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ポルトガル短篇小説傑作選 よみがえるルーススの声 現代ポルトガル文学選集
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 現代企画室 |
発売年月日 | 2019/11/14 |
JAN | 9784773819052 |
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ポルトガル短篇小説傑作選 よみがえるルーススの声
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商品レビュー
4.3
3件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
12作品を収録した短編集。本物の「傑作選」である。 「ポルトガルってよく知らないなー」と気楽な好奇心で手に取ると、ガツンとやられる。やられました。 しかし、最初の作品がかなり癖のある翻訳文(読点が極端に少ない)なので、挫けそうな場合は収録順は気にせず、『図書館』『美容師』あたりから読み始めてよいと思う。 以下、各作品ネタバレ(メモ) ・「編者による序文」 作品ではないが、これほど明快であたたかい序文は見たことがなかったので。いい序文です。文章で人の心をあたためられる編者、信頼できる。 ・『少尉の災難―遠いはるかな地で』(マリオ・デ・カルバーリョ、1989) 1974年の民主化革命まで続いた植民地での戦争の一場面を描く。 無意味に思える進軍の中でうっかり地雷?を踏んでしまった兵士が、地面から足を離さないように頑張って耐えるのだけれどその間なぜかサイコクソ上司が延々と話しかけてきて非常に辛いという話。かわいそう。フォークナーの短編の雰囲気があってシニカルで好み。 ・『ヨーロッパの幸せ』(ヴァルテル・ウーゴ・マイン、2015) 「見下してた人間が幸せそうにしてるのを見ると、なんだか気分が良くないんだよなあ…」という人間の最悪の部分の話。共生の困難さとは、文化の違い以上に人間の心の悪さから生じているのではなかろうか。現代社会の問題と接続している批評性のある作品だと思う。 ・『ヴァルザー氏と森』(ゴンサロ・M・タヴァレス、2006) 夢見る独身男性の待望のマイホームは欠陥住宅でした。 カフカを思わせる不条理小説?で、笑ってしまうくらい不憫。明るい時の安部公房っぽいかも。良い味です。 ・『美容師』(イネス・ペドロ―ザ、2003) 女が男に復讐する純正サスペンス。定番ネタを高い精度で。 翻訳で女性のセリフがいわゆる女言葉にされていることへの批判を見かけるが、この作品ではとても適していて怖さを増幅させている。ラストは『愛妻家の朝食』(椎名林檎)が流れること間違いなし。 ・『図書館』(ドゥルセ・マリア・カルドーゾ、2014) 読書は人を救うが、特に邪な心を正したりする効果はない、という話。 「心を豊かにするために読書をしましょう」というような読書週間の標語って、まあそうなんだけれど省略されすぎだなと思った。 自分でもよくわからないが、この作品に最もポルトガルらしさのようなものを感じた。 残りのメモは消えてしまった。 『バビロンの川のほとりで』(ジョルジュ・デ・セナ)、『植民地のあとに残ったもの』(テレーザ・ヴェイガ)が好きだった。 『定理』(エルベルト・エルデル)は解説で「プロジェクション・マッピング」とあるように、過去の劇的な一場面を現代に照射する試みで、お耽美だしぞわぞわしてものすごくおもしろかった。
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抑圧され溜め込まれた暗い情熱が今にも溢れんばかりの、内向的な作品集である。夕闇や月明かりの下など、静かな場所で読み、郷愁に浸りたい。 現代ポルトガル文学の中から選抜された作品ばかりだが、暗い動乱の時代を経たポルトガルの歴史を節々に感じることができる。隣国スペインの脅威、植民地支配...
抑圧され溜め込まれた暗い情熱が今にも溢れんばかりの、内向的な作品集である。夕闇や月明かりの下など、静かな場所で読み、郷愁に浸りたい。 現代ポルトガル文学の中から選抜された作品ばかりだが、暗い動乱の時代を経たポルトガルの歴史を節々に感じることができる。隣国スペインの脅威、植民地支配、政情不安と独裁、伝統的家父長制度、などなど。 個人的に最も印象に残ったのは「川辺の寡婦」である。舞台はポルトガルの内陸部の農村だろうか。閉鎖的環境に運命を支配される女性を描いた、淡く脆く、寂しいながらも、美しさを感じる物語だった。 はるか遠い、ユーラシア大陸の反対側に位置するポルトガル。そこには日本人みたいに奥ゆかしく情熱的な民族がいるという発見があり、親近感を抱くことができた。
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こういう国々単位での作家の短編集は「とにかく読んでみる」という姿勢ではいるつもりだが、正直満足した覚えはなく、初めて「面白い、いい試みだ」と実感した。国自体が独裁政治で言語統制が続いていて、よい文学が育つ土壌がなかった。日本でも専門家がいなかった。なので、ポルトガルの人が作家を選...
こういう国々単位での作家の短編集は「とにかく読んでみる」という姿勢ではいるつもりだが、正直満足した覚えはなく、初めて「面白い、いい試みだ」と実感した。国自体が独裁政治で言語統制が続いていて、よい文学が育つ土壌がなかった。日本でも専門家がいなかった。なので、ポルトガルの人が作家を選んで、それを訳したらしく、その流れが良かったと思う。下手に違う国の人間が別の国の作家を選んでも、「地味でも良作」に出合う確率低いと思う。金儲け第一主義でない、楽をしない、非常に素晴らしい本になったと思う。(偉そうですみません)
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