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絶唱 新潮文庫
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絶唱 新潮文庫

湊かなえ(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2019/06/26
JAN 9784101267739

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商品レビュー

3.6

319件のお客様レビュー

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2025/12/10

トンガ島と阪神淡路大震災をモチーフに描く4つの物語。タイトル作の「絶唱」はもしかすると著者の私小説に近く、著者の心の奥底に潜む叫びなのかもしれない。他人からは見えない本人の苦悩や葛藤を著者十八番の一人称視点を重ねることで複眼的に物語を仕立てる。震災を契機に奥底に潜む核が開放され、...

トンガ島と阪神淡路大震災をモチーフに描く4つの物語。タイトル作の「絶唱」はもしかすると著者の私小説に近く、著者の心の奥底に潜む叫びなのかもしれない。他人からは見えない本人の苦悩や葛藤を著者十八番の一人称視点を重ねることで複眼的に物語を仕立てる。震災を契機に奥底に潜む核が開放され、トンガ島という象徴をもって想いは解放し昇華する。作品の後半、トンガ島の出来事は「そうだった…」と思い出させられるものだが、ゆえに人と人が瞬間瞬間真剣に向き合うことの大切さを気付かせてくれる作品である。

Posted by ブクログ

2025/12/07

始めは雪絵が異国の地トンガで何かを追い求める物語かと思っていたが想像を裏切られた。 島国トンガの陽気な雰囲気を感じられる描写が多く今まで国名しか知らなかったトンガに少し興味が湧いた。 1章の"楽園"では他の章に比べ前向きな話でトンガの文化に触れたり一人で旅す...

始めは雪絵が異国の地トンガで何かを追い求める物語かと思っていたが想像を裏切られた。 島国トンガの陽気な雰囲気を感じられる描写が多く今まで国名しか知らなかったトンガに少し興味が湧いた。 1章の"楽園"では他の章に比べ前向きな話でトンガの文化に触れたり一人で旅する様子は読んでいて楽しかった。それに加え毬絵が探し求めていた楽園の圧巻の描写や主人公は雪絵ではなく毬絵だったことのどんでん返しなどもあり1番好きな章だった。 2章の"約束"では毬絵より前にトンガで暮らし教師をしていた理恵子目線で話が進む。在住期間が毬絵よりも長くより詳しくトンガの文化に触れることはできたがストーリー的にはありきたりに感じた。 3章の"太陽"では1章では毬絵目線で語られた自分勝手な杏子の話だったが、読んでいるうちに杏子の過去を知ると身勝手な言動にも共感できる部分があった。それでも娘を放置するのは良くないと思うし、最後は杏子もそこに気付き花恋に感謝することができてよかった。 セミシさんと尚美さんが夫婦であった展開も良かった。 最終章の"絶唱"では著者目線で阪神・淡路大震災の経験談が描かれる。 これまでのトンガの陽気な雰囲気とは一変し、震災の現実や被災後の人々の行動など深いテーマへと変わっていった。 著者から尚美さんへの手紙という形式だったが、個人的にはこれまでの物語が重なるような展開が見たかった。 それぞれの物語は読みやすく面白かったがもう少し伏線回収や重なる場面なんかがあったらもっと楽しく読めたのだと思う。 解説の本当の絶唱は本話そのものなのだと感じるという考えには深く共感した。

Posted by ブクログ

2025/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

トンガと災害のお話。 それぞれの喪失と再生のお話。 外からじゃ語る資格ないって本当に思った。もっと深い傷を受けている人、もっともっと深い傷を受けている人なんて無限にいる。 湊かなえ作品の中でトップレベルに好き

Posted by ブクログ