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死ねない時代の哲学 文春新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2020/02/20 |
JAN | 9784166612529 |
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死ねない時代の哲学
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村上陽一郎著『死ねない時代の哲学 (文春新書 ; 1252)』(文藝春秋) 2020.2発行 2020.7.16読了 著者は『ペスト大流行』の作者である。著者は1936年生まれなので、83歳の作ということになる。著者はカトリック信徒だそうだが、安楽死やPAD(p108)に絶対...
村上陽一郎著『死ねない時代の哲学 (文春新書 ; 1252)』(文藝春秋) 2020.2発行 2020.7.16読了 著者は『ペスト大流行』の作者である。著者は1936年生まれなので、83歳の作ということになる。著者はカトリック信徒だそうだが、安楽死やPAD(p108)に絶対的反対を唱えていない。「人生100年時代」が叫ばれる中、なかなかリタイアさせてくれない社会構造が出来上がりつつあるが、死ぬことすらもなかなか本人の自由にならない時代が来ている。かつて、死は、それこそ道端の石コロのように至る所に満ちあふれていた。死ぬことを考えている余裕があれば、まず生きることに必死にならざるを得なかった。こう考えた時、死とは医学の進歩や平和によって発明された観念と言うことができる。これは『人生論ノート』で三木清が言った言葉でもある。もちろん、長寿社会は歓迎すべきことかもしれない。しかし、誰もが死について考えざるを得ない地点に立たされているのに、死は日常の場面からますます遠ざかっているし、一般に死について語ることはタブーとされている。近代科学は人の寿命を伸ばしたかもしれないが、いまや引き伸ばされた生は、ちょうどチューイングガムのように引きちぎれんばかりに張りつめている。人の命は生まれるときも死ぬときも他人の手によって統制されている。だからこそ、自分はどういう形で死を迎えたいのか一人ひとりが考えなければならない時機に来ている。 新型出生前診断(NIPT)(p194)がさらに高度化すれば、子どもは選ばれて生まれてくる。吉野弘の「I was born」ではないが、生まさられてくる。障害があると分かっていながら出産を選択した両親が、自らの子に訴えられる時代が来るかもしれない。命の選別はすでに始まっており、今後ますますその傾向を強くするだろう。先天性の病気や障害を持つ人々に対する視線がどうなるか。考えるまでもないだろう。不自然な形で生を強制されるということが、本人の苦しみにつながるのだとしたら、そして、それが根本的に解決できない問題なのだとしたら、自分の命を自分側に引き戻すことは決して悪ではないだろう。三島由紀夫のような他人を巻き込んだ自死は論外にしても、医学の進歩によって、もはや素通りできない時代になってしまった。しかし、欧米のような個人意識が薄い日本では、安楽死の制度化はむしろ裏目に出るリスクの方が高い。命は自分のものでもあり、社会のものでもあるという意識が高い日本では、終末期鎮静(p162)たる折衷案しか表に出てきていない。実に日本らしい考え方だが、お上意識の強い日本人の特性を考えたとき、制度化以外の方法で、日本人らしい寛容さがあらわれるものであってほしい。社会の多様化とは、欧米流の権利義務の拡大ではなく、寛容さであると、作者と共に私も切に願いたい。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030240355
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日本の死生観の歴史、「遠い親戚症候群」、安楽死の法制化、医療リソース、新生児医療、やまゆり園事件、著者自身の体験などさまざまなことを取り上げ、死や生について書かれている。 国内外のさまざまな安楽死に関連する事件や事柄が取り上げられている。幅広い話題が拾われており、死をめぐる社会...
日本の死生観の歴史、「遠い親戚症候群」、安楽死の法制化、医療リソース、新生児医療、やまゆり園事件、著者自身の体験などさまざまなことを取り上げ、死や生について書かれている。 国内外のさまざまな安楽死に関連する事件や事柄が取り上げられている。幅広い話題が拾われており、死をめぐる社会全体の今までの流れをわかりやすく捉えられそうだと思った。 技術が進歩し、分かることや出来ることが増えるたびに本人の決断が求められることとなる。一度決めたら変わらないということではないし、常に予想外はつきまとうと思うが、自分はどう生きてどう死にたいのか、家族はどう思っているのかをタブー視せず、向き合うことが大切だと思った。 引用部分になるが「死は関係のなかで成立し、関係のなかでしか成立しない事柄なのだから、人は死を権利として所有も処分もできない」小松美彦『「自己決定権」という罠』という視点も印象に残った。
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父は1年半ほど入院して亡くなった。母は入院して2ヶ月でなくなった。父は少しずつ意識が薄らいでいき、母が亡くなったのを聞いて、その2週間後に89歳の誕生日に逝った。母は、病院で何が起こっていたのかよく分からないまま、2度の転院の後、あっという間に逝ってしまった。それが、およそ1年前...
父は1年半ほど入院して亡くなった。母は入院して2ヶ月でなくなった。父は少しずつ意識が薄らいでいき、母が亡くなったのを聞いて、その2週間後に89歳の誕生日に逝った。母は、病院で何が起こっていたのかよく分からないまま、2度の転院の後、あっという間に逝ってしまった。それが、およそ1年前の出来事。そしていま、私の夢には母の方がよく現れる。私自身の納得がいっていないのだ。村上先生は私の両親より6歳ほど年下だろうか。前立腺がんを患っていらっしゃるとのこと。前著では確か病名は明かされていなかったはず。義父は60代で胃を摘出し、現在80過ぎで、やはり前立腺がんを患っている。進行が遅いので手術はしないのだとか。本書では死に対する考え方が書かれている。しかし、同時に出生に対する問題点も述べられている。同じ俎上に載せられていることに、はっとさせられた。古市・落合対談についても言及されている。古市さん良かったですね。村上先生が若い人からこういう議論が出てくるのは歓迎すべきことだとおっしゃっていますよ。最後に、村上先生はご自身がカトリック信徒であることに言及されたうえで、それでも、安楽死や尊厳死を否定はしないとおっしゃっている。そして、「寛容」ということばに含まれている価値観が、社会に根付き、効果を発揮すること、それを読者へのメッセ-ジとして残されている。少々脱線しながら本題にもどって行かれるご様子、先生の講義を聴いているような気分を味わうことができた。何度も書いていることだが、私が受けた講義の中で、最も印象深いのが村上先生の「科学思想史」集中講義だった。
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