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責任という虚構 増補 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2020/01/10 |
JAN | 9784480099532 |
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商品レビュー
4.3
11件のお客様レビュー
一般的には自由と責任は表裏一体の因果関係であり、なので法や規範の判断の元になる自由意志によって罰される。 ただ、人の行動は脳の信号を起点に人が意識を持つ以上、自由意志はないので責任はないはず。それにもかかわらず規範で人を罰する矛盾をつく。 結局自由も責任も、社会が決めた虚構で...
一般的には自由と責任は表裏一体の因果関係であり、なので法や規範の判断の元になる自由意志によって罰される。 ただ、人の行動は脳の信号を起点に人が意識を持つ以上、自由意志はないので責任はないはず。それにもかかわらず規範で人を罰する矛盾をつく。 結局自由も責任も、社会が決めた虚構であり、自由意志みたいな内側にあるものじゃなくて外側にあるもの。普遍的な規範を追い求めても袋小路じゃないかと問題定義している。
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実験から導かれる結果では、人の行動は権威に弱く、同調圧力に流され、役割を与えられると演じようとする。さらに、意思決定以前に脳内では活動が始まっていることも測定されている。 そこから自由意志を否定しながら、責任論を哲学的に考察する。禅問答のようになって当然結論は出ないのだが、そのままでは秩序ある社会は回っていかない。 だから、もやもやしていても、多数決が正義と決めつけて、どこで線引きするか決めつけながら、進んでいくしかないのでしょうね。 まあ、数々の実験の結果が正しいかどうかは諸説あるようですが、行きつくところはそれほど変わらないかもしれません。
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哲学に興味はあるけど、カントやニーチェのことは有名な言葉だけ知っている程度。哲学関連で読んだことのある本は『愛するということ』(エーリッヒ・フロム)、『幸せになる勇気』(岸見一郎)、中島義道氏の著書数冊程度で、哲学書を一から紐解いたこともなければ、心理学と哲学の明らかな違いを述べることさえ難しい。そういうレベルの私が挑戦し、長い時間をかけて読破しました。理解度はまだまだ他の皆さんには及ばないかもしれませんが、私なりの感想を。 読んだことのある関連書は『服従の心理』のみ。『イェルサレムのアイヒマン』はいずれ読めたらと考えています。 専門的な用語は逐一ググッてみて、概要を簡単な言葉で表してくれているもので一時的に理解したとみなして読み進めました(でないと全く前に進めない)。 <内容として、主に私が深く印象に残ったもの> ・「自由に行動できるから責任がある」のではなく、「責任のために自由を規定する」 ・個人は外因要素が集積した沈殿物 ・美しさや賞罰、道徳などは根拠があって決められているものではなく、大衆が認めるから基準ができて定められるもの ・格差を認めるために人間は自由であり、努力すれば上流階級へいけると思える仕組みができあがっている(努力しなければ自己責任、となる) 1~4章くらいまではサクサク読み進めることができましたが、5章以降からは難易度がぐっと挙がって専門的な話が多くなり、読書スピードが目に見えて落ちていきました。しかし、それでも読み進めることができたのは、知的好奇心のせい、と言ったら格好をつけていると思われるでしょうか。 「規範論ではない」と著者自身が言っているように、本書は「こうあるべき」といったべき論から離れて、あるがままの世界の仕組みを俯瞰し、「こういう風になっているんだよ」と次々に教えてくれるような内容でした。 本書もかなり苦労して読了したのにも関わらず、著者の別著作も読んでみたいと思えるほど、読了後には目を開かされた思いで爽快感があり、達成感も一入です。何となく暮らしていたら絶対に気づけなかったようなことに、(本書を読んだことで)気づくことができました。 題の『虚構』という部分に惹かれて読むことを決めましたが、ここがまさに争点であり肝だったのは、読む前から理屈では理解できなかったものの、自分の着眼点を素直に褒めたいと思います(笑) 「増考」の内容もかなり難しめでしたが、自由意志と因果律、責任と自由について、より深く理解するためにはとても重要な内容だと感じました。 巻末の解説を読んで本書全体の内容をざっとおさらいすることができて、しかも分かりやすい形に変換してくれていたのでとても助かりました。 文庫版と単行本、どちらを読もうか迷っている方がおられましたら、文庫版をお勧めします。 じっくりと取り組んでみて分かったことですが、哲学書を読む最大のコツは「結論を急がない」「慌てない」「なるべくコンディションが整っている時に読む」ですね。 時間をおいて、またいつか再チャレンジしてみたい本です。
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