うつくしが丘の不幸の家

町田そのこ(著者)

• 販売会社／発売会社: 東京創元社
• 発売年月日: 2019/11/20
• JAN: 9784488028046

商品レビュー

2025/01/04

一軒の家を舞台にした連作短編集。
なんとなくイヤミス的な感じかと思って読みはじめたら、全然違った。家族や幸せについて考えてみたくなる、心温まるお話しでした。
各話の繋げ方も良かった。

2024/12/31

読書備忘録883号。
★★★★★。

2024年最後の備忘録。
特別ボーナスとして★5つ。笑

街びらきから30年経って廃れ始めた新興住宅街うつくしが丘。そこに建つ3階建ての一軒家を巡る5つの家族の物語です。

【おわりの家】
うつくしが丘に建つ築25年の3階建て一軒家を購入した美保理、譲夫婦。
譲は昔1年だけこの街に住んだことがあり、この街を気に入っていた。
そして2日後に1階部分を理容室「髪工房つむぐ」としてオープンする予定！
そんな大事な時に、義父が営む理容店からヘルプが掛り譲は出かけてしまった。
ふざけんな！こっちはオープン前の大変な時なのに！
しかも、この家は不幸の家と呼ばれており、代々住んできた家族は不幸に見舞われたと噂されているという。これでオープンが上手くいかなかったらどうするんだ！
庭に植わっている枇杷の木。枇杷は不吉な木だとも言うみたいだ。
もやもやの中、ひょんなことから隣家の荒木信子さんにお茶に呼ばれた。
ずっとこの家を見てきた信子さんの話。もやもやが流されていく・・・。

【ままごとの家】
時は遡り・・・。
多賀子と義明夫婦。
息子雄飛は高3で受験。そして反抗期。母親とは口もきかない。
そして義明が浮気をしているという情報が。みんな知っていると。
そしてなんと雄飛が樹利亜という飲食店で働く女の子を孕ませたことが発覚！
メンタルやられる多賀子。
気分が塞いだ時に籠る3階の使われていない部屋の押し入れに。そこには古い落書きが「おんなのはかば　じごくいき」そして「しあわせの家」と・・・。
親の子離れ、子の親離れ。難しい問題です！

【さなぎの家】
さらに時は遡り・・・。
高原叶枝。紫と小2の娘の響子。3人は訳アリの同居。
この家の持ち主で紫の先輩の蝶子から1年期限で住まわせて貰っている。
いわゆるシェルター的退避という感じ。
響子は、紫と叶枝の姿を落書きとして記していた・・・。らくがきの犯人ですね！
それでも彼女らは周囲に助けられて前を向いて生きていける！

【夢食いの家】
さらにさらに時は遡り・・・。
夫の山郷忠清は男性不妊。妻の蝶子に離婚届を渡した。蝶子は「私と貴方の関係は何なの？」と言い残して家出した。
とにかく子供が欲しい！蝶子のためにも。でも不妊治療は女性に多大なる負担を強いる。それが辛い。忠清は決意した。蝶子には自分とは別れて種のある男性と再婚して子供を作ってほしいと。その結果の離婚届けだった。
隣家の荒木家に息子夫婦が遊びに来ているようだ。
ただ、信子さんの様子がおかしい。
家に居づらいという。
忠清の話、信子の話。そして、信子の息子の幸太郎の話。

【しあわせの家】
さらにさらにさらに時は遡り・・・。
真尋と息子の惣一。
どうやら、惣一は夫健斗の連れ子。うまく関係性を作れていない。
健斗は、街びらきしたうつくしが丘に新築の家を建てた。そこに惹かれて結婚してしまった。
しかし現実は健斗のクズ加減が半端なく、生活に行き詰っていた・・・。
そんな時、真尋の元に父の訃報が届く。父大祐は母と自分を捨てて出て行った恨みしかない存在。
父が再婚相手と住んでいる家に行く目的はなかった。それでも行った。
そこは想像していたのとは違った。
みんなの再出発！惣一の友達ユズ君も！笑
そして再び会う時の目印として枇杷の木を！

【エピローグ】
そして今。
うつくしが丘街びらきから30年の地域イベント開催の委員を務める譲。
ユズ＝譲！そいうことね！そして目印を頼りに訪れる惣一！

一連の作品の主演女優賞は荒木信子さん！素晴らしい活躍です。そして主演ペット賞は亀のガンちゃん！

どの物語も問題を抱えているけど、決して不幸ではなく幸せに向けて前向きだったね！
それが表紙の不が白抜きの意味ね！

フォロー頂いている皆様。
本当に今年はお世話になりました。皆様のお陰でめちゃくちゃ読書の世界が広がりました！
皆様のキレッキレのレビューを参考に新たな読書を楽しみたいと思います！

2024/12/18

一気読み必至！！ひとつの家が家族や友人、夫婦を繋いでいて、面白かった。最後の最後に枇杷の木でつながるという仕掛けも面白い！町田そのこさんの連作、しっかりつながってておもしろいな〜