東京裁判「神話」の解体 パル、レーリンク、ウェブ三判事の相克 ちくま新書1365

デイヴィッド・コーエン(著者), 戸谷由麻(著者)

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2018/11/05
• JAN: 9784480071903

商品レビュー

2021/09/13

著者のひとりが著名な国際法学者だということで、学術的なものを期待して読んだが、著者の余計な推測や単なる感想が多く、正直言って期待はずれな内容。
パルやレーリンクの反対意見の法的な欠陥を指摘することで、パル・レーリンク意見の影響を受けた東京裁判観を打ち破ることを企図しているが、法的な議論としては不十分で感想や推測が目立ち、一定程度理解はできるが、企図に完全に成功しているとは言い難い。
ウェブ覚書や裁判長判決草案などの資料の内容が断片的にではあるがわかるところは評価できる。

2019/04/28

　法学の立場から東京裁判を記した本書。恣意性を排し、感情を脇に置き、一つ一つ論理を積み上げている、という感がする。

　ある時間、ある場所における個人の決断と言うものを、丁寧かつ厳しく見ている。それに伴い如何に事情があろうとも、決断するという行為に付随する重みを感じる。

2019/04/15

序文を立ち読みして、気になったので衝動買い。本書のキモは「パル判決」批判だろう。一部の歴史家の間で「パル判決」として礼賛されているパル判事による意見書が、公判内容無視で書かれたアジビラのようなものであり、判事という立場を悪用した政治的パフォーマンスでしかないことを、国際法の知見に基づいて丹念に実証している。以前に「パル判決」を読んだときに受けた違和感を論理的に説明してくれたような感じがして、大いに知的刺激を受けた一冊であった。