死刑囚メグミ

石井光太(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2019/11/19
• JAN: 9784334913182

商品レビュー

2024/03/16

恵は何も知らない単なる運び屋なのかと最初は思ったがそんなことはない。
事件を起こすにはそれなりの背景や事情が有る。こうした人生の落とし穴に落ちないようにしないと。
おかしい？と少しでも感じたらやはり「君子危うきに近寄らず」と。

2023/03/19

「赤ちゃんをわが子として育てる方求む」が面白かったので、同じ著者の、やはり実際の事件を題材にしているのであろう本を見つけて読みました。とても面白かったです。レビューを書く前に記事を検索してみましたが、実際にマレーシアで死刑判決を受けた女性に著者が面会して週刊誌の記事を書いていますね。それによると、メグミの出身が青森で、看護師になって東京に出てきた、組織に騙されて荷物を運ばされた、というところは同じで、彼女の生い立ちは恵まれない子供時代で可哀そうな感じに、危険を冒してまで覚せい剤を運ばざるを得なかった背景も同情できる感じに脚色してあります。
メグミは貧しい子供時代を、ガマンを重ねて過ごし、やっとのことで准看護師になって東京に出てきて、何度も騙されながら、いつの間にかお金持ちのパーティに連れていかれ、そこで外国人の男性に出会う。一貫して、メグミは不器用で自分一人が生きるのに精いっぱいだが悪い人間ではない、というように描かれている。でも「お金がないならキャバクラでバイトすればいいんじゃない？」とアドバイスされて従うとか、「仕方なく消費者金融でお金を借りる」とか、考えが浅すぎることは否めない。看護師仲間に誘われたパーティも怪しすぎる。
彼女を愛した外国人トニーが、彼女をだましていたのか、本気で愛していたのか、と疑問に思いながら後半を読み進める…。
もう一人の主人公の新聞記者が、メグミや青森の母親に会いに行き、なんとか死刑判決を避けようと奔走する中で、トニーの来歴も明らかになり、世界は、一人の人間の人生は、なんて数奇な運命に満ちているのだろう、と思わされるところがこの物語の魅力です。
途中、「バタフライエフェクト」の説明が出てくるくだりがあるんだけど、イランイラク戦争が青森の田舎で生まれたメグミの人生に影響を及ぼし、しまいには死刑判決をうけてしまう、確かに恐ろしい！と思った。
最後までドキドキハラハラ、面白かったです。実際の事件とは別物として。
小説では最後希望が持てる展開だったけど、実際にマレーシアで死刑判決を受けた女性は、死刑が確定している？みたいですね。どうなるんだろ…。

2023/01/09

ストーリーに引き込まれて一気読み。
実話がベースとなったフィクションだと思うが、実際の事件にもこのような悲しい背景があったのだとしたら、社会的な課題が多く含まれていて、とても人ごとだと思えない。