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終焉の日 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2019/03/20 |
JAN | 9784488157067 |
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商品レビュー
3.6
11件のお客様レビュー
これから本書を読む方には、事前に以下の事柄を押さえておくようお薦めしたい。 本書のストーリーは1940年代と1980年代を頻繁に行来しながら進んでゆくが、それぞれの時代におけるスペインの政治的状況、歴史的事件が関係してくる。 40年代においてはファランへ党(ファシスト政党、...
これから本書を読む方には、事前に以下の事柄を押さえておくようお薦めしたい。 本書のストーリーは1940年代と1980年代を頻繁に行来しながら進んでゆくが、それぞれの時代におけるスペインの政治的状況、歴史的事件が関係してくる。 40年代においてはファランへ党(ファシスト政党、いわばスペインのナチス)による国家統制、それに独ソ戦への「青い旅団」(青師団)派兵。 80年代では、1981年2月23日の軍事クーデター未遂事件。スペイン人の読者であれば、物語がその日付へと収束してゆくことに、早めに気が付くのではないかと思う。そして、気が付いたほうが先の展開により興味を持って読めるのではないか。 十数名の登場人物が複雑に絡み合う物語なので、せめて歴史的背景くらいしっかり把握して読み始めたほうが話について行きやすいだろう、と老婆心ながら考えた次第。因みに、犯人当ての要素はほとんど無い。あと、僕のように記憶力に自信がない人は、人物相関図を描いたほうがいいかも。 以下、ネガティブな感想がひとしきり続く。ネタバレこそないものの、これから本作を読む人、本作が気に入った人は閲覧注意、かなり興を削ぐようなことばかり書いているので。 情景描写、心理描写に成熟した表現力を見せる書き手で、これぞ大人の読み物、と好感を持って読んでいたが、中盤から細部の書き込み過ぎでテンポが良くない。概して、詩的表現は上手いがストーリーテリングはイマイチ。場面転換するたびに登場人物が物思いに耽るひとくだり、「人間はちっぽけな存在だ」云々、等々。独想・心象風景に筆を費やし過ぎで、読んでいてイラッとくるところもあった。 それに加えて、十数人もいる登場人物を差し置いて、語り手がまあ語る語る。自分の口で言わせてやれよ、と思いながらササッと読み飛ばしたりして。 極めつけは意味不明なピンポイントのオリエンタリズム。それ要る?欧州ではウケた? 主人公は一応弁護士マリアなのだろうが、群像劇の趣もある。登場人物が複雑に絡み合った全体像が判るのはかなり読み進んでから。その後、ストーリーは割と月並みな展開を見せる。ブクログでは案外評価が高いので、これから他の人の感想を読んでみようと思う。
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ある誘拐事件に関して口を割らないケチな情報屋を執拗なまでに拷問し、命の危険にまで追い込んだ悪徳警官セサルは塀の中に収監されていた。セサルを刑務所送りにしたのは弁護士のマリアだ。フランコ軍事政権下にはびこっていた強欲な警官に違いないと、被害者の弁護を請け負ったマリアは、セサルの非人...
ある誘拐事件に関して口を割らないケチな情報屋を執拗なまでに拷問し、命の危険にまで追い込んだ悪徳警官セサルは塀の中に収監されていた。セサルを刑務所送りにしたのは弁護士のマリアだ。フランコ軍事政権下にはびこっていた強欲な警官に違いないと、被害者の弁護を請け負ったマリアは、セサルの非人道的な行いを徹底的に裁判で攻撃し勝利した。その結果としてマリアは名声を得て、セサルは自由を奪われた。 それっきりで二人の接点は途切れるはずだった。しかし、いまマリアは刑務所にいるセサルに会いに来ていた。私はとんでもない過ちを犯してしまったのかもしれない、という疑念が頭から離れなかった。果たしてセサルが執拗に聞き出そうとしたその情報とは何なのか。 三世代にわたる殺人の連鎖の謎を解くために、二人は過去の諍いを越えて手を取り合う。 その結末は・・・ 物語を読み解くのに、スペイン現代史を知っているのに超したことはないと思うが、知らなくても十分楽しめる。一級品のミステリー。本の帯には「濃密な人間ドラマが胸を打つ、ヨーロッパミステリ大賞受賞作」とある。決して大げさじゃない。読み終わった後、ここまでの満足感を感じたことはあまり記憶にない。確かに、濃密という言葉が一番しっくりくる。 物語はフランコが政権を掌握したはじめの頃1941年頃と1981年頃を行ったり来たりする。 40年代は軍部怖さに誰もが自分や家族の命と、あかの他人の命を天秤にかけた。命の価値は平等だなんて考えは平和な時代に暮らしている人の考えだ。命令に従って誰かを殺して家族を守るか、命令に背いて家族共々殺されるかの二者択一だ。 物語の中で殺人を犯す、誰かを傷つける犯罪者たちも、見方によっては被害者として捉えられる。もともとは心優しい人たちだったはずなのに、やむを得ず犯罪に手をそめるうちに心を失っていく。だから、切ない。そこに人間性のかけらが見えるから。 スペイン語の原題は「武士の悲しみ」らしい。物語の小道具として日本刀が出てくる。あんまり道具として効いているとは思えないので邦題を変更したのは正解かも。 作者は日本刀に破邪顕正の意味を持たせたかったのかなぁ。怪物に成り果てた人物を日本刀で斬ったから。内側にあるはずの(心)を取り出したという意味で使いたかったんだと思う。 「日本刀」は効いてないけど「心」は描けていると思う
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とても重たい。漂う空気は常に緊張して喉が渇いて、口臭がする。そういう緊縛した世界で描かれる人の命の重たさがずっしり。主に三家族の不幸が重なり絡まり全ての人達を苦しめ続け、権力という吸い上げ気により、人生を狂わされた人々の物語。暴君の家族ですら、本人以外、むしろ一番悲劇を植え付けら...
とても重たい。漂う空気は常に緊張して喉が渇いて、口臭がする。そういう緊縛した世界で描かれる人の命の重たさがずっしり。主に三家族の不幸が重なり絡まり全ての人達を苦しめ続け、権力という吸い上げ気により、人生を狂わされた人々の物語。暴君の家族ですら、本人以外、むしろ一番悲劇を植え付けられている。それを後世にのこすなー。悲劇の遺伝。こう、皆わかっちゃいるが、悪者はなんでしぶとく生き延びるかなあ。なんかどっか壊れてんだよね。周りが全員不幸で、自分だけ幸せでいい、ってさ、生きる資格ないと思う。
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