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謎とき『風と共に去りぬ』 矛盾と葛藤にみちた世界文学 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2018/12/26 |
JAN | 9784106038358 |
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謎とき『風と共に去りぬ』
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2015年に新潮文庫からマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」(Gone With The Wind→GWTW)全5巻の新訳を行った鴻巣友紀子氏が、翻訳を通して見えてきたGWTWと、作者マーガレット・ミッチェルがこの大ベストセラー小説に込めた想いを分析した評論。 GWTW...
2015年に新潮文庫からマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」(Gone With The Wind→GWTW)全5巻の新訳を行った鴻巣友紀子氏が、翻訳を通して見えてきたGWTWと、作者マーガレット・ミッチェルがこの大ベストセラー小説に込めた想いを分析した評論。 GWTWはマーガレット・ミッチェルが10年をかけて書き上げ、発売と同時にベストセラーとなりピュリッツアー賞を受賞した。しかしながら、それだけの功績を挙げながらもこの作品はベストセラーになった→大衆小説という扱いを受けてアメリカの文学史においてもあまり顧みられなかったばかりか、作者であるマーガレット・ミッチェル自身の生い立ちや、作品の時代背景(南北戦争前後)から生まれる人種差別等に対する記述などにばかり注目がいき、その複雑かつ精緻な文体の構成といったテクスト批評がほとんど行われなかったと筆者は言う。 鴻巣友紀子氏は別のエッセイの中でも翻訳という作業は訳を書くのは全体の作業のごくごく一部でしかなく、翻訳作業のほとんどは繰り返し繰り返し深く原文を読み込み、深く理解する事であるという。 だから、翻訳するにあたって作品を何度も読み込むことによって、自分自身のGWTW感も大きく変わり、実はこの作品の真のヒロインは強気で強引なスカーレット・オハラではなく、無垢でか弱いと思われがちなメリー、メアリー・ウィルクスではないかと思うに至ったという。 原文も引きながらの解析は是非新潮文庫版全五巻を横に置きながら読んでもらいたい。 一度読み終えた「風と共に去りぬ」をもう一度楽しむための一冊。
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風と共に去りぬは疾走感溢れる大作で、主人公スカーレットの魅力と相まって、あの長大なボリュームをものともせずあっという間に読める小説だ。もし映画を先に観ていれば、スカーレットとレットの恋物語が最も印象的だろう。しかし本を読んでみると気づく、「あれ、レットってなかなか出てこないな」と...
風と共に去りぬは疾走感溢れる大作で、主人公スカーレットの魅力と相まって、あの長大なボリュームをものともせずあっという間に読める小説だ。もし映画を先に観ていれば、スカーレットとレットの恋物語が最も印象的だろう。しかし本を読んでみると気づく、「あれ、レットってなかなか出てこないな」というほんの小さな違和感… 本書は、翻訳者ならではの丁寧さで、それら違和感を拾い上げ、風と共に去りぬの新たな側面を開いてみせる。読み終わったら、同作がもう一度読みたくなること間違いなし!
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再読しているときは、それこそ夢中で読み終えた『風と共に去りぬ』。 その謎とき、深掘りに本書は大成功している。 何が書かれているかではなく、どう書かれているかに注目するのは翻訳者ならではの視点。そこに注目するとき、とびっきりのドライブ感がなぜ生まれるか明かされる。 スカーレット...
再読しているときは、それこそ夢中で読み終えた『風と共に去りぬ』。 その謎とき、深掘りに本書は大成功している。 何が書かれているかではなく、どう書かれているかに注目するのは翻訳者ならではの視点。そこに注目するとき、とびっきりのドライブ感がなぜ生まれるか明かされる。 スカーレット/メラニーの分裂・協調、アシュリの性欲への着目、エンディングの評価、そして主要4人の密接度などどどれも冴えている。全体的におぼろげに夢中で読んだ原著の輪郭がはっきりした。 結語の「この傑作のテクストの下に、発動機の危うい喘ぎや細かい震えを、いまのわたしは感じざるを得ない」には、わたしは恐れをも抱いた。
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