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劇場 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2019/08/28 |
| JAN | 9784101006512 |

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商品レビュー
3.7
252件のお客様レビュー
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主人公・永田 「クズ」という言葉で括るのはもったいないくらい、人間臭さの詰まった人物だった。 彼の中のあまりに強い自意識と自己顕示欲が、いわゆる世間の感覚を持った私たち(読者)とのズレを生んでいる。誰しもに内在する自意識や自己顕示欲を、私たちは必死に抑え込んで生きている。それをしようとしない永田に対して、嫌悪感を抱いて「共感できなかった」と多くの人が言うけれど、実は「共感したくない」だけ。「感情移入できない」のではなくて、永田の目線に「立ちたくない」だけなのだと思った。気づかないうちに同族嫌悪してしまうほど、純粋な人間だった。 永田に足りなかったのは、狂気さ、もしくは、実績。それがあればもっと愛されるキャラクターになっていたと思う。 個人的には紗希にこそ共感できなかった。
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"未来に恐怖を感じるように、等しい時間の隔たりがある過去にも同じように恐怖を感じるのは自然なことなのではないか。" この前に読んだ又吉直樹の別作品、"人間"よりも今作の方が読みやすく、彼の思考センスが好きだった
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初めは永田は又吉さんの脳内に近いのかと思っていたが、そうではないのかもしれない。『火花』の主人公の方が又吉さんに近くて、永田は又吉さんの考える劇作家、つまり又吉さんの一歩その先や又吉さんの脳内の芸術家的な要素の部分を取り出した存在なのかもしれない。 あとがきで触れられるまで忘れていたが「まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて見えたことはまだない。」という書き出しがいかにも永田らしい。永田はこういう語り出しがないと自分のことなど語ることはできないだろう。 前半は永田の変人的な部分が描写されていて、だんだんそれがクズさにつながっていき、沙希との別れの雰囲気が出た後は、なんとか沙希に対して正直になり始めることができるという感じになっている。前半〜中盤はなかなか読むのがしんどいと感じた。別れの雰囲気は辛かった。最後は多少のカタルシスを感じた。セリフと畳み掛けて感動を呼ぶのは又吉さんの得意な手法なのだろう。おそらく又吉さん自身が頭で色々考えるたちで感情が乗った時や何か心の深いところにあることを言いたいときはそうなるのだとも思える。 この物語の後は沙希は地元で就職するのだろうが、永田はどうなるのだろう。二人の関係は?個人的には沙希がしきりに謝っていたことからも別れるのだと思う。沙希は東京から離れるとともに永田からも離れるのだろう。永田は劇を作りそうだ。『まだ死んでないよ』の劇を見た後のカウンターもできていないから、きっと東京での恋愛を描いた劇を作るのだろう。つまりこの小説は永田の劇の内容なのかもしれない。そう考えると語り出しも納得がいく。永田のことだから最後のアドリブでセリフという部分は本当にアドリブでさせそうだ。 又吉さんの書く恋愛が好き。不器用でお互いや環境が変化をしていく。二人が変わらなくても環境が変わっていくのでうまくいかなくなる。そして二人が変わるところにはカタルシスを感じる。不器用さと簡単には変われない人間味に閉塞感を感じる。
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