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中世の覚醒 アリストテレス再発見から知の革命へ ちくま学芸文庫
定価 ¥1,980
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2018/10/10 |
JAN | 9784480098849 |
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中世の覚醒
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商品レビュー
5
6件のお客様レビュー
本書のページ数は500ページ超あり、読み終えるのに多大な時間を要した。中世における思想の百花繚乱を巡る著者の記述は圧巻であった。この本のテーマである信仰と理性は、中世という時代区分に閉ざされているわけではない。現代社会の解決困難な問題がこのテーマに関わっているという著者の主張に...
本書のページ数は500ページ超あり、読み終えるのに多大な時間を要した。中世における思想の百花繚乱を巡る著者の記述は圧巻であった。この本のテーマである信仰と理性は、中世という時代区分に閉ざされているわけではない。現代社会の解決困難な問題がこのテーマに関わっているという著者の主張には読者を喚起させる何かがあるように思う。本書を読むために忍耐を要した。しかしそれに伴い中世における古代思想とその大きな物語を巡ることができる。中世の哲学・思想本は読み終えた暁に根性がつくものが多い。 後書きには、翻訳者さんと山本芳久さんによる解説他読書案内が添えられている。
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本屋で見かけて。「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」に似ていると思って読んでみたが似ていた。ルクレティウス再発見の代わりにアリストテレス再発見。ただし1417よりさらに壮大で上を行くおもしろさ。 中世は無知の暗黒時代と言われるがそうではなかった。アリストテレスの理性とキリ...
本屋で見かけて。「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」に似ていると思って読んでみたが似ていた。ルクレティウス再発見の代わりにアリストテレス再発見。ただし1417よりさらに壮大で上を行くおもしろさ。 中世は無知の暗黒時代と言われるがそうではなかった。アリストテレスの理性とキリスト教の信仰を調和させる中世の努力が近代科学の道を拓いた。現代の人間科学(道徳、政治、社会関係など)の課題は理性だけでも信仰だけでも解決できず、中世のような理性と信仰を調和させる活動が今こそ必要である、という主張。 ドゥンス・スコトゥスやオッカム(の剃刀)によって理性と信仰が分離していく転換点が印象的。理性を追求すればいずれ神を理解できるとしたトマス・アクィナスに対し、いやいや神は理性では理解できない、信仰によってのみ理解できるとして分離した。キリストでなくロバでもよいとかわざわざ過激に主張するオッカムが好き。結果、早くも14世紀にはビュリダンのインペトゥス理論やオレームの地動説まで出ていた。日本ではまだ足利尊氏の時代なのに。 西洋だけが知の革命を成し遂げた理由に興味がわいた。イスラム文明のアリストテレス主義者は一般の知識人だったのに対して西洋文明のアリストテレス主義者は聖職者でもあったので社会変革に至ったとの説明があったが、それだけとも思えない。なぜ唯名論が実在論に勝てたか。また一神教でない中国や日本で知の革命はなぜできなかったか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これは面白い!中世ヨーロッパにおけるアリストテレスの再発見と受容の話なんだけど、中世と聞いてイメージするステレオタイプの「信仰と迷信に支配され、合理的・科学的思考のない時代」を覆すストーリーを展開する本。あまりに魅力的で異端的だったアリストテレスの自然哲学を、あくまで教会内で、信仰という土台の上でどう消化し、カトリックの中のものとするのかという数百年にわたる論戦(ときに暴力)を時々の登場人物にフォーカスして語る。異端思想の源泉として警戒・禁止されつつも、押したり引いたりを繰り返しながらカトリック神学の中心に咲き誇り、そして時代の権力や経済力が教皇の手を離れていくに従い、教会の枠を離れていく複雑な流れをわかりやすく書いてくれてとても面白かった。翻訳も自然で読みやすくて良かったと思う。著者は中世も神学も専門でないのに、こんなに書けるなんてすごいなあ。
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