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自転車泥棒
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2018/11/07 |
JAN | 9784163909257 |
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商品レビュー
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失踪した父と共に消えた自転車を巡って、密やかな冒険が始まる。 年代物の自転車コレクターでもある“ぼく”は、手に入れた自転車を整備するために、オリジナルパーツを各地から探し求めて修復していく。 それと呼応するように、父親の自転車を探す物語は、別の自転車を巡る話を、父親世代の過去と従...
失踪した父と共に消えた自転車を巡って、密やかな冒険が始まる。 年代物の自転車コレクターでもある“ぼく”は、手に入れた自転車を整備するために、オリジナルパーツを各地から探し求めて修復していく。 それと呼応するように、父親の自転車を探す物語は、別の自転車を巡る話を、父親世代の過去と従軍の記憶を、戦争に巻き込まれて行った人々や動物園の動物達を浮き上がらせていく。 沈黙の中に押し込まれてきた物語たちは、“ぼく”という聞き手を得て、堰を切ったかのように溢れだす。 “物語とはいつだって、自分がどうやって過去から現在のここにやってきたか、知ることができないからこそ存在している。最初は、物語が時間に摩耗されてもなお、冬眠のようにどこかで生き残っている理由が誰もわからない。” だが物語は語り継がれ、受け継がれることで世代の間を、親子の間を、自らも認めていなかった喪失感を埋めて修復していくのだということが、ひしひしと伝わってくる。 語リ継がねばならぬことがあるのだ。 そしてこの物語は、父親を失った息子達-ぼくとアッバス-の回復と成長の旅でもある。 二人が出会い、互いに解き明かしていくラオゾウとバスア、ムー隊長と静子さんの過去の断片が交錯して、ひとつの大きな物語-ゾウがたどってきた旅路へとつながってゆく様は圧巻の力をもって心を揺さぶる。 本質的に愛を避けてきた“ぼく”は、変われるのだろうか。 過去を巡る旅の終着点と、家族の新たな繋がりの始まりが、ぼくをまた変えてゆくだろう。心の隙間を埋めるものを求めるのではなく、与える側へ変わること。 それは僕にとってもむずかしいことだけれども。 “母が口にする「犠牲」とはつまり「愛」なのだ。これは母が一生の時間をかけて僕に教えた、何よりも深奥、厳粛で、かつ晦渋な方程式だった。それはかえって、ぼくに大きくなってから「愛」と言う言葉を口にしたり、耳にするのを恐れさせることになった。「愛」が現れた時、それと表裏一体の「犠牲」が同時に登場する。 犠牲になったからって、その対象となる誰かが大喜びするとは限らない。同じく、誰かのための犠牲が何かの喜びのためになされたものとも限らない。 ー だから思うのだ。これが、ぼくががいつも君に「愛してる」と言えない原因なんじゃないか。”
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心揺さぶられる素晴らしい作品でした。 「歩道橋の魔術師」に続く、呉明益さんの作品。 自転車をめぐる、戦争や家族や東南アジアのジャングルにまで及ぶ壮大なストーリー。 まさに訳者・天野健太郎さんの言葉、 「読前の想像をはるかに越えて、ぶ厚く脳天を打ちのめしてくれる。...
心揺さぶられる素晴らしい作品でした。 「歩道橋の魔術師」に続く、呉明益さんの作品。 自転車をめぐる、戦争や家族や東南アジアのジャングルにまで及ぶ壮大なストーリー。 まさに訳者・天野健太郎さんの言葉、 「読前の想像をはるかに越えて、ぶ厚く脳天を打ちのめしてくれる。」 に尽きます。 「歩道橋の魔術師」とつながるところもあり、ドキドキしました。 台北の中で私の大好きな癒しスポットである北投が作品の中に出てきたときは、あの穏やかな風景と温泉源泉の熱気と硫黄のにおいを思い出して泣けました。
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不思議な物語だった。 一台の盗まれた自転車を巡る壮大な物語。 蝶 魚 鳥 象 オランウータン 戦争の記憶。 全てが自転車で繋がる。 現実と夢の狭間で語られる物語。 ゆっくりじっくり読んだ。
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