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独裁と民主政治の社会的起源(上) 近代世界形成過程における領主と農民 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2019/05/17 |
JAN | 9784003423011 |
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近代化の結果の統治体制が、A.議会制民主主義、B.ファシズム、C.共産党独裁、のどれになるかに対して、農村部の住民(地主と農民)がどのような役割を果たしたかに着目した古典的論考。 上巻では、イギリス、フランス、アメリカ(全てAの体制)と、アジアのうち中国(C)の章を収録。 農村部...
近代化の結果の統治体制が、A.議会制民主主義、B.ファシズム、C.共産党独裁、のどれになるかに対して、農村部の住民(地主と農民)がどのような役割を果たしたかに着目した古典的論考。 上巻では、イギリス、フランス、アメリカ(全てAの体制)と、アジアのうち中国(C)の章を収録。 農村部の旧来の権威がどのように破壊されるかがポイント、という元も子もない話。イギリスでは囲い込みで破壊、フランスでは革命で破壊、アメリカは入植地なので事情が特殊。アメリカの西部は家族農業なので権威は弱く、南部のプランテーションが上下構造のある農村社会にあたり農園主が権威。これを破壊したのが南北戦争。 ちょっと興味深いのは、イギリスでは囲い込みにより「非暴力的」に農村社会の破壊が行われたにもかかわらず、それによる農民への負の影響は暴力革命と遜色ないと強く指摘されていること。ここに著者の個人的意思がみえる。 中国の章では、そもそも書かれた時代に中国の農村部の状況をここまでよくぞ調べたなぁという感嘆がある。その上で、同じ東アジアである日本との全くの違いに驚く。古来から中央集権の官僚制で派遣される役人が農村部で政府の代理をしていたため、そもそも農村部に社会的な上下関係が脆い。そこに日本軍による抑圧が加わることで、共産党が反日というモチベーションを使用して社会的なつながりを「創出」したという話。書かれた時点では、そのあと、中国共産党がどう進んでいくか不明だったわけで、結局は資本主義の注入によってしか収奪と高度成長が果たせなかったという顛末を知っていると感慨深い。
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原書名:SOCIAL ORIGINS OF DICTATORSHIP AND DEMOCRACY 第1部 資本主義デモクラシーの革命的起源(イギリス―漸進主義に対する暴力の貢献;フランスにおける発展と革命;アメリカ南北戦争―最後の資本主義革命) 第2部 近代世界に向かうアジアの...
原書名:SOCIAL ORIGINS OF DICTATORSHIP AND DEMOCRACY 第1部 資本主義デモクラシーの革命的起源(イギリス―漸進主義に対する暴力の貢献;フランスにおける発展と革命;アメリカ南北戦争―最後の資本主義革命) 第2部 近代世界に向かうアジアの三つの道(ヨーロッパとアジアの政治過程―比較に際しての諸問題;中華帝国の衰退と共産主義型近代化の起源) 著者:バリントン・ムーア(Moore, Barrington, 1913-2005、アメリカ・ワシントンDC、社会学) 訳者:宮崎隆次(1948-、政治学)、森山茂徳(1949-、政治学)、高橋直樹(1950-、東京都、政治学)
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著者は序文で「我々は資本主義デモクラシーにいたるブルジョワ革命、ファシズムに至る失敗したブルジョワ革命、共産主義に至る農民革命の、各々における、地主上層階級と農民層の役割を明らかにし」p18と述べているとおり、農業社会に焦点を当て、農民社会から独裁政治や民主政治、共産主義への変遷...
著者は序文で「我々は資本主義デモクラシーにいたるブルジョワ革命、ファシズムに至る失敗したブルジョワ革命、共産主義に至る農民革命の、各々における、地主上層階級と農民層の役割を明らかにし」p18と述べているとおり、農業社会に焦点を当て、農民社会から独裁政治や民主政治、共産主義への変遷について、イギリス、フランス、アメリカ、中国について調査研究し述べたもの。それぞれの国を比較し、その違いは理解できるが、民主主義の成立を述べるにあたり、農業社会を調べることが適切なのかが疑問。 「資本主義社会で掲げられる原則は、私有財産を自らの蓄財のために無制限に利用することが、市場のメカニズムを通じて必然的に、社会全体にとっての富と福祉を着実に増すというものである。イギリスでは後に結果的に、この精神が合法的かつ平和的な方法で勝利を収めることになった」p47 「(イギリスがデモクラシーへの道を歩みえた原因)過去における暴力の遺産、すなわち、相対的に強力かつ独立した議会、自らの経済基盤をもつ商工業利益、深刻な農民問題が存在しなかったこと」p73 「イギリスがデモクラシーが発達するにあたって決定的な役割を果たした主要因として、まず、地主であるジェントリー及び貴族層が国王から自立していたことが挙げられる。次に、強力な自らの経済基盤を持つ商業・手工業階級の成長に対応するためにも、彼ら地主階級は商業営利的農業を採用した。そして、農民問題は消滅していた。一方、フランス社会はこれと全く異なる経路をたどって近代社会に入っていった」p75 「(1860年までのアメリカ社会の形態)綿花栽培に基礎をおく南部、自由な農場主の西部、急速に産業化した北部」p186 「1849年には、綿花の全収穫高の64%が外国、主にイギリスに輸出された」p187 「中国の地主上層諸階級の中には、帝政に対する重要な原理的反対派に発展した者は、全くいなかった」p277 「政治体制の社会的基盤が中国には欠落していた」p282
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