1,800円以上の注文で送料無料

ガザに地下鉄が走る日
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍

ガザに地下鉄が走る日

岡真理(著者)

追加する に追加する

ガザに地下鉄が走る日

定価 ¥3,520

2,750 定価より770円(21%)おトク

獲得ポイント25P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2018/11/17
JAN 9784622087472

ガザに地下鉄が走る日

¥2,750

商品レビュー

4.9

16件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/09/01

2023年10月から始まったハマースとイスラエルの戦争から、もうすぐ1年が経とうとしている。「戦争」とは書いたものの、それは本当に、国と国が対等に争う戦争なのかどうか。 本書は2018年発行だが、少なくとも本書においてイスラエルとパレスチナの関係は対等ではない。イスラエル軍のジ...

2023年10月から始まったハマースとイスラエルの戦争から、もうすぐ1年が経とうとしている。「戦争」とは書いたものの、それは本当に、国と国が対等に争う戦争なのかどうか。 本書は2018年発行だが、少なくとも本書においてイスラエルとパレスチナの関係は対等ではない。イスラエル軍のジャーゴンで、数年おきに繰り返されるパレスチナへの破壊や殺戮は「芝刈り」と呼ばれているらしい。これだけでもなかなか衝撃的で暗澹たる気持ちになる表現である。 本書内で、ヨハン・ガルトゥングの定義を引用される形で、暴力を3つの形に分けている。戦争などの直接的暴力、貧困や差別など社会的な構造から生み出される間接的暴力、そしてそれらを正当化あるいは維持するための思想や態度などの文化的暴力。 パレスチナへの暴力はどれにあたるのか。すべてである。ガザが封鎖されたのは2007年からで、散発的に攻撃は繰り返されている。そして、国際社会(特にアメリカだが)は、それを正当化する。 その暴力のすべてを、本書は文学的に記している。文学的に、というと安っぽくて批判的に聞こえるかもしれないが、このナラティブな文体が内容を伝えるには最も合っているように思う。論文のようなむずかしさはない。おそらくは、そのようなむずかしさで読者を限定しないように、読みやすさを優先して、なるべくひとびとに届きやすい文体を意識的に選択したのではないかと思う。そんなリーダビリティを優先するまでもなく、あまりにも届きやすすぎる悲惨さではあるが。

Posted by ブクログ

2024/07/09

一度読みかけて知らない単語が多すぎて断念したが、『ガザとは何か』を読んだ後、最初からすらすらと読めてしまった。 一気にとてつもない量の絶望と希望を受け取ってしまい、パンクしそう… 滔々と、パレスチナの人々の終わらない悲しみとわずかな希望を伝えられた。とても伝わった。 こんな状態の...

一度読みかけて知らない単語が多すぎて断念したが、『ガザとは何か』を読んだ後、最初からすらすらと読めてしまった。 一気にとてつもない量の絶望と希望を受け取ってしまい、パンクしそう… 滔々と、パレスチナの人々の終わらない悲しみとわずかな希望を伝えられた。とても伝わった。 こんな状態の国で、祖国を取り戻すために希望を持って生きられる人の強さはとてつもないなと思ってしまう。 日本はやはり大国であり、パレスチナは距離もあるため、意識せずとも生きていけてしまうと思う。ただ、やはりこの問題を皆が理解し、いろんな立場から声をあげる人が増えることはまだまだ可能なのではないかと思った。 自分も誤解していた部分が多いので、せめて周りの人には少しずつでも共有していきたい。 最近の日本人は郷土愛のようなものが薄れがちというようなことが『離れていても家族』にも書かれていたが、自分で生きる場所を選べるという大前提があった上でだよなぁと… 贅沢ってなんだろうと鑑みる。

Posted by ブクログ

2024/06/13

怒りと困惑と悔しさで脳がバグりそう。これは読み切るのにかなりのエネルギーを要した。自分みたいな軟弱者には、途中でライトな本を挟まないと到底読み切ることができなかった。 ここに書かれていることは、パレスチナ人が国を追放されて以来受けてきた受難の歴史と現実である。(レバノン、ヨルダ...

怒りと困惑と悔しさで脳がバグりそう。これは読み切るのにかなりのエネルギーを要した。自分みたいな軟弱者には、途中でライトな本を挟まないと到底読み切ることができなかった。 ここに書かれていることは、パレスチナ人が国を追放されて以来受けてきた受難の歴史と現実である。(レバノン、ヨルダン川西岸地区、そしてガザ) 文字を追うごとに心が抉られ、セメントについた足跡みたいに深く食い込んだ。 しかしもっと情けないのは、ここまで感情を掻き乱して漸く関心を向けるようになった自分だ。日々のニュースでショックを受けていなかったわけではないけど、ショック以降の進展がなかったから。 3週間前に公開された映画『関心領域』を先日鑑賞した。(あらすじは敢えて割愛) 主人公と一家が大切にするものー夢にまで見た生活や幸せにピントを合わせているのが特徴的だったが、これは今を生きる我々にも当てはまる。(当てはまっているが故に、画越しに突きつけられているように思えた) 一番関心を向けて然るべき、パレスチナの人々に対する無関心…。 「ミサイルや白燐弾で殺す代わりに、私たちは、ガザを関心の埒外に打ち棄てることで、日々、殺しているのではないか。[中略]私には無関心による他者の人間性の否定のほうが、より罪深いものに思えてならない」 著者も時としてこの「無関心」に触れている。本書のテーマの一つであることは間違いない。 しかし終わりの見えない疲弊した日々の中、ガザに住まう人々の間ですら他者への無関心が広がっているという。絶望から生じる暴力・ドラッグの蔓延・相次ぐ自殺者…。 ナクバ(1948年にパレスチナでイスラエルが建国される前後、70万余名ものパレスチナ人が国を追われ、難民化した出来事のこと)から70年(刊行時、今年で76年)、イスラエルは人々から人間性をも奪おうとしている。難民から、国連やNGO団体の助けなしには生活できない物乞い、果ては人間ならざる者にまで貶めようというのか。 戦争犯罪(イスラエルは軍事産業が盛んで、ガザは新兵器開発のための実験場にされている節がある)の片棒を担ぐアメリカもアメリカだ。このままだと、米映画『シンドラーのリスト』など見られたもんじゃなくなるのでは?冗談抜きで。 「地獄とは人が苦しんでいる場所のことではない。人の苦しみを誰も見ようとしない場所のことだ」 著者自身、1980年代・2000年代から2010年代と難民キャンプを訪ね歩かれてきた。淡々と語りながらも節々からは怒りが滲み出ていて、事実反戦デモにも積極的に参加されている。 同時に、近い将来パレスチナの人々がナクバの呪いから解放され、地下鉄(このエピソードで少し気持ちを持ち直した)でエルサレムまで移動できるのだと、希望と関心を抱き続けてもいる。 「関心」ってシェルターみたいなものだと思う。関心さえあればその領域は守られるが、消えたら最後…嵐が来ればたちまち木っ端微塵になってしまう。無知も恐いけど、こちらはこれから知ることで変わっていく余地がある。 この手の関心は永続的でなければならない。一発限りであっても人々の寿命を縮めるのだから。

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品