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海うそ 岩波現代文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2018/04/18 |
| JAN | 9784006022983 |
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海うそ
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商品レビュー
4.2
45件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
難解そうで積読になってたけど意外に引き込まれて一気読み。島に伝わる伝承や民間信仰、地名の変遷あたりは個人的に興味大。とくに地名は同じ音でも本来の意味とは別の漢字を当てたり、歴史がくだるにつれ変わったりするのが面白かった。 南九州の“遅島”という架空の島が舞台。そこへ人文地理学の研究者がフィールドワークへ向かい、遅島の地理や植生、家の構造、そして修験道の寺院遺構などを巡る。 かつて修験道の島として栄えた遅島だが神仏分離〜廃仏毀釈の影響をじかに受けた結果、当時の様子を想起させるようなものはほとんど残されていない。現地でそれを目の当たりにした主人公はそれを諸行無常ではとらえきれない、これが色即是空かと思う。 主人公が50年後に再びこの島を訪れてその変貌ぶりを目の当たりにする場面は、彼の老いた姿も相まって苦しい。けれど苦しいままで終わらない。移り変わっていく。“喪失とは、私のなかに降り積もる時間が、増えていくことなのだった。”と。 読み終えて、“海うそ”とは結局なんだったのだろうと考える時間があった。全体を掴み切れたかというと難しく最後まで読んでもはっきりとした答えがない部分もある。その曖昧さをどう受け止めるか、という感じ。★4〜5の間くらい。
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南方の島国特有の湿度と、寂寥感がどことなく肌にぴったりと貼り付いたまま読み進めるような一冊だった。 豊かな緑の表現に圧倒され、島の過去に思いを馳せ、気付けば50年の時が経ち島が持つ過去の姿も薄れていく。 現実でも自分にとって愛着のある場所が開発などによって姿を変えたりするけれど、...
南方の島国特有の湿度と、寂寥感がどことなく肌にぴったりと貼り付いたまま読み進めるような一冊だった。 豊かな緑の表現に圧倒され、島の過去に思いを馳せ、気付けば50年の時が経ち島が持つ過去の姿も薄れていく。 現実でも自分にとって愛着のある場所が開発などによって姿を変えたりするけれど、色即是空、空即是色、全ては変化し続ける。 寂しく思うこともあるけれど、変化しないものなどない。でもやっぱり寂しい。そんな気持ちになりました。 あとは、島の景色や植生、地理的要素、全てがあまりに細かくて架空の島とは思えませんでした。 表現力が凄まじいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
物語は小さな島が舞台で、過去と現在が静かに呼応しながら展開していく。最初は時間軸がある物語と気づかずに読んでいたから、50年後の章に入った時には驚いた。過去編には馴染みのない植物や生き物、伝統的な建物の構造名称など調べながら読み進めたので、じっくり没入していった。 50年後の島を訪れた主人公が目にする変わり果てた姿には、私も一緒に落胆してしまった。開発によって失われた自然や、忘れ去られていく伝統の描写は胸に刺さるものがあった。でも、物語が終盤に向かうにつれて平家に関する伏線が回収されたり、スッキリもした。また、変化に対する心持ちが変化していく過程も丁寧に描かれていて良かった。 この小説を読んで一番考えさせられたのは、歴史や伝統、文化などが時代の流れの中で変化があったり、もしくは廃れていくものもあるという事。島出身の人ですら自分たちのルーツを知らないという現実は、決して他人事じゃないと感じた。戦前の生き証人が亡くなりつつある今、何が正しい記録なのかを見極めることすら難しいんだろうなって思う。 私も現代社会の便利さを享受して生きているけれど、だからといってその土地の歴史や文化を無かったことにはしたくない。何か大きなことができるわけじゃないけれど、せめて父や母のルーツについて話を聞いて、ささやかな記録を残しておこうと思った。
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