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村の奇譚 里の遺風
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村の奇譚 里の遺風

筒井功(著者)

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村の奇譚 里の遺風

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2018/09/26
JAN 9784309227504

村の奇譚 里の遺風

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2022/03/19
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修験、山深い村の風習、葬儀、陰陽道、憑き物など、この手の民間信仰や民俗学の好む人が多そうな話題の切り口で、日本人の差別の変遷についても考察されている点が特徴的だった。 でも社会派のような内容ではなく、タイトルどおりあくまで日本の様々な地域の独自の風習・伝説・信仰を紹介している。幅広く扱って12章からなっているので、気になったテーマをさらに深堀していくのも面白いとおもうし、紹介されていた地域のことを調べたり実際に行ってみたりしたくなる本だった。 小説等の参考文献に使われるというのもよくわかる。世界観が広がるから。 元はエッセーとして書くつもりの原稿だったこともあってか、文章全体は読みやすい。別の目的で行ったところ新たな発見をして…というような旅の一部を見せてくれるような描写があって、難しく考えずに読めた。 本書は、1章読み終わるごとに紹介されていた地域を地図で引いてマーカーをした。 マーカーをつけていくうちに「ここに旅にいきたい」という気持ちも出てきて、途中からは特に行きたい地名は付箋でメモ書きを貼って備忘録とした。 全体をとおして感じたこと。 差別の大元は、どれも「こわい」とか「畏れ」あるいは自分たちが持たない能力や技術を持つ者への「嫉妬」が共通してあるのではないかと思った。 今(あるいは最近まで)も土地の人の感覚に根付く差別意識の話なので、はっきりといつの時代のこのようなことがもとで、と断言できるものはもちろんないが(だからこそ根強い差別や迷信や誤解が残っているのだろう)、特殊な能力への相対する扱いが内包されているように思う。 女性の出産:聖性←→血・死 陰陽師:かつての重要な官職←→賤民としての職 憑き物:経済的な恩恵や悪いことをしようとすると憑き物が主を守るため返り討ちする←→結婚を避けられる 産土神(うぶすながみ)と女性が出産のためにこもる産小屋に敷かれる砂のことを「産土(うぶすな)」というと、著者が地元の人から聞いた件は衝撃的だった。 そしてその砂は安産祈願に使われていたところもあるらしい。出産前後の女性は神様が穢されるから神社へ参詣してはいけないというその神社で産土をお守りとして扱うとは一体どうしてそんな矛盾がうまれたのだろう。 おそらく、どうして出産前後の女性が忌避されていたのかの理由と、その後の「汚い」という意味での穢れという認識への変遷がわかれば、解決される差別もあるのではないか。 例えば相撲の土俵に女性が上ることは神聖な場所を穢してしまうという理由で禁じられているが、理由によっては女性が上がることがイコール伝統を破ることではなくなるのではないか。勘違いしたまま本来の意味を忘れられて守っているつもりになっているだけの伝統があるのではないか。 ここでは憑き物筋について今も一定の年齢以上の人はどの家が憑き物筋か知っているということを紹介していたが、憑き物の考え方自体が実際はありえない迷信であり謂れのない差別であると筆者は書いている。 このように、「日本人の心」的に受け継いでいきたい伝統と現在の科学的な知見から全くナンセンスな伝統があると思うので、そういう意味では柳田國男のいうように急速に失われつつある言葉であったり民話だったりそれが迷信であったとしても現在まで続いている日本人(地元民)の意識を解明していくためにはそれが必要なのだと思う。 本書では賤民を称する差別語とされる言葉も出てくるが、著者は「差別・被差別の問題を回避していたら、社会も人生も語れないことがある。」と最後に述べている。本書を読む限りにおいて、私は被差別民とされる人の差別される前のルーツに触れたが、そこは時代やそのときの生き延びる方法とか能力によって差別されたのであり、この言葉を使うと恐ろしいことになるという漠然としたイメージはなかった。むしろ、身近なところで様々な差別が生まれていたのだと知り、遠い国の話のような感覚からもっと自分に近いもののように感じた。 本書は三津田信三さんが書いた小説の参考文献に使われていてそこから知った本なのだが、きっとこの部分を使ったのだろうなというテーマに触れることもまた感慨深かった(ある儀式を行う家で実は被差別民だった/胎盤を入れる胞衣壺は京都界隈では神聖視されていた)。 全体のテーマとして差別

Posted by ブクログ

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