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治部の礎 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2020/01/15 |
JAN | 9784065181003 |
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商品レビュー
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8件のお客様レビュー
〝日の本の国の礎〟とは…。
2023年9月読了。 個人的に、「石田三成」が大好きである。自身の論理が冴え渡り過ぎて、其を理解に及ばない人達と「仲良く」する事が苦手だった、戦に不器用な、同じ職場に居たらさぞかし煙たがられる人だったと思っているが、その一途さえ故の儚さが、この武将の堪らない魅力であろうとず...
2023年9月読了。 個人的に、「石田三成」が大好きである。自身の論理が冴え渡り過ぎて、其を理解に及ばない人達と「仲良く」する事が苦手だった、戦に不器用な、同じ職場に居たらさぞかし煙たがられる人だったと思っているが、その一途さえ故の儚さが、この武将の堪らない魅力であろうとずっと思ってきた。 秀吉の朝鮮出兵は、この小説にもある通り、秀吉独自の発案ではなく、当時から「遠い脅威」の臭いのする〝南蛮〟と云う勢力が攻めてくる前に、〝日本,中国,朝鮮を一つの国として固めておくこと〟が、来るべき未来の南蛮との戦いに「力を発揮する時が必ず来る」と云う、信長の発想が先にあったのだと感ずる。 国内統一も終わりきらないまま、秀吉が直ぐに朝鮮行きを決めたのは、南蛮の力を、それだけ〝国家存亡の危機〟と捉えていたからではないか。しかし、信長も秀吉もその事にばかり焦るあまり、結果として国政をしくじったのである。 確か、秀吉統治の時点で火縄銃の数は、日本が世界一に成っていた筈だが、南蛮人の「地球の反対側からやってくる」と云う勇気と猛々しい野心は、〝天下人〟の肝を冷やさせるのに充分であったろう。 先ずは貿易程度で付き合うが、いつか必ず「牙を向いてくる日がある」事を、二人の敏い天下人は察知していたのだろう。 家康は幸いにして、先人二人の失敗を見ており、「戦わずとも〝鎖国〟してしまえば良い」と考えたのだろう。しかしそれは家康が聡かったから、その策が当たったのではない。 先人二人による〝日本国の武士は恐ろしい〟事を宣教師達の眼にしっかりと焼き付けさせて、本国へ「日本へはそう簡単に手を出すな」と云う報告が伝えられたからであろう。 つまり、信長,秀吉の治世無くして、徳川政権も有り得なかったのである。 そんな〝日の本の国の礎〟たらんと、石田三成も考えていたのなら、自分としては嬉しいことこの上無い。 そんなことを考えさせられた一冊だった。 それから、西軍で〝動かなかった者達〟の言い訳を、一通り読んでみたいとつくづくと思う。
左衛門佐
本書の三成は秀吉の忠義ではなく、日の本をよくすることが動機になっている。朝鮮出兵などの秀吉の暴走をどう押しとどめるかに苦慮している。三成が愚痴を言うとしたら、秀吉の悪口ばかりになりそうである。秀吉の暴走を押しとどめる際には徳川家康と協力することもあった。三成と家康は以心伝心で協力...
本書の三成は秀吉の忠義ではなく、日の本をよくすることが動機になっている。朝鮮出兵などの秀吉の暴走をどう押しとどめるかに苦慮している。三成が愚痴を言うとしたら、秀吉の悪口ばかりになりそうである。秀吉の暴走を押しとどめる際には徳川家康と協力することもあった。三成と家康は以心伝心で協力した。 秀吉の天下は元々、織田家を簒奪することで成立した。三成は「天下は一人の天下に非ず、天下は天下の天下なり」の精神で正当化している。それならば秀吉没後は家康を新たな天下人として仕えても良かったのではないか。家康を毛嫌いすることはなかったのではないか。秀頼を託されたということはあるとしても、織田秀信(三法師)のような生き方もあったのではないか。
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日本の安寧をもたらす者が秀吉と信じ秀吉の汚名や失策を一身に受けて天下万民を想う石田三成。しかし三成の求める理想は秀吉の死と共に家康の手によって瓦解してゆく。
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