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老年について 友情について 講談社学術文庫
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老年について 友情について 講談社学術文庫

キケロー(著者), 大西英文(訳者)

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老年について 友情について 講談社学術文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2019/02/09
JAN 9784065145074

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4.2

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2024/11/07
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哲学者・政治家・詩人であったキケローの対話篇。「老年について」では老いることは徳のある人間にとっては悪いことではない、という話をし、「友情について」では徳に基づいた真の友情の素晴らしさ、友情の成り立ち、友情と政治の現実などを語る。 前者では老いに関連して死についてもけっこう触れていて、プラトンを思わせる霊魂不滅論、肉体からの霊魂の解放論を展開し、もしくは死すれば魂は消滅し何の感覚もなくなるのであればそれでも恐れることはなにもない、という二段構えの死への備えを論じていて面白い。 後者の友情は自分への愛から生まれたとか、友情は善き人々だけのものであるという話はあまりピンとこなかった。解説を読んで、当時の政情などを考慮するとなるほどと思うところはあった。 「老年について」では老いてからの農作の面白さが語られていて意外だったのだが(どれほど高齢であろうと支障のない営みって書いてあるが、農作業辛くないのだろうか?)、確かに現代でも定年退職したおじいちゃんたちってこぞって家庭菜園やってる印象がある。キケローは人が生まれ、成長し死んでいくことを自然の摂理であると強調しているが、やはりそのように生命の循環、自然の摂理との一体感を感じられるのがいいのだろうか。私も年を取ったらやりたくなるだろうか。

Posted by ブクログ

2023/07/22

好きな本Top10のひとつ。 キケロが細平たい木の板で脛を思いっきり叩きにきます。痛いってば。嫌じゃないけど。 訳の分からない本や新聞、ネットニュースを読む時間と手間はこの本を繰り返し読む事にこそ費やすべき。そんな本のひとつ。 【日常生活で使えるサーカズム】 もし誰かが「若い...

好きな本Top10のひとつ。 キケロが細平たい木の板で脛を思いっきり叩きにきます。痛いってば。嫌じゃないけど。 訳の分からない本や新聞、ネットニュースを読む時間と手間はこの本を繰り返し読む事にこそ費やすべき。そんな本のひとつ。 【日常生活で使えるサーカズム】 もし誰かが「若い時はこんなんじゃなかった。今では(筋肉が衰えて)死んだも同然だ」と嘆いたなら、「可哀想なクロトナのミローだね」と言う。(心の声 愚か者め。死んだも同然はお前の筋肉などではなくお前自身だ。お前が有名なのはお前のおかげでなく、若い頃の筋肉と体力のおかげだ。)美貌や知力でも使えそう。 屁理屈、生まれつきの性格によるなど、反論はいくらでも出来そうなものの彼の主張は聞いといた方が得。 老人にとっての不幸は4つあるとし(仕事が出来なくなる、体が弱くなる、快楽が失われる、死に近づく)それぞれを「老人は頭を使う仕事がある」「老人に若者の体力は要らない」「老いは快楽の欲望から解放してくれる」「死を恐れるな」と唱える。 特に4つめは「最大の悩みですよね」としているが、「若いからって夕方生きてると思い込むなんて無邪気すぎ。若い方が事故とか病気とかある。」「老人は望みがない?若者が望むものを既に手に入れたのだ。長生きを。」「魂がなくなるなら怖くないしなくならないならベターじゃん」「終わりがあることに長さを求めるなんてナンセンス」「過去は戻らず未来は分からない、だから与えられた寿命に満足するしかない」「青年期と違って終わりがない」 死を軽視しろ、忘れろ、ある程度の金は持て、賢くいろ、出来もしないことを嘆くな そしたら大丈夫。 そのまんまは無理だとしても、読む前と読んだ後ではマインドセットがほんの少し変わるかも。 最後の「魂が不滅だって信じてるし。これでいい。違ってもいいけど僕が生きてる間はそう信じさせてくれよ。」もいい。

Posted by ブクログ

2022/05/31

p18「善く生きたという自負心と数多くの善行の思い出は無上の喜びとなるものだ」 p27「無謀は華やぐ青年の、知慮は春秋を重ねる老年の特性」 p36「力を適切に用い、各人がもてるかぎりの力で努力しさえすればいいのだ」「君たちの、その善きものを、それがある間は使えば良いし、ない時は求...

