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〔少女庭国〕 ハヤカワ文庫JA
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2019/06/20 |
JAN | 9784150313821 |
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〔少女庭国〕
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商品レビュー
3.7
24件のお客様レビュー
読み始めてすぐに「魔女の子供はやってこない」の人か!と気づき座り直して読みました。 果たしてAIにこれが書けるかな。この人がいる限り創作は死なないなって思う。 三大奇書に並ぶのではないか、と褒め倒しそうになる一方で、子供には絶対読ませたくない胸糞本なので、星の数が難しいです。 後...
読み始めてすぐに「魔女の子供はやってこない」の人か!と気づき座り直して読みました。 果たしてAIにこれが書けるかな。この人がいる限り創作は死なないなって思う。 三大奇書に並ぶのではないか、と褒め倒しそうになる一方で、子供には絶対読ませたくない胸糞本なので、星の数が難しいです。 後、著者がこの人だってわかってたらきっと読んでない。鬱になりそう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
作者の凄さは、異常さは、狂気は、普通なら短編で終わらせるべきこのシチュエーションドラマを、〈補遺〉という形で長編にしてしまった点にある。 〔少女庭国〕。そこは卒業式に参加するはずだった少女たちがひとつの教室に一人ずつ眠った状態で取り残された異空間。”卒業条件”として書かれた紙には〈ドアの明けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の数をmとする時、n-m=1とせよ〉とある。 およそ210ページほどあるこの小説は最初の50ページほどで、このシチュエーションにおけるひとつの”結末”を提示するのだが、恐ろしいのはその先にある〈補遺〉の部分で、だいたい本の3/4を占めるこの箇所は、ここで起きた”あらゆる別の結末”を次々と提示していく。 あるときは隣の教室にいる少女を迷いなく殺したり、あるときは自殺することで卒業条件を達成したり、またあるときは話し合いで死ぬ者を選んだり……。やがて少女たちは1000人を超える規模に拡大し、帝国と言えるほどの体制を築き上げ……という思考実験SFのような地点にまで行きついてしまう。 これを何らかのメタファーとして受け止めることも可能だろうが、どちらかと言えば私がこの本を読んでいて感じたのは”禁忌”に対する反応の薄さであり、例えば「食人」であったり、「人体破壊」であったり、「奴隷制度」であったり、およそモラルを逸脱した展開を、それに対する忌避感をほぼ描くことなく、ただ淡々と進めていく点だった。 そのため本作は、これほど時間も場所も広がって行くにもかかわらず、シチュエーションと描き方によって、”誰かに感情移入する”という機会がゼロに近い。それでも果たしてこの先どうなってしまうのか気になって読んでしまうあたり、作者の筆力(変態性と言い換えてもいいだろうけど)は高く、シチュエーションドラマとして強度の高い出来となっている。 この「現象」にどんな理由があって、どんな解決方法があるのか。そういうことを期待しながら読むのはやめた方がいいだろう。最終的に”卒業条件”を達成したどの少女たちも、その後元の世界に還れたのかどうか、一切説明してはくれないし、作者としても書きたかったのは、伝えたかったのはそこには無いと思うから。 さて、ではそろそろこの小説の確信に迫ろう。 と言ってもこれは登場人物の会話や、小説の書き方から何となく感じたことなので、明確な答えではないのだけど。 以下、考察に移る。 この小説を読んでいてなんとなく思い出したのは『異常』という小説で、あの小説は「シミュレーション仮説」という世界の捉え方を物語内に組み込んでいた。例えば『〔少女庭国〕』の世界そのものも、シミュレーションされたのもだとしたらどうだろうか。上記したように登場する少女たちは、殺人や食人といったことを厭わず、通常の倫理観が著しく欠如している。それは、彼女たちの存在自体が一種のプログラムされたモデル――そもそもが現実ではない場所で起こっていることなのではないかと思う。そして、それでもなお、最初の50ページの短編〔少女庭国〕から悪趣味で不愉快で荒唐無稽な展開を読み進めているのは――それが〈補遺〉だと自覚しながら読んでいるのは、読者である我々であり、そのことに気づくと、悪趣味なのは――それでもまた別の”不愉快な死に様”を見ようとする「我々読者の方」ということになるのではないだろうか。この小説がやろうとしたのは、そういう”意趣返し”であり、だから少女たちが捕らわれた原因も解決法も、脱出できたかどうかも書かれることはないのだろう。 とりあえず、よくもまあこんなシチュエーションを考えたものだし、長々とその「果」まで書いたものだなと思う。世の中には色んなことを考える人がいるもんだなあ。
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脱出できるのは一人だけ。 デスゲームであり、シチュエーションノベルであり、文明勃興記であり、青春小説であり、実験小説であり…百合でもあるのか。 無限に増殖する少女。殺すか殺されるか死ぬか生きるか。不条理を超えた先にある感慨。ともかくとんでもない作品。
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