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はるかカーテンコールまで
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はるかカーテンコールまで

笠木拓(著者)

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はるかカーテンコールまで

定価 ¥2,200

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 港の人/JRC
発売年月日 2019/10/06
JAN 9784896293661

はるかカーテンコールまで

¥825

商品レビュー

4.5

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2022/03/30

明後日から四月。入学、就職、引っ越しなどのシーズンですね。 私の四月のイメージカラーは黄色です。だから黄色い表紙のこの歌集を手に取りました。 私の住む地域はまだ、庭にふきのとうの芽が出てきたばかりですが、桜が見ごろになっている地方も多いでしょう。 桜を詠んだ歌がありました。 ...

明後日から四月。入学、就職、引っ越しなどのシーズンですね。 私の四月のイメージカラーは黄色です。だから黄色い表紙のこの歌集を手に取りました。 私の住む地域はまだ、庭にふきのとうの芽が出てきたばかりですが、桜が見ごろになっている地方も多いでしょう。 桜を詠んだ歌がありました。 なんとなくですが、この歌を読むと歌人は満開の桜を誰かと見ているのではなく、六分咲きか七分咲きくらいの、まだつぼみのある桜の樹を一人で眺めているような気がしました。 ○日の照れば返すひかりのはかなさのさくらばなとは光の喉首(のみど) ○さくらばなそのはなごとのためらいの地上にはまだはるかにとおい 他の歌で印象に残ったものを以下に。 とてもきれいなことばの響きの歌が多かったように思います。 ○露雨に濡れて歩いた愛された記憶は傘を差したがるけど ○青鷺、とあなたが指してくれた日のひかりを覚えていたい ○一度だけあなたがふれた冷蔵庫を夢の中にも目を閉じて聞く ○マフラーをしてまどろんでいるような窓辺の恋が恋かもしれず ○とけだしそうなアイスクリームたっぷりと旅の終わりの陽ざしを浴びて ○木の葉・雨・声・星・みぞれ 降るものは抱えきれないものとしてだけ ○花束を提げて掲げて僕たちは笑うしかない場面に笑う ○会うことが出会いつづけることになる どこまでも水のほとりを歩む ○アスピリン、アスパラ、こと座、発熱のさなかに聞けばなにもかもが詩 ○やさしいだけの王国が欲し領土より旗より雪の名を決める ○(はんぶんこってなんでできてる)(おさとうと嘘とすてきななにもかもだよ) ○過去と呼ぶにはまざまざとあかるくて窓辺に銀の食器を磨く ○手紙にはいつもとびきりうつくしい川の蛇行にきらめく嘘を ○愛でないことがしたいね夕さりの木馬にふれて散るしゃぼん玉 歌人略歴 笠木拓(かさぎたく) 1987年新潟生まれ石川育ち。 2005年から短歌を作り始める。翌年「京大短歌」に参加。 2013年からユニット「金魚ファー」としても活動。 第58回角川短歌賞佳作。第6回現代短歌賞次席。 現在「遠泳」同人

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2022/02/15

たかが恋 つまり春へと消えてゆく夜明けのつばさ、しののめの雪 解毒剤嚙み砕いては落ちてゆく夢に何度も性器を失くす 僕は性の死神でいい くり抜いた林檎の芯にしずかな疼き 目蓋よりむしろ心を薄くして開演まではわたしを瞑る . 望むからだや声、性への憧れ、祈り、嘘を、鳥に託す。...

たかが恋 つまり春へと消えてゆく夜明けのつばさ、しののめの雪 解毒剤嚙み砕いては落ちてゆく夢に何度も性器を失くす 僕は性の死神でいい くり抜いた林檎の芯にしずかな疼き 目蓋よりむしろ心を薄くして開演まではわたしを瞑る . 望むからだや声、性への憧れ、祈り、嘘を、鳥に託す。遠く訪れないカーテンコールまで、わたしはわたしを演じ続けるんだと言われてるようで胸が苦しくなる。

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