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ディスタント
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2019/04/13 |
JAN | 9784309027968 |
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きっかけは森美術館の「ワールド・クラスルーム」展で見たミヤギフトシによる映像作品の「オーシャン・ビュー・リゾート」を観たこと。静かな風景の映像とベートーベンの音楽を支えに過去が繊細に積み重ねられ、ふわりと感覚が広がる瞬間を経験できる、すばらしい作品だった、と思う。すでに私の記憶は...
きっかけは森美術館の「ワールド・クラスルーム」展で見たミヤギフトシによる映像作品の「オーシャン・ビュー・リゾート」を観たこと。静かな風景の映像とベートーベンの音楽を支えに過去が繊細に積み重ねられ、ふわりと感覚が広がる瞬間を経験できる、すばらしい作品だった、と思う。すでに私の記憶はあいまいになっている。 小説は、作者自身とのつながりを感じさせる主人公が、沖縄、大阪、ニューヨークと移動しながら、他人とのかかわりの中で自分の輪郭を探っていくような、そんな物語だった。 ずっと他人とのかかわりについて語っているのに、会話に「」が存在しない。会話を示す改行もない。主人公「僕」の視点で短めの文が淡々と重ねられていく。さらに、時に説明もなく自然に新しい人物が登場する。時間もゆらりゆらりと前後しつつ進んでいく。なので、主人公が自分を探るのと同じように、私も物語の現在地を探るような気分になった。それが心地いい。現在地といっても地点の問題ではなく、探っているのは自分の感覚のありかだ。 3章に分かれているが、最初の2つは一人称「僕」視点で語られ、最後の章は三人称で主人公「ジャック」について語られる。視点の移動のせいで、さらに私の感覚が迷子になる。ここで新たに読者として、自分の感覚を整えていくことが、主人公の渡米経験と重なる気もした。 物語のところどころに登場する実在のアーティスト名やゲームタイトルがふわふわした感覚をつなぎとめる目印のように機能していると思った。
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湿度と青い海と基地のある沖縄、ビルと人が交差する大阪、様々な人種のうずまくNY、そしてその隙間...全く違う場所でもどこか心のどこかで繋がって移り変わり、そして流れていく。 風景や人物たちの心がとても丁寧で繊細にそしてたんたんと綴られている。読んでいくうちに日々流してしまう小さ...
湿度と青い海と基地のある沖縄、ビルと人が交差する大阪、様々な人種のうずまくNY、そしてその隙間...全く違う場所でもどこか心のどこかで繋がって移り変わり、そして流れていく。 風景や人物たちの心がとても丁寧で繊細にそしてたんたんと綴られている。読んでいくうちに日々流してしまう小さな欠片のような感情を、ふといくつも思い出した。 まるでそよ風がそっと肺に吹き込んできて、息の仕方を思い出させるようなわずかな気づきで、 その欠片たちは私自身にとって本当は大事なものだったことも思い出させてくれた。 写真家で現代芸術家のミヤギフトシさんはparasophiaという国際アートイベントで『American Boyfriend』という映像作品を出品されていた。それがミヤギさんの作品との出会いでした。そこで言葉の綴り方が素敵だなと思っていたので、この小説を読むことができてとてもうれしい。
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めちゃくちゃリアルでめちゃくちゃセンチメンタル! 小説作品だけれど、作者の体験も入ってるんだろうな。記憶や思い出をこんなふうに表現できたら良いよね〜。
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