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創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで 講談社選書メチエ696
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2019/03/13 |
JAN | 9784065150115 |
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創造と狂気の歴史
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商品レビュー
4.7
15件のお客様レビュー
古代から現代に至るまでに「狂気」はどう扱われてきたかを解説,統合失調症やうつ病,ASDなどの比較。思想史を知る上でとっつきやすい見方だと思う。
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それぞれの章のはじめに、その章の概要とそれまでのまとめが書かれているからあとで読み返すときにすごく便利だと思った
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
創造と狂気は紙一重と言われる。すなわち、ある真理と引き換えに狂気は憑依するのだと。 本書では、古代ギリシャから現代にかけて、「創造と狂気」が転倒を繰り返し変遷する系譜について、病跡学と哲学のコラージュで辿られてゆく。 西洋思想の注釈と言われて久しいプラトンによる対話篇『パイドロス』では、狂気は啓示と病、すなわち神的狂気と人間的狂気に分割され、神霊が吹き込まれた狂気を歌う存在こそが詩人であり、尊ばれる「詩人狂人説」が提唱された。一方で、プラトンの弟子であるアリストテレスは、鬱やメランコリーにおいて暗雲に溢れる人間的な思索にこそ、創造性が担保されているとして、天界から地上界へ我々を導いた。いずれにしても、古代ギリシャ的な霊魂は、神と人間を接合する媒介者であったが、中世へ移り行くにつれて、媒介者としての霊魂は、神による人間への誘惑そのものであって、人間を俗物的に陶酔させる悪魔として解釈され、いわゆる魔女狩りの犠牲者は、この誘惑に泥酔したヒステリー者であった。以降、西洋近代の地底を築き上げたデカルトやカント、ヘーゲルといった大家においても、決して狂気から完全に逸脱していた訳ではなく、狂気の御札がなくては機能不全に陥ったデカルト、狂気の隔離ゆえに作品を創造していたカント、狂気を弁証により超越するヘーゲルのように焼き直される。 産業革命を経て台頭した反哲学の時流において、精神病理学の泰斗であるヤスパースは、狂人における創造性は、形而上学的な啓示に基づいており、その解体的深淵が、彼らを荒廃させてゆくと述べた。以降、詩人にして統合失調者であるヘルダーリンを皮切りに、ハイデガー、ラカンらの実存主義と構造主義の狭間からは「神は現れないが、現れないという形で現れる」否定神学にこそ本質があるとされ、ブランショをはじめ、その色彩は文学界へも波及した。 現代思想においても、否定性の中に肯定性が導出される弁証法的人間にその着想が得られる。 文学者の病跡学では、統合失調症と自閉症の世界観における差異が盛んに検討されてきた。両者は特に、創造性を駆動する源泉が対照的である。アルトー的な統合失調者における創造が、狂人による神の啓示の陳述であれば、キャロル的な自閉症スペクトラム者の創造は、健常の延長に広がる言語の横滑りなのだと。 狂人を拘束する鎖を解いたピネル以降、ドイツを筆頭に精神障害の研究が進み、体系化されてきたが、カントの『脳病試論』を紐解けば、精神的な狂気が「あたまの病」と「こころの病」に分類され、後者の下層には、迫害妄想や関係妄想の端緒を紡ぐことができる。精神障害を近代まで遡及することができ、大変示唆に富んでいた。
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