黒い賠償 賠償総額9兆円の渦中で逮捕された男

高木瑞穂(著者)

• 販売会社／発売会社: 彩図社
• 発売年月日: 2019/08/24
• JAN: 9784801303997

商品レビュー

2021/05/24

東電賠償係で一生懸命被害者に寄り添った担当者が、詐欺加担を疑われ逮捕された。

ただ実際のところ、その件はほんのわずかで、この担当が実査に取り扱った、詐欺。
そして、その中にある本当に救われるべきであった人々。
国と東電のいい加減さ。

ちょっと気分悪くなるくらいの内容だった。

2021/02/20

東日本大震災による原発事故に於ける、東京電力の賠償金給付を巡るノンフィクション。

東日本大震災。津波による福島第一原発の水蒸気爆発とメルトダウンは、福島および東日本地域に放射能汚染と風評被害をもたらした。

その甚大な被害を東京電力が損害賠償していくのだが、迅速な救済(賠償金の支払い)の旗のもとに事実関係の調査がなおざりになり、賠償金を搾取しようとする輩につけこまれていく。

賠償金に群がる有象無象の人たちは、少しでも多くの金を掠め取ろうと躍起になる。その中、ほんの些細な出来事から東電内部の当事者が闇に巻き込まれ、東電に散々働かされた上ポイ捨てされる。

まさに、黒い賠償。圧巻のノンフィクションだ。

2020/01/07

東日本大震災によって起こった福島第一原発の事故のため、経済損失を被った事業者に対して、東京電力が損害賠償をすることになり、それを悪用する詐欺事件が横行したとのこと。

何となくニュースとして見聞きしていた時には、あまり関心を持っていなかったのですが、どういうわけか、本書の存在を知った時、賠償詐欺について詳しく知りたくなりました。

事件の経緯などに興味を持ったので、この本を読むことになったのですが、読み進めるうちに、この東電社員の人物像に引き込まれてしまいました。

生い立ちが不遇だったためか、高卒社員の社歴ではありましたが、能力のある方だし、努力ができる方だと感じます。また、精神的にも強い人だと思います。それだけでなく、情に厚い方でもあるのでしょう。

だからこそ、巻き込まれてしまったのではないでしょうか。
ですが、きっとこの方は、今後、この経験をバネにできる方だと感じます。もちろんこの東電社員の方を存じ上げませんが、これからの人生に、エールを送ります。