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また、桜の国で 祥伝社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 祥伝社 |
発売年月日 | 2019/12/12 |
JAN | 9784396345891 |
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また、桜の国で
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商品レビュー
4.5
49件のお客様レビュー
以前から読みたかった本。 第二次世界大戦時のワルシャワ蜂起を題材にした小説。 主人公が痛々しいほど純粋な人物だった。 ロシア人の父をもち、スラブ系の容貌を受け継いだために、日本で居づらい思いをした。 長じて彼は外務書記生となり、ポーランドに赴任する。 彼は外交の根本は、人と人と...
以前から読みたかった本。 第二次世界大戦時のワルシャワ蜂起を題材にした小説。 主人公が痛々しいほど純粋な人物だった。 ロシア人の父をもち、スラブ系の容貌を受け継いだために、日本で居づらい思いをした。 長じて彼は外務書記生となり、ポーランドに赴任する。 彼は外交の根本は、人と人との信頼関係だと説いた先輩の言葉を刻み、行動する。 幼少時代邂逅したシベリア孤児やポーランドでできた友のために、組織の規を越えて、蜂起に参加することとなる。 この人物に与えられた名が「慎」と書いて「まこと」と読む名であるのも頷ける。 棚倉慎にとって、日本は単純な愛を注ぐ対象にはなりえない。 と同時に、物語終盤で慎と行動を共にする三人(また、桜の国で会う約束をした三人)にとっても、国は微妙な存在だ。 ユダヤ系ポーランド人のカメラマン、ヤン・フリードマンは、ポーランドの中で迫害されている。 シカゴ・プレスの記者、レイモンド・パーカーは、実はシベリア孤児で、日本を経由してアメリカ人夫妻の養子として育てられた。 歴史的に近隣諸国からの侵入にさらされてきたポーランドであるけれど、蜂起をこういう少し斜めからの視点から捉えられているのが面白い。 構成も鮮やかだった。 ヤンと慎がベルリンからワルシャワに向かう寝台列車の中で出会う最初の1938年の場面。 次には1920年の東京の棚倉家にシベリアポーランド孤児が迷い込んでくる場面へと移る。 後でそういうことだったのか! と分かるのだが、長編小説ならではの驚きや楽しみが味わえた。
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またまた素敵な本に出会ってしまった。 史実に基づくフィクション。 舞台は第一次世界大戦後から第二次世界大戦時期のポーランドワルシャワ。1938年、主人公である外務書記生・棚倉慎はポーランドの日本大使館に着任。赴任後の数ヶ月後にはナチス・ドイツがポーランドへ侵攻を開始。ポーランドの...
またまた素敵な本に出会ってしまった。 史実に基づくフィクション。 舞台は第一次世界大戦後から第二次世界大戦時期のポーランドワルシャワ。1938年、主人公である外務書記生・棚倉慎はポーランドの日本大使館に着任。赴任後の数ヶ月後にはナチス・ドイツがポーランドへ侵攻を開始。ポーランドの惨状を目の当たりにすることとなる。外務書記生という立場を越えて、棚倉はポーランドで出会った仲間と共に自分の正しいと思う道に突き進んでいく。 「そんなことまさか起こるはずがない」と誰もが思っていたことが、歴史上何度も何度もいとも簡単に起こってしまう。今ある日常が明日も続くかは本当にわからないものなのだ。 人種や国籍とは何なのか、アイデンティティとは何なのか、なぜ歴史から戦争が無くならないのか等、読みながらあれこれ考えることとなった。 著者も伝えたいメッセージがたくさんあったと思う。だけど、あれこれと難しい話を抜きにしても、ただただストーリーに魅了されずにはいられなかった。 私は司馬遼太郎が好き。司馬遼太郎の史実に基づく、あのずっしりとしたフィクションも大好きなのだが、著者である須賀氏のはもっとマイルドな感じ。登場人物も少なめでそれぞれとの関係性も明瞭。かなり読みやすい。 高校生くらいでも充分楽しめるのではと思っていたところ、この作品は第4回高校生直木賞を受賞していたことがわかった。高校生直木賞をここで初めて知った私(恥)だが、この本が高校生に受け入れられているなんて素敵なことなんだろうという気持ち。もっともっとたくさんの若者にこの本を読んでもらいたい。 「極東」の島国に住む私たち。隣国に侵攻したりされたりする危機感とは基本的に無縁の生活。だけど、こういった歴史背景を知ることで世界の見え方も変化し、自分の行動規範も変化していくことだろう。 大国であることも一因のようであるが、世界情勢に疎い我が国。このような本を通して、若者がもっともっと世界を知ることができるといいなと勝手に思っている。 ところで、わたし自身が全然物事を知らなくていつも恥ずかしい思いをしているのが実際のところ。この本を読んでいても知らないことがたくさん出てくるので、それぞれが実在する組織や人物なのかを調べながら読み進める感じとなる。当時の雰囲気などを少しでも感じ取りたいと思いながら。 極東青年会(ポーランド孤児の会)、その会長のイエジ・ストシャウコウスキや、ヴィトルト・ピレツキ(内情を探るために自ら志願してアウシュヴィッツに潜入、抵抗運動を組織)等々、地図もけっこう見たかな。 「全体的な歴史の流れ」「大使館の仕事内容」「ワルシャワがどのように陥落していったか」「宣戦布告後のイギリスやフランスの動き」「ワルシャワ内のユダヤ人迫害の様子」「抵抗組織のが動き」等々、イメージが沸いた。これも著者の読みやすい文章力のおかげ。過不足のない説明が素敵だ。500ページほどあったので読み切れるかなと最初は心配していたが、心配は杞憂に終わった。もっと続きがあってもいいくらい。大満足だ。 以下、印象に残った部分の抜粋。 ◯忠誠や国を愛する思いは崇高だが、ほぼ必然的に排他的な性質を帯びる。愛が急激に深まれば、後者もまた当然膨れ上がる。 ◯国を愛する心は上から植えつけられるものでは断じてない。まして、他国や他の民族への憎悪を糧に培われるものであってはいけない。人が持つあらゆる善き感情と同じように、思いやることから始まるのだ。そして、信頼と尊敬で培われていくものなのだ。
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大学時代、第二次世界大戦を専門に勉強していた身としては、史実に基づくフィクションとして、当時の人々を知ることができる作品に、学生時代に出会っておきたかったところである。 「自分は何者か」の追求と、真実を伝えたいという気持ちから湧き出る行動力を、こと細かに表現された作品だった。 ...
大学時代、第二次世界大戦を専門に勉強していた身としては、史実に基づくフィクションとして、当時の人々を知ることができる作品に、学生時代に出会っておきたかったところである。 「自分は何者か」の追求と、真実を伝えたいという気持ちから湧き出る行動力を、こと細かに表現された作品だった。 須賀しのぶさんの作品は、「革命前夜」「紺碧の果てを見よ」から3作目の読了。 言葉が綺麗で、スッと身体に入ってくる。また違う作品も読みたい。
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