p18「善く生きたという自負心と数多くの善行の思い出は無上の喜びとなるものだ」 p27「無謀は華やぐ青年の、知慮は春秋を重ねる老年の特性」 p36「力を適切に用い、各人がもてるかぎりの力で努力しさえすればいいのだ」「君たちの、その善きものを、それがある間は使えば良いし、ない時は求めてはいけない」「人生の走路は定まっており、自然の道は一本道で折返しがない。生涯のそれぞれの時期に、その時期にかなったものが与えられている」「それぞれに、その時期に収穫しなければならない自然の恵みとも言うべきものがあるのだ」 p40「常に孜々として携わって生きる者には、老年がいつ来たか分からない。そのような人生は、それほど緩慢に、それと感じることなく老いを重ねていのであって、突然、老年に打ち砕かれるのではなく、長い歳月を経た後に寂滅するのだ」 p59「老人は偏屈で、心配性で、怒りっぽく、気難しい。さらにあら探しをすれば欲深くもある。だが、それらは性格の欠陥であって、老年の欠陥ではない」 p60「老人の欲深さに至っては、私には理解不能だ。旅路がますます残り少なくなっていくというのに、なおさら路費を得ようとすることほど、理不尽なふるまいがあろうか」 p61「老人の置かれている状況のほうが青年のそれよりはましなのだ。青年は長生きしたいと願うが、老人はすでに長生きしている」 p66「熱意をもって取り組むすべての営みの満足感が、生の満足感を生む。青年期には青年期だけに見られる一定の営みがある。しかし中年期と呼ばれる安定した年代が、それを再び得ようとするだろうか。老年期にも、ある種の最後の営みがある。それゆえ、以前の、それぞれの年代の営みが終わりを迎えるように、老年の営みもまた終焉を迎える。この終焉が訪れたとき、生の満足感が機の熟した最期の時を運んでくるのだ」 p72「生きたことを後悔することもない。なぜなら私は無駄に生まれてきたと思うことがないような生き方をしてきたし、それに、この世の生を去るにあたっては、いわば、我が家から去るのではなく、宿から去るという心づもりでいるからだ。というのも、自然がわれわれに与えた住まいは、住み続けるための家ではなく、仮寓するための宿にすぎないのだからね」 p73「たとえ我々が不死の存在とはならないにしても、人間にとって各々に与えられた時にこの世を去るのは望むべきことなのだ。なぜなら、自然は他のすべてのものと同様、生にも限度というものを定めているからだ。生涯の終幕は、うんざりするのは避けなければならない。とりわけ満足感が伴っている場合にはね」 ソポクレスの嫌老の詩 「この世に生を享けないのが、 すべてにまして、いちばんよいこと、 生まれたからには、来たところ、 そこへ速やかに赴くのが、次にいちばんよいことだ。 青春が軽薄な愚行とともに過ぎ去れば、 どんな苦の鞭をまぬがれえようぞ。 どんな苦悩が襲わないでいようぞ。 嫉妬、内紛、争い、合戦、 殺人。かの憎むべき、力なき、無慈悲な、 友なき老年がついに彼を 自分のものとし、禍いの中のあるとしある 禍いが彼に宿る。」高津春繁訳 老いが惨めな理由→対する反論 ①仕事や活動から身を引くのを余儀なくされるから →鍛錬と節制を怠らなければ精神は維持できる。老人の賢慮でしかなし得ない、国家、若者の育成という名誉な仕事がある。世代交代のために、農業をしたり木を植えたりする。若い人よりも分別、熟考があるのでむしろ偉大な事業を行える。 ②肉体が衰えるから →体力は求めるものではなく馴染むもの。 ③快楽が減るから →過度な快楽はむしろ毒。思索、理性、観相の時間が増える。老年の適度な快楽=「私は日々、多くのことを新たに学び知りながら老いていく」。よく手入れされた農園以上に、有用性において豊穣、景観において美麗なものはありえない。 ④死が間近だから →そもそも死は若い人にも訪れる。けれど老人のほうが先が短いのは確実。長い生を求めてはいけない。人間の中に長く存在するものはむしろ不自然。過去は全て消え去り、豊かな善行だけが記憶に残る。その善行を積んだ者が迎える死は、火が自ずと消えるごとく、りんごが自然に落ちるごとく、成熟した実にうれしいもの。

Posted by ブクログ

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