慈経/吉祥経/宝経 祝福や息災祈願に唱える3つの「護経」を読む 初期仏教経典解説シリーズⅣ

アルボムッレ・スマナサーラ(著者)

• 販売会社／発売会社: サンガ
• 発売年月日: 2019/12/01
• JAN: 9784865641646

商品レビュー

2020/01/22

テーラワーダ仏教の根本経典『スッタニパータ』に所収されている３つの重要経典「慈経」「吉祥経」「宝経」。
「慈経」は慈悲の世界について、「吉祥経」は幸不幸の因縁について、「宝経」は幸福について語られており、そのいずれも僧侶がいつでも唱える祈りのお経「護経(パリッタ)」です。

仏教経典には不思議な霊力があると信じられており、パリッタは結婚、出産、病気、事故、火災、葬儀といった人生のさまざまな幸不幸の際に、祝福や息災祈願、招福除災を願って唱えられます。

それぞれのパリッタにそれぞれの功徳があり、僧侶は経文が書かれたパーリ語のまま読誦します。意味内容がわからない信者にもあり難い呪文とされて、皆ほとんど暗記しているとのことです。

この本では、スマナサーラ長老が３つの護経を一句一句翻訳し、内容を解説しています。
長老の説明は、いつもとてもクリアでわかりやすいもの。
経典本文とその読み方、そして日本語訳が一文ごとに紹介されており、じっくり内容を理解しながら学べるようになっています。

護経と書かれるパリッタは、信者にとって形のないお守りのようなもの。たしかにこのパリッタを唱えるだけで、気持ちが穏やかになっていく感じがします。
有形のお守りを大切にする日本人とは少し違う形ではあるものの、願いの込め方に変わりはないと気づいたことで、テーラワーダ仏教を身近に感じられるようになりました。

いつかこのパリッタを、実際に聴く機会があればいいと思います。