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「宿命」を生きる若者たち 格差と幸福をつなぐもの 岩波ブックレット1001
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「宿命」を生きる若者たち 格差と幸福をつなぐもの 岩波ブックレット1001

土井隆義(著者)

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「宿命」を生きる若者たち 格差と幸福をつなぐもの 岩波ブックレット1001

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2019/06/01
JAN 9784002710013

「宿命」を生きる若者たち

¥495

商品レビュー

4.7

8件のお客様レビュー

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2021/05/16

大学で教員をしている友人と「いまなぜ若者は本を読まないのか?」という議論になりました。本当にそうなのかわからない漠然とした印象の話だからほどほどにしないと本を読んでいる若者から怒られてしまうようなテーマですが、コミック以外の出版不況は確実に起こっているので、まあ許してもらうとして...

大学で教員をしている友人と「いまなぜ若者は本を読まないのか?」という議論になりました。本当にそうなのかわからない漠然とした印象の話だからほどほどにしないと本を読んでいる若者から怒られてしまうようなテーマですが、コミック以外の出版不況は確実に起こっているので、まあ許してもらうとして。その流れの中で、たぶん中間層の崩壊が階層移動の願いを込めた読書、みたいな市場の喪失につながっているのでは?という根も葉もない仮説にたどり着いた訳です。(これ講談社の成長を描いた「出版と権力」の感想を語った時の出来事です…)おっさんたちの根も葉もない話に、なんとなくちっちゃな根になるのではないか、というブックレットが本書です。我々の世代で「宿命」とは花形満が星飛雄馬に「宿命のライバル」と呼びかけるドラマチックな意味を持った言葉ですが、現代の若者にとっては格差を納得するためのキーワードになっている、ということを様々のデータと駆使し証明していきます。「未来の自分」より「過去の自分」に拠り所を求めるまっ平な高原社会を歩む若者たち。それこそ「巨人の星」に代表されるよな「苦難の神義論」世代が「幸福の神義論」世代の気持ちを理解しないまま語り掛けるのはやめようと、読了後、すぐ友人に読め!と勧めました。著者もナウシカのメーヴェを引用したりしていて、なだらか世代かと思いきや、自分たちとほぼ同年齢でビックリ。だいぶ前に古市憲寿の「絶望の国の幸福な若者たち」で取り上げている「幸福のジレンマ」の最新版でもあります。これもちょっと古いけど少年ジャンプのヒットマンガが「ドラゴンボール」の強さのインフレーションから「ワンピース」の仲間のネットワーキングに移行している、という指摘にも通ずると思いました。若い人と接するおっさん必読の書です。

Posted by ブクログ

2020/08/21

若年層の生活満足度が上昇しているのは何故かを、様々なデータを駆使して解き明かすことを試みた好著だ."一般に私たちは、自分の生きる目標について考えをめぐらすときも、身の回りの人間関係のなかでそれを確認し、自己の存在意義を得ようとする"、また"私たちの期...

若年層の生活満足度が上昇しているのは何故かを、様々なデータを駆使して解き明かすことを試みた好著だ."一般に私たちは、自分の生きる目標について考えをめぐらすときも、身の回りの人間関係のなかでそれを確認し、自己の存在意義を得ようとする"、また"私たちの期待水準は、一般に自分を誰と比較するかによって変わってくる"(p104)のだが、人間関係の内閉化が進んだことで、他者と定義される範囲が非常に限定されてきて、生活満足度が高くなっていると結論付けている.納得できる議論だ.このような社会制度を作ってきた現代の高齢層の責任論も議論すべきだが、状況打破のアプローチも大事だ.未来の世界に住んでいる自分をイメージし、その視点から時間を遡って現代の社会制度のあり方を検討するというFuture Designという手法を紹介している(p129).

Posted by ブクログ

2020/07/17

日本経済の停滞は社会の高原化と表現され、そこに適応してきた若者の心性や人間関係を読み解く。 社会が経済発展という共通の目標を失い、個人はそれぞれ価値観を多様化させてきた。価値観がばらばらになり「みんな」とは「抽象的な他者」でなく「具体的な他者」になった。とても納得できる。いち若...

日本経済の停滞は社会の高原化と表現され、そこに適応してきた若者の心性や人間関係を読み解く。 社会が経済発展という共通の目標を失い、個人はそれぞれ価値観を多様化させてきた。価値観がばらばらになり「みんな」とは「抽象的な他者」でなく「具体的な他者」になった。とても納得できる。いち若者としても実感してきたことが体系的に言語化されている。 フォロワーが何人とか具体的な数字で表されていることもこのような心性が背景にあると説明できうると考える。

Posted by ブクログ

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