずれも資本に組み込まれ、生産性の奴隷化を純粋化した境地だ。人間は、自らを道具として扱い、それ故に、労働に感情を持ち込めず、他者だけでなく、自分自身とも利害関係を意識する事となり、脱せない自分に無力感を抱えた存在となる。 ー たぶん今「包摂」は、生産の過程、労働の過程を呑み込むだけでなく、人間の魂、全存在の包摂へと向かっているということです。クランスの哲学者ベルナール・スティグレールは著書「象徴の貧困」において、テクノロジーの進歩による「個」の喪失へ警鐘を鳴らしました。肉体を資本によって包摂されるうちに、やがて資本主義の価値観を内面化したような人間が出てくる。すなわち、感性が資本によって包摂されてしまうのだと。 ー 新自由主義とはいまや、特定の傾向を持った政治経済的政策であるというより、トータルな世界観を与えるもの、すなわち一つの文明になりつつある。新自由主義、ネオリベラリズムの価値観とは、「人は資本にとって役に立つスキルや力を身につけて、はじめて価値が出てくる」という考え方です。人間のベーシックな価値、存在しているだけで持っている価値や必ずしもカネにならない価値というものをまったく認めない。だから、人間を資本に奉仕する道具としか見ていない。 ー 資本の側は新自由主義の価値観に立って、「何もスキルがなくて、他の人と違いがないんじゃ、貸金を引き下げられて当たり前でしょ。もっと頑張らなきゃ」と言ってきます。それを聞いて「そうか。そうだよな」と納得してしまう人は、ネオリベラリズムの価値観に支配されています。 ー 人間は資本に奉仕する存在ではない。それは話が逆なはずだ。けれども多くの人がその倒錯した価値観に納得してしまう。それはすなわち資本による労働者の魂の「包摂」が広がっている。 本書で考えさせられたのは、今、改めて資本家階級が労働者階級からの搾取に遠慮がなくなっているという事、それと、しかし搾取一方では資本家にも不利益を被るため、その舵取りが重要だという事。イノベーションによる剰余価値は知れていて、結局は安い労働力が効く。階級闘争を抑え込まれた労働者は、弱体化しつつある。 しかし、そうなると有効需要が不足する。そのため、消費者でもあるボリュームゾーン、大衆層の労働対価をケチると、資本家の身入りも減るし、社会全体のサービスレベルも低下する。なんだならば結局は、持ちつ持たれつの良いベクトルではないか、と思うが、これは資本家同士が手繋ぎで応じた場合だ。抜け駆けの搾取を禁じるために、雇用の流動性、法律による労働者保護が重要だ。

Posted by ブクログ

2024/06/19

 本書では『資本論』における重要な概念を著者が丁寧に解説して、資本主義(資本制)の構造をとらえていくが、なかでも重要な概念が「商品」である。商品は近代以前から存在する「富」と異なり、資本主義社会以降に誕生したものである。マルクスは商品がある共同体の内部ではなく、自分たちが属する共...

 本書では『資本論』における重要な概念を著者が丁寧に解説して、資本主義(資本制)の構造をとらえていくが、なかでも重要な概念が「商品」である。商品は近代以前から存在する「富」と異なり、資本主義社会以降に誕生したものである。マルクスは商品がある共同体の内部ではなく、自分たちが属する共同体とは別の共同体と接触して、しかも共同体の等価交換が成立することによって誕生したと考えた。ゆえに富=商品とみなした古典派経済学をマルクスは批判した。  また本書では「包摂」という概念を説明しており、この包摂という現象を知ることで、資本主義社会をやめることが困難で、代わりとなる社会システムが見つからないのかがわかる。つまり資本主義社会はそれまで商品として扱われなかったもの(たとえば水や教育などといった社会インフラ)を商品化してしまい、しかも広範囲に押し進めるので限りがない。  さらに資本主義が誕生したきっかけを見ていくが、それによると生産手段の所有が大きなポイントである。言い換えると資本家が生産手段を持っていたのに対して、労働者は持っていなかった。しかしそれは歴史の必然ではなく、歴史の偶然性つまり人類の歴史がたまたまたどってきた一つの特殊な社会のあり方なのである。  最後に今もなお影響力がある新自由主義社会の脱却に触れており、著者によると人間が元から持つ感性に再度注目すべきではないかという。「ファスト」なものとは真逆のものに触れることが今後ますます重要であろう。

Posted by ブクログ

2024/02/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【身近に考えるマルクスと資本主義】 いろんな技術が発達して、より便利な社会になっているはずなのに、なぜ私たちはより忙しくなっているのか。 資本主義の本質を知ることを通して、このような現象を理解することを試みている本。 例えば、資本制社会が、生産性を不断に高めないといけないしくみであること。 資本主義をマルクス的に定義するとしたら、物質の流れが商品を介して行われる社会らしい。 そして、資本は価値を増やし続けて初めて成り立つものだから、限りなく商品の余剰価値を増やすために、効率化、労働力の低価値化、などが進められるとのこと。 労働力に焦点を当てて考えると、 資本家は、労働力が再生産される賃金・待遇を与え続けるーつまり、死なない程度、そして資本家化しない程度の、ということ。 そして新自由主義の広まった外題社会では、意識から資本に飲み込まれているという。つまり、資本のために生産性を上げているのに自分のためと錯覚してしまうこと。 現代に照らして考えると、 ・労働力不足というけれと、安い賃金・手薄い待遇で働く労働力が不足しているだけであり、それは資本家側が適切な程度の労働対価を与えていないことに問題があるのかもしれない。 ・リスキリングとか、アンラーニングとか、いろいろと自分の労働市場価値を高める言葉・コンセプトが流行ったりするけれど、結局自分のためではなくて、今の資本市場に資するように励んでいるだけの部分もあるということ。経済価値化されないことを無駄としてしまたら、まったくその通りだと思った。 あらためて、 最後の結論部分でも、感性の再建、という、なかなか難しい解を提示しているけれど、 自分は何に感動するのか、 経済価値抜きにして自分の感性を大事にすることが、私たち一人ひとりができる資本主義への抵抗だと思った。

Posted by ブクログ

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