大奥づとめ

永井紗耶子(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2018/07/20
• JAN: 9784103520214

商品レビュー

2024/04/05

とりあえず永井作品すべてを読破しようと思い、拝読。文章の上手さは流石で、非常に平易な言葉で書かれているので、時代小説を読んでいるのを忘れてしまう。家斉時代後半の大奥が舞台の短編だが、つながりも垣間見える。特に「くれなゐの女」「ちょぼくれの女」は傑作。権謀術数だけでない色々な役割に応じた大奥の実態がよくわかり、勉強にもなる。

2024/02/21

大奥、と言ったら、アレですよね、男女のドロドロした、あるいは権力闘争の・・・。
なので近寄らずにいたのだが、永井紗耶子さんの作品をもう一つ読みたくなって、ここには大奥のお仕事が描かれているとわかったので読んでみた。

衣装を調達する係なのにセンスがまるでない人や、男性との交渉への適性とか、女としては大柄で嫁の貰い手がないと言われたため、力仕事のできる部署へ勤めた女性、大奥で年中行事が行われるときに踊りや劇を披露して楽しませる芸能係の女性など。彼女たちは、悩み、相談し、努力しながらキャリアを積み、自分の仕事を全うしようとする。その姿は、大奥という特殊な環境ではありながら、現代のキャリアウーマンたちと同じ。女性たちが生き生きと描かれて楽しめた。
女性たちが上様のお手つきではなく、純粋に仕事を求めている中に、1人だけ、それを望む女性がいる。
その女性を他の女性たちと対比させるのではなく、大奥の中でのムードメーカーとして描いているのが秀逸だと思った。

2023/12/09

大奥というと華やかだけど将軍の寵愛を競うどろどろした女の世界、とイメージしてしまうけど、この作品で描かれているのは大奥を職場として働く女性たち。出身も旗本や御家人の娘から農家の娘まで様々、いろんな役目があり、先輩に助けられたり朋輩と仲良くなったり、必ずしもぎすぎすした世界ではないようだ。面白かった。