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猫と偶然
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 作品社 |
| 発売年月日 | 2019/07/31 |
| JAN | 9784861827587 |
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猫と偶然
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商品レビュー
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猫を中心にしたエッセイ集。『恐怖の正体』が印象的だったため、著者に興味を持ち手に取った一冊。 博識でありながら、独特な思考パターンを持つ人物という印象を受けた。後半に登場する飼い猫「ねごと」(「遠足」という名前にする事を嫌がった奥さんの気持ちは分かる気がする)について書かれた【...
猫を中心にしたエッセイ集。『恐怖の正体』が印象的だったため、著者に興味を持ち手に取った一冊。 博識でありながら、独特な思考パターンを持つ人物という印象を受けた。後半に登場する飼い猫「ねごと」(「遠足」という名前にする事を嫌がった奥さんの気持ちは分かる気がする)について書かれた【猫・勾玉】が特に刺さった。 拾ってきた子猫と占い師の言葉を真に受けて購入した虎眼石の短い話。ラストの一文「あとは臆することなく幸運を受け止めるだけだ。」にも表現される素直さ。それまでのエピソードとは受ける印象が明らかに異なる。 この本を読んで『恐怖の正体』で何となく想像していた著者の人物像が若干変わった気がした。それにしても、なぜ私はこの【猫・勾玉】の話にこれほど惹かれたのだろうか。
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『猫の具合がやや持ち直しかけていた時期に、Yさんが亡くなった』―『深大寺』 そうだった。吉野朔実が亡くなって改めて読んだ書評集「吉野朔実は本が大好き」を読んでいたらこの人が出てきたのだった。あれから読まなくてはと思い続けて今日に至る。少女漫画といえば、小椋冬美の描くもじゃもじ...
『猫の具合がやや持ち直しかけていた時期に、Yさんが亡くなった』―『深大寺』 そうだった。吉野朔実が亡くなって改めて読んだ書評集「吉野朔実は本が大好き」を読んでいたらこの人が出てきたのだった。あれから読まなくてはと思い続けて今日に至る。少女漫画といえば、小椋冬美の描くもじゃもじゃ頭の女の子が好きだったけれど、はまっていたのはなんと言っても清原なつの。その清原先生が吉野朔実が亡くなった際に、本の雑誌で描いた「ぶ~けを遠く離れて」の何とも言えない悲しさが印象的だった。きっと同じような環境の変化を受け止めていたからこその感慨があったのだろう。吉野朔実の漫画の熱心なファンという訳ではなかったけれど、あの少し角張った絵は印象的だった。 『まだ五十代だったにもかかわらず、まさに急逝といった形で亡くなってしまった。身も心も、病気だった様子など微塵もなかったのに。戦友を失った気分だ。彼女は漫画家で、老若男女に広く知られた存在ではなかったけれどもそれなりに少女漫画に詳しい人なら必ず一目置くようなポジションにあった。わたしは基本的に少女漫画の絵柄を好きになれないが、Yさんが描く美男美女の表情には、息を呑むところがあった』―『深大寺』 吉野朔実の死が自死だったか否かは知る由もない。けれど、清原なつのの嘆き方から察するに訳ありだったのかとは思う。そんな漫画家と月一で飲んでいた精神科医の心中察するにあまりあると言ったところだが、他の章に比べてこの章はペーソスに溢れている。戦友を失ったようだ」と嘆くのだが、喜怒哀楽に無頓着と自認するこの精神科医にしては、この嘆きは随分大きなもののように読む。 このエッセイ集は「猫」というテーマが通底しているのだけれど、決して猫にまつわる話という訳ではなく、むしろ文芸に通暁する春日武彦の俗世に対する倦怠感のようなものがメインのテーマであるかのよう。