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望月のあと 覚書源氏物語『若菜』 創元推理文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
| 発売年月日 | 2018/06/11 |
| JAN | 9784488482053 |

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商品レビュー
4
7件のお客様レビュー
寛弘年間~寛仁年間、11世紀前半は日本史上、政界の動きの目まぐるしい頃だ。 この時期を舞台に、『源氏物語』の「玉葛」~「真木柱」(玉葛十帖)と「若菜」の謎が取り上げられている。時代背景が生かされ、政界――とくに藤原道長の動向が、本書のストーリーにも大きく関わる。本作では、同シリー...
寛弘年間~寛仁年間、11世紀前半は日本史上、政界の動きの目まぐるしい頃だ。 この時期を舞台に、『源氏物語』の「玉葛」~「真木柱」(玉葛十帖)と「若菜」の謎が取り上げられている。時代背景が生かされ、政界――とくに藤原道長の動向が、本書のストーリーにも大きく関わる。本作では、同シリーズの過去2作以上に、道長の視点による語りが多く、歴史小説としても楽しめ、さらに『源氏物語』が内包するテーマが重ねられ、日本史好きとしては、十分な読みごたえを感じた。というか、本作に限っては、ミステリーではなく、完全に歴史小説として読み、謎に対しては、あまり意識しなかった。 また、本書で扱っているのが「若菜」であることによって、物語は濃厚さを増したように思う。光源氏の栄光と喪失が、道長が極めた栄華とその後に重なる。また、史実を知っていると、本作のラストシーンの後に起こることが思い出されて、暗示的というか、落ち着かないというか、まだこのシリーズは終わらない、という雰囲気が漂う。大河ドラマ「光る君へ」のラストシーンのように。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
あとがきで作者自身が書いているが“筆者の書きたいのは「源氏物語メイキング」なのだ”。ということで玉鬘十帖のメイキング秘話が描かれている。これは先日読んだ荻原規子の『私の源氏物語ノート』とほぼ一致する(玉鬘系はスピンオフとして書かれたとする説)。森谷説は「源氏物語の熱心な読者から空白の期間を指摘され、その時期を埋めるための挿入話として玉鬘系が書かれた。かつ『若菜』上下が長く暗い話なので執筆に時間がかかるため煙幕としての提供された」というもの。やっぱり作家の頭の中って凄いなぁと感服。
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平安王朝推理絵巻その三である。やはり再読である。今作は源氏物語で唯一上下巻に分かれている「若菜」の帖を題材にしている。 都では盗賊や放火が相次ぎ、さらに帝の譲位が取りざたされる中で、紫式部は「若菜上下」を執筆中である。そんな中で訪れた屋敷で、時の権力者藤原道長が瑠璃という姫...
平安王朝推理絵巻その三である。やはり再読である。今作は源氏物語で唯一上下巻に分かれている「若菜」の帖を題材にしている。 都では盗賊や放火が相次ぎ、さらに帝の譲位が取りざたされる中で、紫式部は「若菜上下」を執筆中である。そんな中で訪れた屋敷で、時の権力者藤原道長が瑠璃という姫を密かに住まわせているのを知る。紫式部はこの瑠璃と道長をモデルに「若菜」を書き続ける。 そして、源氏物語では登場人物は男性なら官職で、女性なら(紫式部が勝手につけた)通称で呼ばれる。「瑠璃」という個人名で呼ばれるのは、なぜか玉鬘ただ一人である。 今作は謎解きミステリ色は強くない。源氏物語がどのように書かれたのかを描写しているのだ。また第1作「千年の黙」と第2作「白の祝宴」を読んでないと、よく分からない話が出てくる。逆に読んでいる人ならば、ニヤリとする場面が出てくる。 また今年7月に、このシリーズの4巻目が文庫書下ろしで出版されるとのこと。何と13年ぶりの続巻で、第1巻からだと21年の時を経ての完結となるらしい。 千年の黙 異本源氏物語 https://booklog.jp/users/xaborgar/archives/1/4488482015 白の祝宴 (逸文紫式部日記) https://booklog.jp/users/xaborgar/archives/1/4488482031
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