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鳥頭なんて誰が言った? 動物の「知能」にかんする大いなる誤解
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2019/05/23 |
JAN | 9784152098610 |
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鳥頭なんて誰が言った?
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動物の知能は一つの単純な基準からは測れないことが改めてわかった。 陸の生き物が海の生き物よりも知能が高いと一般には思われているが、それは水中での研究が難しいからで、私たちが知らないだけ。今出ているデータだけじゃなくて、その背景が大事だなと思った。 研究室での実験はフィールドワーク...
動物の知能は一つの単純な基準からは測れないことが改めてわかった。 陸の生き物が海の生き物よりも知能が高いと一般には思われているが、それは水中での研究が難しいからで、私たちが知らないだけ。今出ているデータだけじゃなくて、その背景が大事だなと思った。 研究室での実験はフィールドワークの補完に、フィールドでの実験は生物の本来の適応力を見ることができるため、どちらにもメリットがあることが分かった。
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取っつきやすそうな題名なので読んでみたのだが、これは本格的な学術書。フランス人女性行動生物学者による動物行動学の入門的な本である。 本書の内容は、各動物が人間と比べどの程度の知能を有しているかを研究するものだ。 結論的には、 人間の設定したテストで各動物の能力を判定するのは無意...
取っつきやすそうな題名なので読んでみたのだが、これは本格的な学術書。フランス人女性行動生物学者による動物行動学の入門的な本である。 本書の内容は、各動物が人間と比べどの程度の知能を有しているかを研究するものだ。 結論的には、 人間の設定したテストで各動物の能力を判定するのは無意味である ということだった。 例えば、チンパンジーなどの霊長類に対して、パズル的な道具を使って餌を取らせるテストなどを行うのだが、当然、チンパンジーはそれなりの高得点をとる。一方、他の動物や鳥や昆虫に対しては同じテストでは判定できない。 では、チンパンジーなどの霊長類に対して他の動物は知能的に必ず劣っていると言えるのだろうか。 オウムやインコなどの鳥類はくちばしで細い棒を器用に使って、虫などの餌を取ることができる。道具を使うだけだったら、ラッコだって身体の上に貝殻をおいて貝殻同士を叩きつけて貝殻を割ることができる。これだって立派に道具を使っていると言えるだろう。 動物は、それぞれの分野についてそれぞれ特殊な高い能力を持っている。 伝書鳩は、まったく知らない場所から飛び立っても自分の巣に帰ることができる。 チンパンジーは視界数メートルしかない密林の中を最短距離でエサ場にたどり着くことができる。 アリは、砂漠のなか数キロに渡って迷うこと無く目的地に到達することができる。 つまり、それぞれの動物の能力には、それぞれの長所があり、それを人間が設定した「知能」などという極狭い範囲での分野で測ろうとすることがナンセンスだということなのである。 一方、人間は現在「万物の霊長」などと自ら名乗り、地球の支配者のような態度を取っているが本当に人間が一番地球上で優秀な生物なのだろうか? 例えば一人の人間と一匹のアリを比べてみよう。確かに、人間に比べたらアリ一匹の能力など無いに等しいかもしれない。 しかし、見知らぬ砂漠に人間とアリが置き去りにされたらどちらが長く生き残れるだろうか。人間はスマートフォンのGPS機能を使って何とか進めるかもしれないが、バッテリーが切れたらもうお手上げだ。でもアリならば体内GPSを使って確実に巣に帰ることができるだろう。 さらに個々の能力だけでなく、種族としての歴史も比べてみよう。 人間種族の歴史は約300万年。これは、アウストラロピテクスを人間と考えた場合の年数だ。しかし、アリの種族の歴史は約1億2000万年までさかのぼることができるのだ。 人間はあと何年先まで生き残ることができるだろうか? 100年後はまだ大丈夫だろう。1000年後はどうだろう、辛うじて生きているかもしれない。 では、1万年後は?ましてや1億年後も生きているだろうか? たぶん10万年後まで人間が生きていると予測する人は少ないのではないだろうか。 このまま地球環境の破壊を続け、人口増加はおさまらず、核兵器や生物兵器に囲まれた生活をしている種族、それが人間だ。つまり、いつ絶滅してもおかしくない生物が人間という種族なのだ。 これでもまだ僕たちは「人間はアリより優れている」と言えるのだろうか? 1億年以上、種族として生き永らえてきたアリにしてみれば「人間ごときが・・・昨日今日の新入りのくせにでかい顔しやがって、まあ、どうせ、すぐにいなくなるだろうけどなw」と笑っているのかもしれない。 本書を読んで、以上のようなことを感じた。 僕たちの寿命は長くても100年程度だ。でも子供、孫、その子供と人類の歴史はまだ少なからず続いていく。 今を生きる僕たちは、僕たちの子孫にツケを回すことなく、できるだけのことをしなきゃいけないということは僕らに課せられた義務なのだろう。
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