そんな世間に飽いた精神科医が猫の生き様に何かしら思う。あるいは、憧れる。この構図はどこか養老先生が大切な事は猫に学ぶという構図に似ている。 猫、といえば、またまた清原なつのに戻るけれど、今現在この稀代の少女漫画家の最後の作品は自伝的漫画「じゃあまたね」。またねと言っている相手は実家の飼い猫で、子猫としてもらわれてきた少女の頃から、終の別れとなる大学卒業頃までの物語。集英社グループのホーム社が主催する「ねこねこ横丁」にてウェブ連載していたもの。連載の最後でこの飼い猫タイガーは逝ってしまうのだけれど、その描き方が如何にも清原なつの的。言葉に出して言いたくないことは敢えて直接的に表現しない。「時間は流れる 子供は大人になり 子猫は老いる (中略)あ 猫みたいな雲」で終わるのだ。本の雑誌の追悼漫画でも、二人してぶ~け専属契約終了後に一休みを決めた清原なつのが吉野朔美に「いってらっしゃい がんばれー」と手を振るのを振り返り見る吉野朔美の表情の悲しさと、最後の「46億年の地球の歴史の中でほんの一瞬あなただった元素は風に乗って(中略)どこにでも いるのだけれど もう まんがは書けないんだね」と締め括る。 一方、春日武彦は何もかも言葉に直して見ないと気が済まない性格のようだ。ひょっとして、そんな風に理屈ぽっく話す人のことが吉野朔美は気に入っていたのか。彼女の書評も確かにどちらかと言えば理屈っぽい。県柏出身というのが妙に納得できる。書評の理屈っぽさはまさに。妹が県柏だけどさもあるらん、という感じ。この精神科医と交友関係が深かったのも、そんな風に現実を少し俯瞰して観る立ち位置が似ていたからなんだろうな、というのが読後の印象。(これじゃ春日武彦の本の話じゃなくてほぼ吉野朔美の話ばかりだな)
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「鬱屈精神科医」春日武彦先生による猫絡みのエッセー集です。「あとがき」にも書かれている通り、よくある「猫大好き」「猫あるある」「猫は哲学者」的な内容ではありません。 長年のファンとしての感想は「真に以て春日先生らしい猫エッセー」です。とは言え、今までの著書とは少々毛色が違います...
「鬱屈精神科医」春日武彦先生による猫絡みのエッセー集です。「あとがき」にも書かれている通り、よくある「猫大好き」「猫あるある」「猫は哲学者」的な内容ではありません。 長年のファンとしての感想は「真に以て春日先生らしい猫エッセー」です。とは言え、今までの著書とは少々毛色が違います。読んでいて何やら切なくなるのです。 春日先生の著作の持ち味は、なんと言っても著者自身が抱える鬱屈とした心情の吐露でしょう。 人間という生きものに覚えるゲンナリ感、世界に対する違和感、そこから生まれ出る自己嫌悪感。そういった心情を時には皮肉たっぷりに、時にはユーモラスに描き出してくれる。そのことが、同様の心情を抱えながらも上手く言語化できずにモヤモヤしている人間に、ある種の救いをもたらすようなところがありました。 ところが本著には、そうした鬱屈とした心情に交えて、人間というグロテスクな生き物の奥底に埋め込まれている「真っ当な優しさ」を、そっと掬い取って見せてくれるような部分があります。 私自身は、その「真っ当な優しさ」に何故か遣る瀬ない気分を覚えるのですが、それにも関わらず、つい何度も読み返したくなる不思議な味わいの一冊です。 春日先生の著作では毎度お馴染みの、古い文学の紹介は本著でも健在です。冒頭の『猫と電送機』で引用されているハーバート・リーバーマンの『地下道』、ロマン・ワインガルテンの戯曲、別役実の童話など、入れ替わり立ち替わり様々な猫たちに案内されながら、文学つまみ食いを何回も堪能させて頂きました。 自分もいつか猫を飼ってみたい。猫と一緒の時間が生み出す独特の空気に浸ってみたい。 何度も読み返すうち、そんな気持ちにさせられました。
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