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橋を渡る 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2019/02/08 |
JAN | 9784167912208 |
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商品レビュー
3.5
33件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まさに橋を渡るような読書体験だった。春、夏、秋と橋を渡った先には奇妙な冬の景色がある。それは虚構に違いは無いが、我々自身の選択によってはある意味有り得る未来図とも言える。 初めの三篇は極平凡な純文学的作品に見える。iPS細胞、東京都議会野次問題、雨傘革命、マララ・ユスフザイ、東京オリンピック等等、当時としてはタイムリーだったのだろう、リアルと地続きの距離感と世界観で物語は展開する。日常に潜む言語化し難いモヤモヤを抉りながら。人間ってこういうところあるよね、みたいな。それぞれの掌編の繋がりは稀薄で、態々一つの作品としてやる意味あるのかな、なんて考えたけれど……。 最終章「そして、冬」に於いて物語は一気に七十年後の未来へと飛躍する。そこはユートピアともディストピアともつかない「不感の湯」のような妙な心地のする世界だった。まるで承前三篇の答え合わせのようだが、果たして正しく解答は導き出せたと言えるだろうか。 文明は発達し、寒暄を忘れ、もはや不感症のようになってしまった冬を抜けると、再び祝福の春が巡ってくる。 善人なおもて往生を遂ぐ。況や悪人をや。独り善がりの正義は時として取り返しのつかない過ちを犯す。然しそんな過ちを回避する為には、自分の信じる正しさを貫き、時に世界すら敵に回して戦う勇気が必要にもなる。正義とは利己や保身ではなく、利他と公共の為に戦う力だ。 而して戦う為に必要な武器は殺意でもミサイルでもない。一冊の本が、或いは一本のペンがあればそれだけで人間は戦える。そうして戦う人は皆、子供も教師も関係無く、一人の気高い兵士だ。 本書を読み了え、今一度橋を渡り、虚構から現実へと帰還を果たせば、橋の向こうには違う景色が見えていることだろう。
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前半と後半で話が全く違う作品 前半の 日常を丹念に描く作品から 後半のSFの切り替えに驚く どの時代も どの歴史の1ページでも どこでも 人は迷いながら 生きていくのだと 思った
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ネタバレになるけれど、2015年から70年後の世界が描かれていて、構成といい、文章といい、とても面白かったけども、わたしが経験した70年後の世界はもっと面白いのかも。 つまり今、82だから12の時から、現在70年後の世界にいるってこと。 12歳の時(1953年)は今普通に使っ...
ネタバレになるけれど、2015年から70年後の世界が描かれていて、構成といい、文章といい、とても面白かったけども、わたしが経験した70年後の世界はもっと面白いのかも。 つまり今、82だから12の時から、現在70年後の世界にいるってこと。 12歳の時(1953年)は今普通に使っているものは無かったか、初期段階。 例えば、テレビジョンの放送が始まって、ブラウン管のでかい箱を駅頭で見上げた記憶。 電話は黒いダイヤル式、冷蔵庫は氷で冷やし、たらいで洗濯(14歳ころ一層式洗濯機ハンドル絞りつきになった)などなど... 人間関係の世界はっていうと、それも変遷だ。社会機構、体制様変わり。 LGBTSなど無いような世界、いや闇の中か忖度の世界だった。 セクハラはあった、けど、それも闇の中か忖度の世界だった。 離婚が少なかったけど、夫婦関係も問題が内包してだけ、などなど...。 しかし、ゆっくりと浸かってきているので、自分がどの位置にいるか自覚しないだけ。 そう、すっかり慣れている自分にびっくりだ!
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