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マダンの児 韓国と日本の空の下で
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マダンの児 韓国と日本の空の下で

朴禮和(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ケイビーエス
発売年月日 2018/12/01
JAN 9784991015809

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2019/08/24

著者のパクイェファさんは1931年生まれだから、私がこの本を読んだ2019年時点では88歳になるのかな?パクさんは韓国で生まれ、長く日本に住み、現在もコリアボランティア協会を手伝うなど日本で日々を過ごす在日韓国人一世だ。 そのパクさんが、幼い日に生家でマダン(韓国の農家でよく見ら...

著者のパクイェファさんは1931年生まれだから、私がこの本を読んだ2019年時点では88歳になるのかな?パクさんは韓国で生まれ、長く日本に住み、現在もコリアボランティア協会を手伝うなど日本で日々を過ごす在日韓国人一世だ。 そのパクさんが、幼い日に生家でマダン(韓国の農家でよく見られる庭)で遊んだ思い出や、国民学校(小学校)での級友や先生との会話や思い出がこの本で書かれているが、まるでたったいまビデオカメラで録画したばかりかのように鮮明で生き生きとした文章で表現されている。 この本で描かれたパクさんの幼い日々のことを読んでわかったのは、パクさんが「めげない、くよくよしない、勉強好き」なこと。そして「いい思い出と、そうでない思い出とがあれば、いい思い出だけを自分の心の中で育てて心の糧(かて)にできる才能」があるということ。 私が特にいいなと思ったエピソードはと言えば… パクさんが名古屋の国民学校に通うようになったばかりのころ、日本語がまったくわからないので、学校で先生が言うことも「ナンタラカンタラ」にしか聞こえない。 ある日の図工の時間、先生のナンタラ…の説明のあと、となりの席の子が色紙をちぎって画用紙に貼りはじめた。パクさんも同じようにしようと思い、韓国を離れるときに生まれてはじめて乗った汽車の窓から見た、まるで後ろへ飛んでいくかのような並木の絵を仕上げた。 でも教室の後ろに張り出されたクラスのみんなの絵はすべて花瓶に生けた二本の花が描かれていて、違うのは自分の絵だけ。 実は先生は「教科書を見てそのとおりの貼り絵をしなさい」と言っていた。でもパクさんは聞き取れず、となりの子の様子を見て「貼り絵をする」とだけ気づいてそうやって、結果としてほかの子とは全然違う作品が1枚だけ教室の壁に貼られたことになった。 でもパクさんはこう書く。 「並木の貼り絵が壁にある間じゅう、恥ずかしかったけれど…先生が私に気配りしてくださっていることが、絵を見るたびに伝わってきました。」 私はここを読んで、正直「はっ」とした。 パクさんだって本当は自分1人だけそうなったらクラスで疎外感を味わったはずだ。 さらに生まれたときの名前ではなく日本語の名前で呼ばれることへの違和感などもあって、そういった日本社会に対する不安や不信、不満が些細なことをきっかけに湧きあがってもおかしくなかったはず。いや、実際はそうだったに違いない。 しかしパクさんは、そんなネガティブなことを自分の思い出として書き連ねようとはしない。 逆にパクさんは、となりの席の女の子にいろいろと親切にしてもらったことや、外見がこわくて近寄りがたかった男の担任の先生に鉄棒が上手にできたことでほめられて、その先生が好きになった話とか、楽しかった思い出を次から次へと書いているので、読む側もとても心が暖かくなる。 一方で、パクさんという1人の女性ですら、さらりと自然に自分と周りのみんなを暖かい気持ちにさせられるのに、なぜ国家となるとそれができないのだろうか? 相手のいいところだけを見て、相手を好きになるということが、オエライ方々はなぜできないのか?しようとしないのか? 私は韓国と日本とがこれからどう付き合っていくのかという大局的なヒントも、このパクさんの本にあるのでは、とすら思っている。

Posted by ブクログ

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